在宅医療の現場にソーシャルワーカーは必須!~ソーシャルワーカーの倫理綱領を読んで~
こんにちは、MSWの価値を信じている札幌のかかりつけ医@今井です。
先日、といっても7月9日の昨日ですが、日本医療社会福祉協会から「「ソーシャルワーカーの倫理綱領」の策定及び改定について」という題で資料が公表されました。
中身を読んでいただければよくわかりますが、これこそ在宅医療の現場でMSWさんが必須だと昔から自分が信じている内容が適切な文章で記載、紹介されていましたので是非皆さんにも一読してもらいたいと思います。
特に在宅医療にMSWが必要だなと自分が確認できた文章を抜き出してみると
Ⅳ(集団的責任) ソーシャルワーカーは、集団の有する力と責任を認識し、人と環境の双方に働きかけて、互恵的な社会の実現に貢献する。
Ⅴ(多様性の尊重) ソーシャルワーカーは、個人、家族、集団、地域社会に存在する多様性を認識し、それらを尊重する社会の実現をめざす。
Ⅵ(全人的存在) ソーシャルワーカーは、すべての人々を生物的、心理的、社会的、文化的、スピリチュアルな側面からなる全人的な存在として認識する。
倫理基準
Ⅰ クライエントに対する倫理責任
1. (クライエントとの関係) ソーシャルワーカーは、クライエントとの専門的援助関係を最も大切にし、それを自己の利益のために利用しない。
2.(クライエントの利益の最優先) ソーシャルワーカーは、業務の遂行に際して、クライエントの利益を最優先に考える。
3. (受容) ソーシャルワーカーは、自らの先入観や偏見を排し、クライエントをあるがままに受容する。
4.(説明責任) ソーシャルワーカーは、クライエントに必要な情報を適切な方法・わかりやすい表現を用いて提供する。
5.(クライエントの自己決定の尊重) ソーシャルワーカーは、クライエントの自己決定を尊重し、クライエントがその権利を十分に理解し、活用できるようにする。また、ソーャルワーカーは、クライエントの自己決定が本人の生命や健康を大きく損ねる場合や、他者の権利を脅かすような場
合は、人と環境の相互作用の視点からクライエントとそこに関係する人々相互のウェルビーイングの調和を図ることに努める。
6.(参加の促進) ソーシャルワーカーは、クライエントが自らの人生に影響を及ぼす決定や行動のすべての局面において、完全な関与と参加を促進する。
7.(クライエントの意思決定への対応) ソーシャルワーカーは、意思決定が困難なクライエントに対して、常に最善の方法を用いて利益と権利を擁護する。
8.(プライバシーの尊重と秘密の保持) ソーシャルワーカーは、クライエントのプライバシーを尊重し秘密を保持する。
9. (記録の開示) ソーシャルワーカーは、クライエントから記録の開示の要求があった場合、非開示とすべき正当な事由がない限り、クライエントに記録を開示する。
10.(差別や虐待の禁止) ソーシャルワーカーは、クライエントに対していかなる差別・虐待もしない。
11.(権利擁護) ソーシャルワーカーは、クライエントの権利を擁護し、その権利の行使を促進する。
12.(情報処理技術の適切な使用)ソーシャルワーカーは、情報処理技術の利用がクライエントの権利を侵害する危険性があることを認識し、その適切な使用に努める。
Ⅱ 組織・職場に対する倫理責任
1.(最良の実践を行う責務) ソーシャルワーカーは、自らが属する組織・職場の基本的な使命や理念を認識し、最良の業務を遂行する。
2.(同僚などへの敬意) ソーシャルワーカーは、組織・職場内のどのような立場にあっても、同僚および他の専門職などに敬意を払う。
3.(倫理綱領の理解の促進) ソーシャルワーカーは、組織・職場において本倫理綱領が認識されるよう働きかける。
4.(倫理的実践の推進) ソーシャルワーカーは、組織・職場の方針、規則、業務命令がソーシャルワークの倫理的実践を妨げる場合は、適切・妥当な方法・手段によって提言し、改善を図る。
5.(組織内アドボカシーの促進) ソーシャルワーカーは、組織・職場におけるあらゆる虐待または差別的・抑圧的な行為の予防および防止の促進を図る。
6.(組織改革) ソーシャルワーカーは、人々のニーズや社会状況の変化に応じて組織・職場の機能を評価し必要な改革を図る。
Ⅲ 社会に対する倫理責任
1.(ソーシャル・インクルージョン) ソーシャルワーカーは、あらゆる差別、貧困、抑圧、排除、無関心、暴力、環境破壊などに立ち向かい、包摂的な社会をめざす。
2.(社会への働きかけ) ソーシャルワーカーは、人権と社会正義の増進において変革と開発が必要であるとみなすとき、人々の主体性を活かしながら、社会に働きかける。
3.(グローバル社会への働きかけ) ソーシャルワーカーは、人権と社会正義に関する課題を解決するため、全世界のソーシャルワーカーと連帯し、グローバル社会に働きかける。
どうですか?赤文字のところは自分が「在宅医療にMSWは必須だ!」と考えている信念をよく表現してくれている文章だと思っています。診療報酬つくかつかないかは些細な問題で、本質的に地域包括ケアとMSWの業務の類似性は明確なので絶対在宅療養支援診療所にはMSWは必要だと感じませんか?
MSWさんは所属する病院や医療法人のトップの考え方ひとつで大事にされたりぞんざいに扱われたりしますが、その絶対的な価値は今後は褪せることはないと自分は確認しています。皆さんはどう考えますか?