乳癌の患者さんの在宅緩和ケアについて~楽に自宅で過ごすために押さえておきたい6つのポイント

こんにちは、札幌の訪問診療医@今井です。

今日は乳癌の患者さんの在宅療養のポイントについて簡単ですが書いていきたいと思います。こうすれば楽に過ごせますよっていう点を主に書いていきますが、自分が想定している患者さんは原発+転移があり化学療法しながら今後の生活や治療をどうするか悩んでいるような方です。全員には当てはまらないのでその点はご容赦ください

1訪問看護を絶対利用しよう

前回の脳腫瘍の患者さんの記事でも書きましたが訪問看護は積極的に利用しましょう。ポイントはいくつかあるのですが

①予後が厳しい末期の状態であれば医療保険での訪問看護となるのでできれば週2回程度は入ってもらいましょう。高額療養費制度では1医療機関であれば2万円以上であれば合算して計算できるのでトータルでみたら安くなる可能性が高いです。ここの部分は収入など個別的な要素が強いのでMSWさんもしくは訪問看護師さん、ケアマネさんに相談してみてください。

②病状が落ち着いているのであれば介護保険での訪問看護もしくは介護保険を申請していないなら医療保険での訪問看護どちらかになるかと思います。特に利用する福祉用具や住宅改修などがないのであれば上述の高額療養費制度もあるため医療保険での訪問看護でもいいかも知れません。

③してもらうケアの内容はリンパ浮腫への対応、病巣の皮膚ケア、疼痛や排便管理のための服薬相談、場合によっては中心静脈の点滴管理、化学療法に伴う副作用への自宅での対応や皮膚ケア、年齢によっては子供のケアや配偶者のケア、スピリチャルケアなども行ってくれるでしょう。肉体的なケア、精神的なケア、確かに両方してくれる訪問看護師さんは少ないかも知れませんが病院などではよく知っているお勧めの訪問看護師さん知っているはずですよ~

などでしょうか。後述する在宅医の存在と併せて考え看護師さんが入ることでより良いケアを自宅で受けられるようになるでしょう。在宅医はいらない!って思っても在宅緩和ケアや皮膚ケアに理解のある訪問看護師さんはできるだけ利用するようにしてください。騙されたと思って是非一度導入してみてください・・・

2在宅医(もしくはかかりつけ医)を活用しよう

化学療法中の患者さんは色々医療的処置が必要になってくる方も多いかと思います。点滴管理や管の管理、皮膚のケアや嘔気時、便秘時の対応、癌性疼痛の出現時の対応などなど・・・・可能であれば在宅医の先生に診療に入ってもらうのがいいかと思います。(これは費用が高額療養費制度をうまく利用できる多数該当などの場合には積極的に考えてほしいですね)

主治医は二人持つ!!これがベストです

病院にわざわざいかなくても自宅に必要な医療物品や点滴、麻薬やお薬等を持ってきてくれる、ケア用品を訪問看護師さんと相談しそろえてくれる、各種福祉や介護の相談にものれて医療的なアドバイスも病院の主治医とは違った視点から可能であるなどなど・・在宅医が入ることでだいぶ生活が楽になるのではないかと思います。在宅医がいなければ往診してくれる近所のお医者さんでもいいのですが、よければ是非探してみてください。いなければ病院のMSWや退院調整看護師さん、訪問看護師さんに聞けば教えてくれます。可能なら絶対近くに病院以外の在宅医療や緩和ケアに理解のある主治医をみつけてくださいね。

3高額療養費制度を知ろう!

