在宅医療Q&A その2
こんにちは、札幌の在宅医&かかりつけ医@今井です。
もう少しだけ在宅医療のQ&Aの形でブログ継続してみたいと思います。
看取り実施医療機関も、がん患者のみ、というところがあると聞いている。どんな状態の人でも見てくれるのではないでしょうか?
在宅医療のクリニックはそれぞれ考え方が違います。当院は認知症から脳梗塞後遺症、がんの終末期の人からALS等の神経難病まで疾患に関係なく在宅で多くの患者さんを診察しています。この方針は当初より自分が「在宅医療は生活の延長線上に提供されるべきで、その生活の場で提供すべき医療を疾患によって区切るのに強い違和感があった」からです。自分としてはこれは間違っていなかったなと今考えても思っています。
さて上記のようにがん患者さんばかり診る診療所や訪問看護ステーションもあります。理由としては、その先生にライフワークだからってこともあるでしょうし、経営上の理由(がん患者さんは診療単価が高く診療所にとって利益を上げやすい)もあるでしょう。
がん患者さん、看取り対象のみの患者さんしか診ない医療機関では基本的にはそれ以外の疾患は診察しないと思います。これはそのクリニックの方針ですので仕方ないですね。よくよく事前に調べるしかないのが現状です。
元気なうちにかかりつけ医を見つけたいと思っています。どのように見つけたらいいですか?
これは書いたらかなり長くなるので過去のブログ張り付けておきます。そのほかかかりつけ医についての記事も載せておきます。興味ある方はお読みください。
かかりつけ医の定義及びかかりつけ医を選ぶ時に確認したい9つの質問
”かかりつけ医をつくりましょう”と言われてもどうやって選べばいいのか難しいですよね
在宅医療は一人暮らしでも受けることが可能ですか?
可能です。独居の方で家族がいなくても要介護状態で自宅で生活されている患者さんはたくさんいます。
医療者はその患者さんが何を希望しているのか、その希望のために自宅で何をしてあげるべきなのか、という考え方をします。なので独居だろうが家族がいようが一番重要な点は「あなたはどこでどう過ごしたいですか?」という質問にどう答えるか、です。
ここが明瞭であれば医療やケアスタッフはその希望に答えるために努力してくれるはずだと思いますよ。
道内に子供がいないのですが在宅医療は受けられますか?
上の質問と同じですが可能です。ただ医療者としては「遠くの家族」が何かあったときに文句を言ってくることをかなり経験しているので、可能であれば在宅医療者に一度会っておいてもらった方がお互いにとっていいでしょう。
とある本に在宅介護が難しい場合に「痰の吸引が頻回にある」「排便コントロールが難しい」とありましたが寝たきり、全介助、オムツ、要介護5の状態だと難しいでしょうか?
簡単か難しいかという判断であれば、在宅での療養を継続していくことが大変ではあるでしょうが不可能というわけでは決してないと思います。そもそも在宅医療の提供自体が病院と違い、疾患の治癒を目的とした医療ではなくて生活を成り立たせるための医療を目的としているため、要介護1であっても5であっても、喀痰吸引があろうがなかろうが、在宅医療者は「どうやったら生活を継続していけるのか」という視点で医療を組み立ててて考えています。
なので一概にこの状態=絶対大丈夫、あの状態=在宅療養不可能、ということにはまずならないかと思います。
繰り返しますが在宅医療を受けるにあたって一番重要なことは「どこでどのように過ごしたいのか」が明確になっていることです。この部分さえぶれなければ自宅で最期まで過ごすことであろうと大丈夫だと思いますよ。
在宅医療を受けるためにはどうしたらいいですか?
必要な状態になったときにケアマネや病院から情報提供を受けて在宅医療者を探すのもいいですが、可能であればお元気な時から自分で情報収集してどの医師にお願いするのがベストなのかは考えておきたいところですね。
一般論でいうと当院で在宅医療が導入される場合は病院4割、ケアマネ4割、外来訪問看護、家族その他2割くらいの割合が紹介元となっています。
こういうところから相談を受けて実際は導入していくことが多いのでまずは在宅医療を受けたいなと思ったら病院の地域連携室やケアマネさん、訪問看護さんなどに相談してみることをまずはお勧めします。
ということでもちょっと続きます・・・
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