公開日:2023年09月21日

塩野義はこれで重症化予防に効果あり!なーんて言うのは無理があるような気がしますが・・・

こんにちは、札幌のかかりつけ医&在宅医@今井です。

塩野義のゾコーバ、臨床で使っている先生は多くないとは思います。自分も使う意義、費用対効果もないので使っていませんが、先日そのゾコーバ関連で気になる記事を見つけました。9月19日のヤフーニュース、以下どうぞ↓

ゾコーバ、高リスク患者にも効果 塩野義のコロナ薬、対象拡大も

読んだだけでも大した結果じゃないのは理解できますが、一応企業のHPにも何か情報あるかなと思いみてみました。以下にありましたのでご紹介します。9月19日公開のプレスリリースより

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)治療薬 エンシトレルビル フマル酸の ESWI 2023における新たな臨床データの発表について

「・・・・3日間以上レムデシビルによる治療を受けた後、十分な抗ウイルス効果が確認されなかったCOVID-19入院患者21名に対して、エンシトレビル1 日 1 回5 日間経口投与後のウイルス学的転帰、臨床転帰、有害事象の発生を評価しました。評価対象患者の平均年齢は78.0歳であり、76.2%がワクチン接種済みで大部分の患者のCOVID-19重症度は軽症または中等症でした。また、多くの患者が併存疾患を有していました(悪性腫瘍:33.3%、腎疾患または腎不全:19.0%、全身性コルチコステロイドの使用:23.8%)。

エンシトレルビル治療終了の翌日までに14名(66.7%)の患者がウイルスクリアランスを達成(鼻腔内抗原量 <89.73 pg/mL)しました。そのうち2名はエンシトレルビル投与開始以降、14 日目までにウイルスのリバウンドが確認されましたが、臨床症状の発現は伴いませんでした。また、エンシトレルビル治療終了の翌日までに全ての被験者の臨床的改善が確認されました。なお、28 日目までに集中治療室(ICU)への入院、重症化および死亡した患者はなく、エンシトレビルに起因する有害事象は観察されませんでした。」

ベクルリー投与した後にゾコーバ投与しても正直データとして全く意味がないように思えます。患者数も少ないし治療効果に重症化予防があるかどうかも判断できないし、ウイルス量も自然経過とどの程度違うのかもわからないし・・・こんなプレスリリースだして重症化予防の治療薬の選択肢となり得るかも!なーんて声明だすのは、自分が塩野義の社員ならちょっと恥ずかしいかと思ってしまいます。
国産の治療薬を後押ししたいという国の考えは理解できますが、医療という土俵では結果が出ていない薬は使えないと思います。上記結果をもってさらなる大規模試験などをすることがないようにしてもらいたいですね。
皆さんは塩野義のゾコーバ推し、どう思いますか?

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