あぁ、ホスピスからの在宅復帰は厳しくなりそうですね・・・ただただ残念な結果です・・・

こんにちは、札幌の在宅緩和ケア医@今井です

今回の改定でいいなと思った点は緩和ケア病棟からの在宅復帰が促進される点かなと思っていました。

このブログ記事でも書きましたが

厚生省最高!!

って思っていましたがそうでもないようです。

以下資料

ポイントは

① 直近1年間の平均在棟日数が30日未満かつ平均待機期間が14日未満であること

②直近1年間において、在宅に移行 し た 患 者 が 退 院 患 者 全 体 の 15%以上であること。

っていう文言が入ったのですが注目すべきは点数です・・・・

緩和ケア病棟入院料の1と2の差がたった200点くらいしかないんです!!

・・・・・えぇ、間違いなくこの入院料2を算定する病棟が圧倒的に多くなるのではないでしょうか、1の基準が厳しいわりに実入りはそれを上回るものではないのではないかと考えます。

つまり自分が期待したホスピス入院患者さんが在宅復帰という選択肢を持つということがまた2年後まで遠のいてしまった、ということです。

繰り返しますがホスピスに入院した患者さんが自宅復帰をするという選択肢はこれまでは本人もしくは家族が強力に主張した場合にようやく病院も動くという形でした。自主的に在宅復帰を進めていくホスピス病棟はおそらくは札幌には少なくとも内科と思います。

精神的にも不安定でどうするか迷っている中、在宅復帰という選択を取れる患者さんはほんの一握りとなるでしょう。

 

今回の改定のこの部分、かなり期待していただけに正直がっかりしています・・・も少し何とかならなかったのか・・・在宅の良さを知る身としては本当に残念です。皆さんはどう考えますか?

 

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地域包括ケア病棟が在宅療養支援診療所と並ぶ在宅医療の拠点に~国の方向性とそれに伴う問題点について

こんにちは、札幌の在宅医@今井です。

診療報酬の改定ですがようやく全貌が見えてきましたね。色々言及したい部分はありますがひとまず在宅の分野でおやっ?って思ったところを取り上げてみたいと思います。

そうです、地域包括ケア病棟についてです。

今回の改定でどうなるかひっそりと注視していたのですがその内容がなかなか面白いことになっています。

まずは資料をみてみましょう。

 

この中で今井が考えるポイントを抜粋します

①当該病棟において、退院患者に占める、在宅等に退院するものの割合
が7割以上であること 

② 当該病棟に入棟した患者のうち、自宅等から入棟した患者の占める割
合が1割以上であること。 

③ 当該病棟において自宅等からの緊急入院患者の受入れが3月で3人以
上であること。 

④ 以下の a、b、c 又は d のうち少なくとも2つを満たしていること。
a. 当該保険医療機関において在宅患者訪問診療料の算定回数が3月で
20 回以上であること。
b. 当該保険医療機関において在宅患者訪問看護・指導料、同一建物居住
者訪問看護・指導料又は精神科訪問看護・指導料Ⅰの算定回数が3月
で 100 回以上、又は同一敷地内の訪問看護ステーションにおいて、訪
問看護基本療養費又は精神科訪問看護基本療養費の算定回数が3月で
500 回以上であること。
c. 当該保険医療機関において、開放型病院共同指導料(Ⅰ)又は(Ⅱ)
の算定回数が3月で 10 回以上であること。
d. 介護保険における訪問介護、訪問看護、訪問リハビリテーション、介
護予防訪問看護又は介護予防訪問リハビリテーション等の介護サービ
スを同一敷地内の施設等で実施していること。 

⑤地域包括ケア病棟入院料・入院医療管理料の施設基準について、地域
包括ケアシステムの構築を推進する観点から、訪問看護サービスを併設
している医療機関についても、要件の一つとする

 

上記5点ですがこのポイントを皆さんはどう考えますか?

