公開日:2020年05月27日

24時間アクセス可能なインターネット病院、日本でもできるでしょうか?【アフターコロナの中国の現在】

こんにちは、札幌の在宅医&かかりつけ医@今井です。

 

コロナ感染症の影響で医師と患者における対面診療の価値、が今までと同じように絶対的ではないものと捉えられているのは日本も中国も同じ状況です。アフターコロナの診療がどうなっていくのか、色々資料を探していたところ面白い記事を見つけましたのでご紹介します。とても興味深いので是非読んでください。

ナレッジインサイトより↓

コロナ後の中国オンライン診療市場

気になった部分をちょびっとだけ引用すると(赤字は今井が記載)

オンライン診療がワンストップで可能に

20年2月末、上海市の復旦大学付属中山徐匯雲(クラウド)病院は、公立病院として中国で初めてオンライン専門病院として認可された。徐匯雲病院は、二級病院※2である徐匯区中心病院を母体とし、徐匯区中心病院の一部区画を割り当てる形で誕生した。専門病院の認可に先立ち2016年より試験的に運用されており、4年間で述べ180万人以上に予約や診断のサービスを提供、累計登録ユーザーは17万人超に達している。院内には3年以上の臨床経験を有する専業の医師が約15名、呼吸器科、循環器科など10超の科室が設置されており、医師は中心病院での診察の合間やプライベートの時間を活用して患者に対応する。
サービス利用者は、当該病院の対面診療履歴が無くても、24時間専門医の診察を受けることができ、日本と同様に公的医療保険も利用できるのが特徴である。また、診断後には、処方された薬を早ければ当日自宅まで配送してもらうことも可能だ。20年2月末の正式稼働から3月末までのわずか約1ヶ月足らずで生活習慣病患者を中心に累計で診察件数6千件、1.2千件の処方箋が発行された。
実際の受診の流れは、次のようになっている。利用者はスマートフォンの徐匯雲病院のアプリのメニューから、「診断する※3」をタップすると、利用可能な医師の専門分野とステータス(現在対応可/不可)が表示される。対象の医師を選択の上、ビデオチャットを接続。利用者は医師の表情を見ながら、ヘッドセットを身に着けた医師はPCのモニター上に表示された患者の電子カルテを見ながら問診が行われる仕組みだ。処方される薬については、受け取り場所を自宅か最寄りの指定薬局から選択することができ、その支払いもアリペイやWechatPayなどのオンライン決済ツールで行われる。支払いも含め1回の診察に要する時間はおよそ10分~15分、目下は医療画像の共有などはないため、一般家庭のWifiや4G回線があれば医師とのコミュニケーション品質は十分担保される。

コロナ後の受診行動の変化

中国ではコロナによって、病院利用者の受診行動は2つの意味で変化する可能性があると考える。特に、中国当局を長年悩ませてきた上級病院への一極集中は若干緩和に向かう公算が高いと考えている。まず、冒頭で論じたオンライン化の進展である。病院利用者サイドのマインドの変化は前述した通りだが、実は医師サイドの変化も大きい。中国では長らく禁止されていた医師の兼業が2015年ごろから本格解禁されたことにより、医師のキャリアパスは多様化している。臨床経験や収入を補完する役割を下級病院や民営病院などの「外部」に求め、研究欲や名誉欲は「内部(医師が本来所属する病院)」で実現する。外部に活動を求める場合、コロナ後を見据えて当該事業をさらに強化するBATが資金にものを言わせ優秀な医師の囲い込みを増やし、公立病院との競争によりサービス品質が早い段階で劇的に向上するシナリオは十分考えられる。
次に、社区医療の再評価である。コロナによって中国当局も生活者もコミュニティレベルでの医療分業の有用性については十分すぎるほど痛感した。当局は第十二次五ヵ年計画(2011年~2015年)から分級医療※11を推進しており、その実現はある意味悲願となっている。コロナを期に、病院のランクに応じた自己負担比率に階段を設ける仕組み※12の見直しがされるとも言われており、社区医療の患者ゲートキーパーとして、さらなる役割の付与がなされるかもしれない。

日本企業や日本政府に対しての示唆

中国で医療関連事業を展開する日本企業にとっては、オンライン診療やその保険適用が進めば、総体としての医療へのアクセス量が増加し、例えば医薬品メーカーの場合、新たな処方機会が生まれたり、オンライン診療のインフラを支える医療システムや、5G普及が本格化した際の医療機器市場が拡大したりする可能性がある。また、分級医療がさらに進展すれば、病院の等級ごとにその機能が細分化され、そこに所属する医者が治療プロセスにおいて担う役割が変化する可能性も考えられる。そうなると、例えば生活習慣病関連の医薬品を販売する場合、下級病院での処方が大幅に増加するためこれまでリソースを投入していたチャネルとはターゲットが一変するといったシナリオも考えられ、それにキャッチアップするために日本企業も中長期な戦略を早急に見直す必要があるだろう。

一方、日本国内に目を転じると、冒頭に述べたように、ようやくオンライン診療の活用促進が動き出したが、関連する企業や医療機関の動きは鈍いように見える。中国では、オンライン診療を推進させるにあたり、政府はあくまで医療インフラ整備など黒子の役割に徹し、医療保険など制度面での逸脱がないようにその手綱は抑えつつも、BATを始めとする有力企業に市場形成を担わせている。このように、走りながら柔軟に戦略を調整していくことができることは中国の強みである。日本と中国では医療の仕組みが異なるため、一概に全てを導入することはできないものの、このスピード感や政府の関わり方は参考となると思われる。
コロナを期に日本でも政府、企業と医療機関が一体となってオンライン診療利用促進のための中長期的な戦略を描く必要があるのではないだろうか。

他国の現状を知ることで日本の将来がどうなっていくのかを予測することは十分可能です。日本でも24時間対応可能なインターネット病院(診療所)そのうちできるでしょうか??

 

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