外来や在宅の緩和ケアの場面で大事にしたい「みんな同じだけれどみんな違う」という考え

こんにちは、外来でも在宅でもできるだけ患者さんを笑わせていたい診療医@今井です。

外来や在宅で癌の患者さんのみならず認知症の患者さん、老衰の患者さんなど本当に色んな疾患の患者さんの緩和ケアをさせて頂いています。病状としても終末期に限らず慢性期の腰痛の症状緩和であったり急性疼痛であったりと色んなステージで関わることもありますし、はたまたこの前のブログでも書いたように死別後のグリーフケアを外来で行うこともあります。本当に色んな場面で緩和ケアって大事なんだなぁと日常の臨床を通して再認識しています。

ただそんな色んな場面での緩和ケアを行うときに改めて考えているのが「患者さんは何かしらの苦痛があるって言う点では同じであるけれど、最適な治療やアプローチの仕方は個々の状態や考え、置かれている状況によって全く違ってくるんだな」ってことです。なーに当たり前じゃん・・・・とかって言わないでくださいね。

忙しい日常の臨床の最中ではついつい個別性は理解していても治療としての対応は画一的になりがちです。常にケアの提供者として「みんな同じでみんな違うんだ」って認識しながら診療することはすごい大事ではないかなと自分は考えています。

これからの時代は医師のみならず看護師やリハビリセラピスト、ヘルパーさん、ケアマネさん、訪問薬剤師さんも全員緩和ケアの実践者としての技術を最低限覚え、実際の現場でケアができるようになるってことが重要かつ求められることではないかと個人的には考えています。

皆さんは緩和ケアを提供する時にどういう点に気をつけていますか?または気をつけたいですか?よければ教えてください。(自分は一番てっとり早くできる緩和ケアは笑わせること、一緒に笑うことだと思っていますよ~)

 

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「フリーアクセスこそがいい医療を受けるための大前提」は高齢者では幻想である4つの理由

こんにちは、宮の森の外来診療医@今井です。

<医療へのフリーアクセスはいい医療を受けるためには大前提である>

この内容って今まで当たり前のように考えられてきたと思うのですが本当にそうでしょうか?自分はそうは思いません。むしろこれからの時代を考えると高齢化時代においては緩やかなゲートキーパー機能をもたせた中規模の診療所をつくった上でプライマリーケアはそこである程度対応し、医療へのフリーアクセスは制限すべきと考えます。なぜか?以下その理由を書き出してみたいと思います。

1高齢者は複数疾患をもっているのが普通だから

若年者と違い高齢者は複数疾患をもって生活されています。当たり前と言えば当たり前ですが受ける医療内容は個々の病状を把握してから決める必要があります。複数疾患=複数の専門医に診てもらう、よりはかかりつけ医でまとめてみてもらうようにしていったほうが、患者さんにも、医療者にも、医療経済的にもメリットが高いです。複数の専門科による診療は結局は害あって理なし、という結果になることが多いです。フリーアクセスの許容は際限のない専門医受診へとつながります(これは現在もそうかもしれませんが)

2同様に高齢者は医療提供に介護的視点が必須だから

これも1に通じるところですがいくら外来で専門的ないい医療を行ったとしても生活状況を考慮しない医療は高齢者には価値が下がります。よく生活を理解してくれるかかりつけ医の方が適切な治療方針を提供してくれることはあるでしょう(もちろんその選択肢に専門科受診するのは否定はしません)

3認知症や緩和ケアへの対応は全人的な対応が必要だから

認知症や緩和ケアが必要な状態になった患者さんはそこしかみない医療機関に受診してもあまり意味がない医療となってしまいます。この両者をみるのであれば全人的な診療と生活支援の両者の視点が必要です。認知症と緩和ケアへの対応がどんどん求められてくる時代において医療へのフリーアクセスの制限をしないとどんどん色んな医療機関を受診しかかりつけ医もコントロールできなくなる事態がでる可能性が出てくるかと思います。

4多職種と連携する必要があるから

薬剤師やケアマネ、訪問看護などなどこれからは在宅のフィールドで活躍する多職種が増えるでしょう。その時に医師はどこが窓口になるのか?やっぱりそれはかかりつけ医がすべきかと思います。多職種が十分なケアをするために動きやすくする体制をつくるためにもかかりつけ医が責任をもつような体制をつくることが重要かと思います。繰り返しますがフリーアクセスの制限なくしては専門科の医師には責任感が生まれない可能性があります。(これは専門科の医師の批判ではないので勘違いしないでくださいね)

 

どうでしょうか。書き出してみましたがこの4つの理由だけでも僕は医療へのフリーアクセスの制限は行うべきだと個人的には思いますが皆さんはどうでしょうか?ご意見教えてくださいね。

ちなみにこのようなかかりつけ医をつくるなら診療所の一人医師体制では絶対難しいと考えています。なのでつくる場合は地域の診療所や病院の在り方を変えなければいけないでしょうからかなりハードルが高いでしょうね・・・・

(こんな内容医師会の病院関係の人みたら怒るんだろうなぁ・・・)


在宅患者さんの救急搬送について考える~在宅の診療所が入っているのにどうして連絡もなく病院に搬送されるのか?