自分はこの内容を国が地域における在宅医療のメインキャストを在宅療養支援診療所から地域包括ケア病棟にシフトさせるつもりなんだな、っていうメッセージと受け取りました。

例えるなら

地域包括ケア病棟を整備する=幹線道路をつくる工程

在宅療養支援診療所を整備する=路地の道路を整備する工程

っていう感じですかね。今回の改定で国はようやっと在宅医療における幹線道路つくりに着手したと感じます。

ただここでも問題はいくつかあります、例えば地域包括ケア病棟での自宅復帰率はどうなんだとか救急受け入れはどうするんだ、などなど・・でもこれらはそんなに大きな問題ではないと思います。2,3年すれば問題なく病院なら対応可能となるでしょう。

今後の地域包括ケア病棟における一番の問題、それは訪問看護及び訪問看護ステーションの問題です。

なぜか?

それは訪問看護が現在は介護保険が主流であり基本的にはどこの訪問看護を導入するのかは地域包括ケア病棟のスタッフは主導権がない点です。

地域包括ケア病棟を退院する→そこの訪問看護を利用する

まずこれはありえない選択だと思います。おそらく地域包括ケア病棟併設のステーションの看護師さんは訪問看護に慣れていないでしょうからケアマネさんが好んで利用することはないでしょう。たとえ導入したとしても24時間の対応の問題や質の問題などで在宅医やケアマネさんから「やっぱり他にしようか」ということになるはずです。

つまりしばらくの間は地域包括ケアからの訪問看護=ほぼないに等しい状況

となると予想されます。

訪問看護がケアマネから医師、医療主体でできるようになればまた別でしょうがそこまでの制度の変更は難しいような・・・・・

 

まあということでポイントをまとめます。

①地域包括ケア病棟が在宅からの患者さんの受け入れをするようになり、かつ自宅復帰率も増えてくる流れとなる

②訪問看護ステーションの併設も条件となり、国は在宅療養支援診療所と並び在宅医療の拠点に地域包括ケア病棟をさせようとしている

③ただ問題はステーションが実質的には機能しないであろうこと、今後質の高い訪問看護師がどの程度増えるのか、増えなければいくら看護師がいても地域の医療職やケアマネからは使われないステーションとなってしまうだろう

 

ということでした。皆さんの医療制度への思索の参考になりましたでしょうか?何かご意見あれば教えてくださいね。

 

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何気ない言葉の裏側に隠された意味~感情を受け止め、共感し、そして会話する

こんにちは、宮の森の在宅&在宅緩和ケア医@今井です。

 

在宅で診察している患者さんとは色々な話をします。家族のことや病気のこと、お金のことや季節のこと、今気になることなど・・・・人によっては遺す家族のことを気にされる方もいますし話題は本当に多岐に渡ります。

そんな時にやっぱりふと気になる言葉が耳に残ることがあります。

例えば化学療法終了後ようやく自宅に帰ってこれた患者さんが発した「戻ってこれて良かった・・・」という何気ない言葉・・・

治療が終わって安心したからこその言葉なのか、それとも戻って来れないことも考えていたからの一言なのか、もしくは心底家族の方と一緒にいることができる時間ができたことを喜んでいるのか、色んな意味でとらえることができますね。

これらの会話をしている時に大事なことは、何気ない言葉の裏側には隠された意味が必ずあることを理解すること。そして在宅医(訪問看護師もそうですが)はその言葉の意味をきちんと敏感に感じ取りその言葉に込められた感情も受けて止めなければいけません。

 

在宅医療者にとって患者さんや家族と会話をするということは

言葉の裏側に込められた感情を受け止め、共感し、そしてそれに向き合い答えること

だと個人的には思っています。

 

在宅医療が病院にいる医師や看護師にとってハードルが高いのは、この部分の訓練を受けていない、もしくは共感力がないため患者さんや家族と十分に会話できないからでしょうね

皆さんは患者さんの言葉の裏側に込められた意味を感じ取っていますか?そして感情を受け止め会話していますか?自分もまだまだな部分ももちろんありますが、この部分に関してはこれからも大事にしていける医療者でありたいと考えています・・・

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多剤投薬の問題にどう向き合うか~患者さん、医療者各々に原因があるのではないでしょうか?