上記1,2の内容とリンクします。ここは多分誰もが知っているとは思いますが高額療養費制度を利用し医療費の還付を受けることはとても重要です。多数該当になればさらに一時的に外に出すお金も少なくなりますしきちんと制度を理解することがとても重要です。年齢によっても少し制度が違うためここでは表などだしませんが、うまく高額療養費制度を知りそして活用する、これってすごい重要ですので絶対MSWや訪問看護師と相談しながら活用する方法を検討してみてください。

4仕事をしているなら無理は絶対にしない

仕事をしながら治療されている方は本当にたくさんいらっしゃいます。治療と仕事の両立のためには①勤務先に理解者をつくる ②治療中は仕事の事を考えない ③不安なことはまずは誰でも相談し抱え込まない ④無理をしない ⑤休みをとるのに躊躇をしない などが必要かと思います。

治療も仕事もどちらも完璧に行っていくのは難しいのは確かです。無理はしない、思いつめないで生活していきましょう。

5家族の葛藤の問題は一人で抱えないようにしよう

40代、50代の方であれば子供への病気の告知の仕方や夫とのかかわりについてはかなり苦悩が大きいのではないでしょうか。病気について家族と話するときにうまく一人で伝えられない、コミュニケーションとること自体がつらいのであれば在宅医療者や病院の看護師さんやMSWさんに相談しながら対応するのがベストですよ。一人で抱え込まないで正しく家族のサポートを得るためにも周囲の医療者を巻き込んでどんどん相談していってください。人に話をすることで自分の気持ちも整理していくことができるでしょうから

6代替療法はできればしない方がいい

これまでも多くの患者さんが代替療法を頼って色々されているのを診てきましたができることなら代替療法にお金を使わないでください。

食事であったり家族のためであったりはたまた在宅医療のためであったり・・・・代替療法は気持ちの上などを考えると効果がないとはいいませんが、やはり在宅医療者としてはおすすめはしません。他のことに余ったお金を使い間違っても貯金の全てを代替療法に使用しないようにしてください。ただそれでもどうしても!!っていう方には自分の意見を押し付ける気はありませが経験上は他のことにお金を使った方がいい時間を過ごせる方が多かったように感じています。

 

 

簡単ですが上記のようでしょうか。

乳癌の治療自体が長期フェースで考える問題であるためどこから訪問看護に関わってもらうのか、在宅医に関わってもらうのかと悩むかと思いますが

早ければ早いほどいい

これは自分の経験上間違いなく断言できます。よければ訪問看護師だけでも治療の、在宅緩和の、人生のパートナーとして利用されてみてはどうでしょうか?

ということで今回の記事が何か参考になれば幸いです。何か意見あれば遠慮なくご意見ください。

 

このエントリーをはてなブックマークに追加


脳腫瘍、もしくは脳転移を伴う各種癌の在宅緩和ケアのポイント~在宅医&脳神経外科専門医の立場から

こんにちは、宮の森の脳神経外科専門医かつ在宅医@今井です。

脳腫瘍や脳転移を伴う各種癌の患者さんの在宅医療は可能であるけれど、現実的には在宅復帰が少ないのが事実です。少しでも帰りたい患者さんの力になれればと思い今日は脳に原発もしくは転移性腫瘍がある患者さんの在宅緩和ケアのポイントについて幾つか書いていきたいと思います。

 

1訪問看護師(できれば訪リハも)は必ず利用しよう

脳腫瘍のある患者さんの変化って実は微妙ながらも日単位、週単位でおきています。病院であればMRIやCTなどで評価できますが在宅であれば「何ができなくなってきているか」から病状の進行を予想します。

主治医が家族にきちんと病状を予想し説明するためにも日々の身体的変化がどうおきているのか医師以外の日常の医療と生活をみるスタッフが必要です。ということで脳腫瘍の患者さんは病状変化をみるためにも訪問看護、身体機能の変化をより知りたいような部位に腫瘍がある場合は神経評価が得意なリハセラピストを必ず導入しましょう。

看護師さんは医師以外にも突発的におこる痙攣時や嘔気時にもすぐに対応してもらえる医療職を増やすため、後述する褥瘡予防のための皮膚ケアのためにも週1でもいいので導入してみてください

2元気なうちは家族が休める方法も考えて行こう

脳腫瘍のある患者さんは病状が進むについてなかなかレスパイト的なショートやデイが難しくなってきます。CVポートの管理、場合によっては末梢からの点滴や経鼻経管の管理など病状が進むについて医療的管理が必要になってくる方もいますよね。

