公開日:2018年02月19日

病院や診療所の現場でのオンライン診療の扱いはどうなるか?また今後の展望についての雑感など

こんにちは、対面診療大好きな札幌のかかりつけ外来&在宅医@今井です。

さてオンライン(遠隔)診療について診療報酬上での取り扱いが決まりましたが皆さんはこの内容みて何か感じましたでしょうか?自分は期待していた部分もあったのですが、改定前からある程度「診療報酬は今回は渋いだろうな」と考えていました。予想は半分あたり半分外れたかなっていう感想です・・・・

さて今回の改定を踏まえつつオンライン診療が病院や診療所に与える影響、オンライン診療の未来がどうなるのかなどを簡単にまとめてみたいと思います。

今回の改定の内容

まずは資料を提示します

 

資料を診ていく上でまずは実際の診療場面を考えてみたいと思います。

①外来診療の場合

今回の改定ではオンライン診療料が70点、オンライン医学管理料が100点となっておりおそらくこれに処方せん料が40~70点程度つくことになります。医療機関の売り上げとしては保険診療で200点程度、これプラス予約料などで1000~2000円程度の実費をとることになります。つまり実収入としては一人あたり3000円~4000円/月となると考えられます。

ちなみに対面診療であれば225点+72点+52点+処方せん料(諸々あわせて110点くらい)などで大体保険で450点くらい、4500円の収入となります。

さて患者さん負担はどうか。オンライン診療の場合予約料などが自己負担となるため実質上記の保険点数で3割負担の場合、予約料金+600円程度と考えられます。まあ1600円~2600円くらいの間でしょうか。一方保険診療であれば3割負担でも1300円程度と半額程度の金額ですむことになります。

金額的には対面診療の方が得ですね。さらに対面診療での長期処方も(1~3か月処方)も現実あることから、対面診療が3か月に1度義務づけられているオンライン診療のメリットは利用者(患者)にはあまりないようになっています。

②在宅医療の場合

月1回訪問している患者さんにオンライン診療行った場合100点つきますよ、っていう加算ですがこれ算定するクリニックはほぼなしでしょうね。あるとしたら施設ばかり300人とか400人回っているクリニックがまとめて施設患者さんオンラインでみるとかの活用になるのではないでしょうか。100点なら正直設備投資の金額分にもなりませんよね。

これも患者さん、クリニック双方にとってあまりメリットのない内容となっています。

なぜこんな内容にしたのか

今回の改定は上記のように医療機関にとっても患者さんにとっても、外来であろうが在宅医療であろうがオンライン診療のメリットが出にくい、実質使いにくい保険制度となっています。なぜか??えぇ、国はこの改定が実質中身を伴っていない改定とは理解していたと思います。残念ながら今回の改定でオンライン診療を本格的に普及させるつもりはなかったのでしょうね。

今回の改定は次回の改定に向けた威嚇としての位置づけでしょうね。今回の改定は序の口で次回に大きく変えるのでそれまでに準備しておきなさいよ、意図を示したんだから準備しなさいよ、って医療機関に示唆していると感じます・・・・

③改定を踏まえ病院や診療所の現場でのオンライン診療の扱い

ということで今回の改定でオンライン診療をどう考えるかを医療機関の目線で考えてみたいと思います。

診療所にとっては正直オンライン診療を保険診療で導入するメリットがそうないですね。利用を検討する診療所があるのであれば①自費診療で使用する②自費診療に追加する形でついでに保険診療も行う③施設メインでまわるクリニックがこちらも自費診療に追加する形で在宅医療の現場で使用する、といったケースとなるのではないかと思います。特殊専門外来をしており遠隔地にいる患者さんの診療に役立てたいと考えても、クリニックから30分以内という文言のしばりは大きいです。

病院ではどうなるか。こちらもあまり普及はしないでしょうが来るまでもないけれどやっぱり3か月おきではなくてちょびちょび状態確認したいという特殊専門外来をしている病院においては患者さんからすれば導入してもらったらありがたい、医師も外来こなくても診療できるといった診療上のメリットは確保できるでしょう。ただそのために○○万の初期費用+月○万のメンテ費用を支払うかといえば・・・・ある程度基礎体力のある大学病院や特定機能病院に限られるでしょうね。いずれにせよ病院から30分以内の距離の患者さんであれば対象となる患者さんは限られそうですね。

オンライン診療の今後の展望

ということで今後の展望を考えます。

国はまず間違いなく今回の改定をオンライン(遠隔)診療開始のマイルストーンと決めていたと思います。目指すは次回の改定でのある程度の外来や在宅医療への準本格的な導入、4年後にはさらに拡大し可能な限りのオンライン診療での医療アクセスの確保を目指すことになるでしょう。

また単純に医療機関ー患者間での診療に利用されるだけでなく、どちらかというと今後医療機関ー医療機関もしくは医師ー医師の診療、診断補助の方でも発展していく可能性が高いのかなぁなんて予想したりしていますがどうなるでしょうか。今回の改定で病理や放射線の医師が自宅での勤務も一定要件を満たせば可能となったのは、これも次回の改定を意識してのものと自分は考えています。

AIの進歩も含めて考えるとホントこれから先の将来は劇的に医療の現場がかわりそうですね。

今井の感想

国はオンライン診療がもたらすインパクトがわかっている、だから今回の改定で盛り込んだってことは自分は理解していますが、理解しているのだからこそもっと国はラディカルなオンライン診療の導入も考えるべきだったのではないかとも感じています。だってどう考えてもこれからの医療は効率化していかないと人もお金も続かないですから・・・

 

さて上記のように考えましたが皆さんのご意見はいかがですか?良ければ色々教えてくださいね~

このエントリーをはてなブックマークに追加