こんにちは、自分で薬飲むのは全く好きではない医師@今井です。

多剤投薬の問題について書いてみたいと思います。多剤投薬は医師だけの問題ではないですね。どうしたら減らせることができると皆さんは考えますか?



新たに外来に来る患者さんもしくは訪問診療を受ける患者さんでも多剤投薬を受けている患者さんって結構いらっしゃいます。多い人だと1日3、4回の服薬で15~20種類くらい量を服用されている方もいます。

「嘘でしょ?」って思うかも知れませんが十分ありえます。

例えばありそうな例をあげると胃薬2種類、便秘薬2種類、認知症の薬2種類、高血圧と不整脈薬併せて3種類、整形の骨粗鬆症や痛み止め2種類、睡眠剤1種類、これだけでも既に12種類服用しています。

これに追加して抗パ薬であったり抗血小板、抗凝固薬でもあったりしたらあっという間に15~20種類にいくのはご理解してもらえるでしょうか?

この多剤投薬の原因は

①患者さんや家族による専門医信仰でいくつも医療機関をかかる

②その結果全身状態やその患者さん自身に責任をもつ医療者が不在になる

③各医師がその症状に合わせた各科一番の治療をする。すなわち薬の投与をそれぞれの科が行う

④結果投薬量が多くなる

⑤さらに服薬アドヒアランスが不良であるため症状改善せず、追加で薬がさらに増えていく

といったことが原因でしょうか。

 

そうなるとどうなるか

①食事量が減る

②過鎮静やふらつきで転倒が増える

③失神する

④認知症が進む

⑤錐体外路症状等副作用が出現しADL悪化

っていう結果によくなります。動けないから訪問診療や往診お願い!!って依頼きて薬が原因であった、ということは今までもよく経験しています。

 

・・・ということで今井が考える多剤投薬への解決策で患者さん側が考えることは

①まずはある程度の年になったら専門医受診は必要時のみとする(行くなとはもちろんいいませんよ)

②処方はかかりつけ医に一元化してもらう

③薬の量が増えるようなら医療者に依存しないで常識的にいいか悪いか自分でも判断し、問題だと思うようなら他の医療者にも相談する

④身近に相談できる薬剤師さんをもつ、特に介護度があがってきた段階ではかかりつけ薬剤師さんをもつべし

 

医療者サイドとして考えることは

①専門科治療の限界が高齢者医療の中ではあることを理解すること

②薬物療法が本当にベストな治療か他に方法がないかを考えること

③高齢者で落ち着いた病状なら早めに専門科の治療→かかりつけ医にうつすこと

が望ましいのではないでしょうか?

あとこの問題には是非薬剤師さんの積極的な取り組みが希望されますね~薬剤師さんどう取り組むか考えていらっしゃいますか?処方に<おかしい!!>と言える準備はできていますか~???

 

自分なら食後に飲む薬なら3種類くらいまでなら許容、多くても1日は6~8個くらいの薬に抑えたいと考えていますがどうでしょうか?常識から考えてそのくらいが妥当なような気がしますが・・・皆さんは自分の親や自分自身ならこの問題をどう考えますか?よかったらご意見くださいね~

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3年後の在宅医療、地域包括ケアを取り巻く未来を予想してみた

こんにちは、札幌の在宅医@今井です。

10年後はわからないけれど3年後くらいの地域包括ケアを取り巻く状況ならなんとなく予想できる気がします。今より顕著に厳しい状況になっていると思います。

どう変化するのか?以下項目毎に3年後を予想してみたいと思います

 

