「在宅要介護高齢者が感染した場合」何が問題となるのか~厚生省資料より~
こんにちは、札幌のかかりつけ医&在宅医@今井です。
2月5日に厚生省から事務連絡「病床ひっ迫時における在宅要介護高齢者が感染した場合の留意点等について」が通知されました。
常々コロナ感染者の在宅療養中は在宅医療者を積極的に活用すべし、と思っていたので中身が気になり読んでみましたが・・・うーん、ちょっと残念な内容です。皆さんもまずは一読してみてください。
病床ひっ迫時における在宅要介護高齢者が感染した場合の留意点等について
特に気になったP2,3の部分を文章で引用します。
1.都道府県等の衛生部局における取組
○ 病床ひっ迫時については、在宅の要介護高齢者が感染した場合について
も、やむを得ず自宅療養となる場合が想定されるが、症状に変化があった場合に、速やかにこれを把握し、医療機関等につなぐことが重要であるため、都道府県、保健所設置市、特別区(以下、「都道府県等」という。)の衛生部局においては、要介護高齢者について自宅療養を行う場合に当たっては、「新型コロナウイルス感染症の軽症者等に係る自宅療養の実施に関する留意事項(第4版)(令和2年8月7日改訂)」等に留意すること。
2.居宅介護支援事業所等及び訪問系の介護サービス事業所における取組
○ 病床ひっ迫時には、在宅の要介護高齢者が感染した場合についても、やむを得ず自宅療養となる場合が想定される。
○ 自宅療養にあたっては、「新型コロナウイルス感染症の軽症者等に係る自宅療養の実施に関する留意事項(第4版)(令和2年 8 月7日改訂)」等を踏まえ都道府県等においてフォローアップ等がなされるが、当該要介護高齢者については、居宅介護支援事業所及び地域包括支援センター(以下、「居宅介護支援事業所等」という。)が、必要に応じて保健所と相談し、生活に必要なサービスを確保すること。その際、保健所とよく相談した上で、訪問系の介護サービスの必要性を再度検討する。
<具体的な対応>
① 訪問系の介護サービスの必要性を検討の結果、サービスを提供することとなる場合には、訪問系の介護サービス事業所は、「社会福祉施設等における感染拡大防止のための留意点(その2)(一部改正)」における、別紙「社会福祉施設等(居宅を訪問して行うサービス)における感染防止に向けた対応について」の2.(4)②を参考にしつつ、特に、以下のような点について留意すること。
・ サービスの提供に当たっては、訪問時間を可能な限り短くする等、感染
防止策を徹底すること。具体的には、サービス提供前後における手洗い、
マスクの着用、エプロンの着用、必要時の手袋の着用、咳エチケットの徹
底を行うと同時に、事業所内でもマスクを着用する等、感染機会を減らす
ための工夫を行うこと。
・ 感染している利用者に直接接触する場合または患者の排泄物を処理す
る場合等は、サージカルマスク、眼の防護具、長袖ガウン、手袋を着用す
ること。
・ 自宅療養中においては、都道府県等が毎日健康状態のフォローアップを
行うが、サービス提供中に状態の変化等がみられた場合は、事業所は速やかに都道府県等の担当職員に連絡すること。
なお、居宅介護支援事業所等においても、同様の対応をとること。
② また、療養上の必要性の観点から、主治の医師の指示の下に、訪問看護を利用することや、訪問系の介護サービス事業所が、必要に応じて、居宅介護支援事業所等と連携しながら、看護師等の専門職の同行訪問による支援を受けること等が考えられる。具体的には、
ⅰ 近隣の医療機関・訪問看護ステーションからの派遣を検討し、
ⅱ ⅰが困難な場合には、都道府県の介護保険部局と衛生部局が連携の上、
都道府県看護協会及び都道府県訪問看護連絡協議会に相談し、調整を行う
こと。
③ 訪問系の介護サービス事業所の体制等によっては自ら適切なサービスを
提供することが困難な場合も考えられるが、その場合であっても、保健所、居宅介護支援事業所等や、必要に応じ、市町村や都道府県にも相談し、当該利用者に必要な介護サービスが提供されるようにすること。
○ 自宅療養の解除基準については、医療機関に入院した場合と同様の基準で療養の終了が可能とされており、具体的には都道府県等に確認すること。
この文章読んで問題だと自分が感じた点は
⓵在宅療養者への訪問サービス、ケアマネと保健所どちらが主体的に調整していくの?保健所?ケアマネ?指示責任の所在が不明瞭ですよね。ケアマネさんの仕事と責任の範囲を明確にしてあげないと、動いてあげたくても多職種に対しケアプランの作成含め働きかけられないですよね。
②医師に関しては全く触れられておらず、ようやく書いてあるのが主治医の指示の下、という文言のみ・・・正直在宅医も開業医も何も活用するつもりはないんだな・・・とがっかり。
③ケアマネ、訪問介護、看護などで間接、直接的なケアにあたる職種への金銭的インセンティブは何も言及されていないのはなぜ?病院と同じように、とまではいかなくてもそれなりに報いる制度も盛り込むべきでは?
などでしょうか。
個人的には在宅療養者の医療・介護業務に関してまで保健所の管轄で行っていくのは120%業務的な負荷から考えると無理だと思います。現状でも破綻しかかっているのに、在宅療養者の医療や介護上の問題まで国は保健所職員に求めるのでしょうか?
一刻も早くコロナ感染した在宅療養者の医療は開業医や在宅医、介護はケアマネなど在宅のフィールドにいる職種に任せる、そのための権限、指示系統、報酬はきちんと明確にするのがどう考えても必要ではないか、というかこの21年2月の段階でそこまで通知していないって厚生省はどんだけ現場みていないのかなぁ・・・・この通知を読んでその想いが強くなりましたよ。
皆さん現場の方はこの資料を読んで何か考えることはありますか??よければ教えてくださいね。
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