公開日:2018年02月07日

3年後の在宅医療、地域包括ケアを取り巻く未来を予想してみた

こんにちは、札幌の在宅医@今井です。

10年後はわからないけれど3年後くらいの地域包括ケアを取り巻く状況ならなんとなく予想できる気がします。今より顕著に厳しい状況になっていると思います。

どう変化するのか?以下項目毎に3年後を予想してみたいと思います

 

1急性期病院、中小の病院、地域包括ケア病棟

急性期病院での医療は大きくは変化しないと予想しています。病院内での医療の完結が第一優先で(これは当たり前です)あることは変わらず、変わるとすれば治療後の選択肢に介護医療院ができているくらいでしょうか。医師の勤務状況についてもそう大きくは変化ないですが少しずつ病院外での勤務をする医師が科によっては増えてくる可能性もあります。AIの普及がどこまで病院の医療に寄与しているのかは正直予想できません。外来はおそらく少しずつ外に出していく形となり無視できないような勢いで減少していくはずです。看護師の不足はあるでしょうが他の所に比べると幾分かはましではないかと予想します。

中小の病院は地域包括ケア病棟への転換を積極的に行っているはずです。しないところは吸収合併されて少しずつですが淘汰が始まっていくと考えます。病院からの在宅医療を行う所が増えているでしょうが3年後はまだそんなに大規模にはなっていないはずです。高齢者の肺炎や脱水、保存的治療が必要な救急受け入れはおそらくは地域包括ケア病棟が担うようになっていると予想します。

2特養や老健、介護医療院などの施設

特養や老健は介護士さん不足が顕著になり社会問題化しているでしょう。介護士がいなくてつぶれる特養も地方では加速していくはずです。

それに伴い入居審査を満たしていても、特養や老健の施設都合のために入りたくても入れない方がぼちぼちでてくるはずです。

施設での看取りに関しても議論が噴出しているでしょう。現行のままでは特養や老健での看取りは正直対応が難しいためどうしていくのか2年後の改定でおそらくは何かしたらのアクションがとられているとは思いますがそれでもまだまだ対応は難しいと考えます。特に老健での看取りは難しいね、ということになるのかと予想しています。

3サ高住

ここは医療の問題、すなわち往診や訪問対応してくれる医師や看護師がいない、と介護の問題、介護士の不足、の両方に悩まされているはずです。小規模のサ高住は外付けのサービスメインに切り替えていかないと人員不足で生き残れなくなるはずです。大規模サ高住も慢性的に人手不足はあるでしょうが、うまくいくところといかないところがかなり明確になっているはずです。鍵はやっぱり医療的な対応をどうするかと質の高い介護士さんの募集でしょうね。

4在宅医、訪問看護師、薬剤師

在宅医の業務は3年後であればそう大きくはかわらないでしょう。がオンライン対応は必須になっていると思われます。少しずつ訪問看護での対応できる領域が広がり場合によっては3年後であれば条件を満たした診療看護師が地域で看取りを始めているかも知れません。ここも慢性的に医師は不足し全国的にどう在宅医を増やすのかは議論となっているでしょう。

訪問看護師は仕事内容が変化し続け担う領域が増えていくでしょう。カニュレの交換、胃瘻の交換、点滴や血糖管理などの特定行為が在宅で本格的に始まりつつある時期となっていると予想します。単純に居宅のみならずサ高住や特養や老健などにも対応することが求められるようになりますが人員の不足からどこまで対応するのか事業所毎に検討することが必須となるでしょう

薬剤師さんはどんどん仕事内容が在宅にシフトしていくはずです。仕事内容も服薬管理を越えて他職種とどうやっていくのか、どこまでを薬剤師の業務とすべきかが議論となっていると予想します。ただ3年後くらいであれば訪問看護師の慢性的な人員不足からタスクシフトが起こりつつあり包括的な薬剤、薬学的管理が広がり始める時期ではないかと考えています。

5居宅介護支援相談人、介護福祉士

ここはなり手がとにかくいない問題がさらに顕著化し業者間での人の取り合いになっているでしょう。

介護士さんに関して言えば施設及び在宅でもできる業務の内容が徐々に増えてより医療処置的な特定行為ができる介護士さんが増えていくと考えます。タスクシフトが訪問看護から本格的に始まる次期ではないかと思います。

 

 

とまあこんな感じで3年後を予想しましたがどうでしょうか。

皆さんは自分の領域の未来予想図をきちんと描けていますか?参考にしてもらい是非ご自身でも考えてみてください。何か意見あれば是非ご連絡くださね!

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