公開日:2018年02月24日

身よりのない認知症患者さんの終末期医療について:今後司法書士は医療処置の決定やACPにどう関わるのか?

こんにちは、札幌で在宅医療や外来診療で認知症患者さんを診療している医師@今井です。

認知症の患者さんで司法書士さんのお世話になっている方、終末期医療ではどこまで司法書士さんの意見を聞くべきか皆さんはどうされていますか?

自分はこれまで身寄りのない認知症患者さんで司法書士さんがついている場合は司法書士さんや看護師さん、介護士さん、ケアマネさん、施設に入所していれば施設の管理者さんなどと一緒に「この患者さんどうしてあげたらいいでしょうかね」って話をしてきました。

ところが先日ちょっと話をする機会があった司法書士さんから「基本的には医療のことは法律上はまだ不干渉なんだよね~」と言われました。これまでは当たり前のように司法書士さんも交えて話していましたが、そもそも認知症患者さんの終末期医療への関わりって司法書士さんはどうなっているんだろう?と疑問があったので少し調べてみました。

関係する法律として平成28年に以下のものが出されていました。(不勉強ながらこの法律知りませんでした・・・)この中で医療に関わる部分のみ抜粋します。

成年後見制度の利用の促進に関する法律

第二章 基本方針

  1. 第十一条 成年後見制度の利用の促進に関する施策は、成年後見制度の利用者の権利利益の保護に関する国際的動向を踏まえるとともに、高齢者、障害者等の福祉に関する施策との有機的な連携を図りつつ、次に掲げる基本方針に基づき、推進されるものとする。
    1. 一 成年後見制度を利用し又は利用しようとする者の能力に応じたきめ細かな対応を可能とする観点から、成年後見制度のうち利用が少ない保佐及び補助の制度の利用を促進するための方策について検討を加え、必要な措置を講ずること。
    2. 二 成年被後見人等の人権が尊重され、成年被後見人等であることを理由に不当に差別されないよう、成年被後見人等の権利に係る制限が設けられている制度について検討を加え、必要な見直しを行うこと。
    3. 三 成年被後見人等であって医療、介護等を受けるに当たり意思を決定することが困難なものが円滑に必要な医療、介護等を受けられるようにするための支援の在り方について、成年後見人等の事務の範囲を含め検討を加え、必要な措置を講ずること

 





ということで文章読んだ印象としては「医療の分野においてもこれからは成後見人として責任もってみていくように制度整えていきましょうね」っていう方向性にしたいのは理解できました。

ただ認知症のみよりのない方の意思決定が後見人の方だけでされてしまうと大抵は「独居は危険だよね→施設へ入所しよう→結局環境変わって不穏となり、鎮静からの寝たきり・・・」となってしまうのではないかなとも危惧してしまいますが考えすぎでしょうか?

身よりのない認知症患者さんの意思決定支援、終末期医療に関わるACPをどのようにしていくのか、司法書士さんもわれ関せず、もしくは一人で決める!ではなくやっぱり在宅医や訪問看護師、ケアマネや介護士などと一緒に考えて行くことが必要になるのでしょうね。そういう意味では司法書士さんも地域で積極的に活動する必要があるのでしょうが・・・・現実あんまりまだまだいないような・・・・

 

まとめ

独居の認知症患者さんへの成年後見人制度は財産管理や生活支援などが中心で医療の分野においては法律が制定されたもののまだあまり話が進んでいない状況です。

ただ診療報酬の改定で高齢者への終末期医療へのACPをきちんと行うこと、と決定されたこともあり、今後司法書士さんがACPを含めた医療行為へどのように関わっていくのかこれまで以上に議論をしていくことが求められるはずです。個人的には成年後見人の制度できちんと医療行為についても後見人の役割を明記し、制度上司法書士さんが活動しやすいようにしてあげるべきかと思います。今のままではこれからの時代の変化に後見人制度が追いついていかないのではないかと考えますが、皆さんはどう考えますか?

よければご意見おしえてくださいね~

 

 

現在医師募集中→こちらをどうぞ!

外来や訪問看護、地域で活動したい看護師さんも→こちらをどうぞ!

 

このエントリーをはてなブックマークに追加