家族の人員が十分いて大丈夫、といった状況ならいいですが主介護者が一人しかいないようであれば、行けるうちは積極的にレスパイトを使いながら在宅療養をする、といったこともトータルで自宅で長く、最後まで過ごすためには重要な点だと考えます。ショートいやなら病状評価のための短期入院でもいいですし・・・その場合は病院主治医と在宅医に調整をお願いしましょう。

3けいれん発作や意識障害に慌てないよう対応を考えておこう

ある程度病状が進むとやはり部分的な痙攣発作や意識消失を伴うけいれん発作が起こる方は予防薬やステロイドを使用していても起こることはありえます。

痙攣で呼吸停止する方はほぼいません。

なので落ち着いて対応できるように対応方法を在宅医と看護師さんとよくよく相談しておきましょう。意識のムラもよくありますのでせん妄時の対応や呼びかけても起きないときなどどう対応したらいいのか、きちんと事前に相談しておきましょう。しておかないと、当たり前ですがおきたときにパニックになったり不安感が強くなったりしますので・・・

4生活の拠点をきちんと考えましょう、特にベットまわりの環境整備には気をつけて!

病状が進行するとやはりADLが低下し3モーターのベットやエアマットなどの福祉用具を使用することになると思います。この時にはおそらく場合により麻痺の悪化や視力視野障害、軽度の意識障害なども合併していることもあり得ます。

ベットを置く位置はどこがベストか、周囲に何を配置することが一番本人が快適に過ごせかつ危険がないのか、どこなら安楽に介護ができるのかをきちんと在宅医や訪問看護師、ケアマネさんなどと考え自宅の中での生活の拠点を考えましょう

5褥瘡は絶対発生させないように注意しよう

上の4の内容ともリンクしますがこれも重要です。自分も経験あるのですがこの病気の方が在宅療養中に褥瘡になると中々なおりません。麻痺や意識障害でADLが落ちており食事量も少ない状況では一度仙骨部や背中に褥瘡ができてしまうと中々完治しません。予防こそ最高の治療です。絶対褥瘡はできないように皮膚の観察とケアを看護師さんとしていきましょう。

6通院は無理にいかないようにしよう

本人が希望すれば別ですが、移動がつらい時期になってきたら大病院に無理していく必要はありません。アバスチン等化学療法の治療のためや病状評価のために行く、と言っても、移動自体がかなり大変であり外出の機会が限られているのであれば治療ではなく楽しみのために外出した方が絶対いいと個人的には考えています。多分受診したとしてもアウトプットの治療はそう大きくは変わらないはずです。

外にでるなら病院より家族と楽しい時間が過ごせるところ、これは本当にそうしてほしいですね。

7食事は栄養も大事だけれど、それよりも形態を考え楽しみを重視しよう

球麻痺症状や運動障害が悪化してくるとどうしても食べる量が少なくなってきます。これは仕方のないことです。ただ熱心なご家族で有ればあるほど「頑張って食べてほしい」「少しでも栄養をつけてほしい」と思われ色んな食事を試されます。

変化する病状の中で大事なことは「食事を楽しむこと」「誤嚥をしないように形態には十分注意すること」。この2点を考えて頂き栄養のバランスについてはそこまで重視しなくてもいいのではないかと個人的には考えています。(異論ある方もいるでしょうが・・・)本人が食べたいものを少しでも食べ、形態についてはとろみやゼリー、アイートなどもためし誤嚥しないように注意してあげる、それで十分だと思います。

食事に迷うようならSTさんや訪問歯科医の評価を受けてみましょう。きっと喜んで協力してもらえるはずですよ。

 

ということで簡単ですが7つのポイントについて書いてみました。脳腫瘍や脳転移をもつ各種癌の患者さんの在宅復帰に向けて少しでも参考になればうれしいです。ある程度経験がある医師(特に脳神経外科医や神経内科医)ならば次に出現する症状や変化、予後などは予想できるかと思います。可能ならそんな先生みつかればいい在宅療養ができると思いますのでまずは病院の連携室にでも相談してみてくださいね。

ご意見あれば教えてください。

 

このエントリーをはてなブックマークに追加