1急性期病院、中小の病院、地域包括ケア病棟

急性期病院での医療は大きくは変化しないと予想しています。病院内での医療の完結が第一優先で(これは当たり前です)あることは変わらず、変わるとすれば治療後の選択肢に介護医療院ができているくらいでしょうか。医師の勤務状況についてもそう大きくは変化ないですが少しずつ病院外での勤務をする医師が科によっては増えてくる可能性もあります。AIの普及がどこまで病院の医療に寄与しているのかは正直予想できません。外来はおそらく少しずつ外に出していく形となり無視できないような勢いで減少していくはずです。看護師の不足はあるでしょうが他の所に比べると幾分かはましではないかと予想します。

中小の病院は地域包括ケア病棟への転換を積極的に行っているはずです。しないところは吸収合併されて少しずつですが淘汰が始まっていくと考えます。病院からの在宅医療を行う所が増えているでしょうが3年後はまだそんなに大規模にはなっていないはずです。高齢者の肺炎や脱水、保存的治療が必要な救急受け入れはおそらくは地域包括ケア病棟が担うようになっていると予想します。

2特養や老健、介護医療院などの施設

特養や老健は介護士さん不足が顕著になり社会問題化しているでしょう。介護士がいなくてつぶれる特養も地方では加速していくはずです。

それに伴い入居審査を満たしていても、特養や老健の施設都合のために入りたくても入れない方がぼちぼちでてくるはずです。

施設での看取りに関しても議論が噴出しているでしょう。現行のままでは特養や老健での看取りは正直対応が難しいためどうしていくのか2年後の改定でおそらくは何かしたらのアクションがとられているとは思いますがそれでもまだまだ対応は難しいと考えます。特に老健での看取りは難しいね、ということになるのかと予想しています。

3サ高住

ここは医療の問題、すなわち往診や訪問対応してくれる医師や看護師がいない、と介護の問題、介護士の不足、の両方に悩まされているはずです。小規模のサ高住は外付けのサービスメインに切り替えていかないと人員不足で生き残れなくなるはずです。大規模サ高住も慢性的に人手不足はあるでしょうが、うまくいくところといかないところがかなり明確になっているはずです。鍵はやっぱり医療的な対応をどうするかと質の高い介護士さんの募集でしょうね。

4在宅医、訪問看護師、薬剤師

在宅医の業務は3年後であればそう大きくはかわらないでしょう。がオンライン対応は必須になっていると思われます。少しずつ訪問看護での対応できる領域が広がり場合によっては3年後であれば条件を満たした診療看護師が地域で看取りを始めているかも知れません。ここも慢性的に医師は不足し全国的にどう在宅医を増やすのかは議論となっているでしょう。

訪問看護師は仕事内容が変化し続け担う領域が増えていくでしょう。カニュレの交換、胃瘻の交換、点滴や血糖管理などの特定行為が在宅で本格的に始まりつつある時期となっていると予想します。単純に居宅のみならずサ高住や特養や老健などにも対応することが求められるようになりますが人員の不足からどこまで対応するのか事業所毎に検討することが必須となるでしょう

薬剤師さんはどんどん仕事内容が在宅にシフトしていくはずです。仕事内容も服薬管理を越えて他職種とどうやっていくのか、どこまでを薬剤師の業務とすべきかが議論となっていると予想します。ただ3年後くらいであれば訪問看護師の慢性的な人員不足からタスクシフトが起こりつつあり包括的な薬剤、薬学的管理が広がり始める時期ではないかと考えています。

5居宅介護支援相談人、介護福祉士

ここはなり手がとにかくいない問題がさらに顕著化し業者間での人の取り合いになっているでしょう。

介護士さんに関して言えば施設及び在宅でもできる業務の内容が徐々に増えてより医療処置的な特定行為ができる介護士さんが増えていくと考えます。タスクシフトが訪問看護から本格的に始まる次期ではないかと思います。

 

 

とまあこんな感じで3年後を予想しましたがどうでしょうか。

皆さんは自分の領域の未来予想図をきちんと描けていますか?参考にしてもらい是非ご自身でも考えてみてください。何か意見あれば是非ご連絡くださね!

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