こんにちは、CADDが3台あってもたりなさそうな在宅診療所の医師@今井です。

複数医師体制で診療している在宅療養支援診療所において、事前に連絡もなく病院に患者さんが搬送されてしまうケースがあるのはなぜか

今日はこれを少し考えてみたいと思います。




病院の先生から話

先日とある会に出席したときにこれまでお世話になっていた病院の先生から<最近先生のところの患者さん事前に往診や連絡なくて搬送されてくることあるよ~>ってちらっと立ち話の時に言われました。そんなこと極力しないように努力はしているつもりだったので心外だったのですが、確かに100%そうでないとも言いきれなかったため何も言わずにその他の諸々の話をその時はして切り上げました。

帰宅後の翌日、そのように思われてしまったケースがあったのかMSWとも相談しましたが最近の事例ではあまりなし・・・ただちょくちょくとそういう場合もないこともないので何が原因で在宅療養支援診療所が診療に入っていても事前に連絡や往診なく搬送されることが起きてしまうのか、理由を少し考えてみました。以下その理由です

1困難事例を多く診ているから

当院のような居宅中心の在宅療養支援診療所において医療や介護以前度の軽い患者さんも紹介されもちろん診療していますが、やはり他院で難しかった患者さんや包括や保健師さんがらみの患者さん、終末期の問題山積している患者さんなど俗にいう”手のかかる”患者さんが紹介されてきます。MSWや看護師、医師などでできる限りの対応はしますがどうしてもそのような患者さんの対応をしていると通常の訪問診療の患者さんとは少し違う部分もでてくることはあります。例えば

緊急連絡くださいね→家族が病状変化を許容できない時or病院にとにかく行きたい時、自分で救急要請で搬送

〃   →ヘルパーさんが入った時にびっくりして搬送

〃   →知人が勝手に搬送

などなど結構な場合であります。これを100%防ぐのは正直難しいです・・・いくらこちらが何かあったら連絡くださいね、とお伝えしていても連絡がこなければどうしようもないですね。

2単純に診ている患者数が多いから

患者数自体も一般の診療所が30人程度の患者さんをみているとしたら、当院の規模ではその10倍程度の人数を診療しています。そのためどうしても確率的にも突発的な事象が起こる可能性が高くなります。極力連絡もらうようにはしていますがどの患者さんや家族も個別性が高く一律ではないためどうしても病状的にも対応的にも全て共通を徹底することは診療する人数が増えれば増える程難しいのが現状です

3施設から直接搬送されてしまうから

当院は施設や住宅系の患者さんは2割から3割を越えない程度と他の在宅医療をされているクリニックからみたら割合は少ないのではないかと思います。付き合う施設をある程度絞る、新規の施設の患者さんは重症度が本当に高く必要性がある方のみ受けることとする、あとこれまで在宅で診ていた患者さんが入所する場合は施設がOKならそのまま診療を続ける、というスタンスで施設での診療はしています。

それだけやり方を工夫してもやっぱり何かあった場合に当院に連絡なく搬送され事後に報告がくる患者さんはどうしてもでてきます。当院としては在宅だろうか施設だろうが<何かあったら連絡くださいね>というスタンスなので、これは施設側の問題も多分にあるかと思います。ここも正直100%コントロールするのは難しい領域かなと考えています

4クリニック側の問題

大事なところはここかと思いますが、可能性としてあげるなら①当番医が往診しないで救急隊まかせにする②担当医がそもそも患者さんや家族、訪問看護師との連携や信頼関係がうまくいっておらず連絡をもらえなかった、という2点くらいでしょうか。

①に関しては確かにこの1年程度の症例みてみても絶無ということはありません。病状的にかなり救急の場合救急車を呼び自分達が搬送先を決めるより現場で診てもらっている救急隊に判断してもらった方がよいケースもあります。その場合は(そんなに多くないですが)病院決まったのちに診療情報なり電話なりは入れていますがこれはどうしようもないような気もしています・・・当番医の先生にその判断を100%正しく必ず自分で病院探せ、とは急変した患者さんをみたことある医師ならだれも言わないような気がします。

②に関してはこのケースも確かにあったのですがこれは改善しなければいけない点です。複数医師体制となってくるとどうしても個々の医師の判断や行動がクリニックとしての活動とみなされる、評判に結びついてきます。この点に関しては確かに複数医師体制で在宅医療を行うことはデメリットですが、ただやはり長い目で地域の人のことを考えると複数医師体制での在宅医療は必須と自分は確信しているので複数医師体制を辞める、ではなくその中での質をどう高めていくのかを考えていきたいと思っています。




よく多職種のあつまりなどで在宅医の先生が「俺は絶対救急隊任せにせず何かあったら往診してから搬送しているんだ!!」って語っていることありますが、その先生が対応しきれなかったり往診しなかった患者さんを当院で診ていることはよくあります。ただ自分はそれを全くなんとも思わないし、むしろお互い様で在宅医同士診れる患者さんと診れない患者さんを助け合って地域で診療していければいいのかなと考えています。

病院の医療者の方も少しだけ在宅医側の事情もわかってもらえませんか?

できる限りの努力はしているつもりでも100%往診→搬送や連絡→搬送が難しい場合は生じます。

冒頭の<最近先生のところの患者さん事前に往診や連絡なくて搬送されてくることあるよ~>って言った先生には自分はできれば<でも気にしないでお互い助け合って頑張ろうね!>とか言ってもらえるようになれば在宅医としても大変ありがたいかなって思ったのですが・・・・・これって甘えてますかね~??ちなみに在宅側でも病院から脱出してきた患者さんみていますが、自分は病院には何も負の感情は起きません。仕方ないよね、そういうことってお互い様だと思っていますから

 

上記のような在宅患者さんの救急搬送について皆さん何かご意見ありますか?また自分の経験でもいいのでよければ教えてください