公開日:2020年02月13日

救急車の要請=蘇生の意思表示、とすべきでしょうか?

こんにちは、札幌のかかりつけ医&在宅医@今井です。

 

外来であろうが在宅であろうが診療の「場」はあまり重要でないと感じています。その場その場で何をすべきかを考えて診療を毎日行っています。

在宅の患者さんであれ外来の患者さんであれ、1週間というスパンで考えると数人が毎週救急車のお世話になっています。

「救急からみで最近のニュース何かないかな」と調べていたら以下の記事を見つけました。ホットな話題だと思いますので皆さんもぜひ一読してみてください。

河北新報さんより引用させて頂きます

救命の責務か、患者の尊厳か 仙台で全国救急隊員シンポ 心肺蘇生の不実施巡り討論

全国救急隊員シンポジウム(仙台市消防局、救急振興財団主催)は31日、青葉区の仙台国際センターで19のセッションが行われた。心肺蘇生の不実施(DNAR)への対応をテーマにパネル討論もあり、救急隊員の責務と患者の尊厳を巡り、医師らの相反する意見がぶつかり合った。
日本海総合病院(山形県酒田市)の医師緑川新一氏は、救命の責務が優先されると主張した。「酒田地区消防本部は救急車を要請された時点で(かかりつけ医の)DNAR指示は無効と判断する」と紹介。「119番は蘇生の意思表示と広報することが重要だ」と述べた。
救命の可能性がない疾病による心肺停止なのか、患者と医師がどれだけ話し合っていたのか、現場で判断することの難しさを指摘。「患者の命を守らないという救急対応は容認できない」と強調した。
これに対し、在宅医療が専門の医療法人社団「悠翔会」(東京)の医師佐々木淳氏は「末期がん患者や高齢者にとって、治療が必ずしも望ましいこととは限らない」と異論を唱えた。
誤嚥(ごえん)性肺炎の治療を経ても入退院を繰り返し、生活の質が低下してしまった患者の例を挙げ「大事なのは患者や家族の幸せ。DNARを望む背景への理解が必要だ」と語った。
東京消防庁は昨年12月、DNARを望む患者への対応で、救急隊員に心肺蘇生の中止を条件付きで認める指針を定めた。救急管理課主任の鈴木翔平氏は「患者の意思を尊重できるようになった。今のところトラブルはなく、今後は救急隊員の研修にDNAR対応を組み込みたい」と報告した。
会場の救急関係者からは「対応に地域差が出ている。多くの救急隊員が悩んでいる」と切実な訴えがあり、国が統一的な指針を定めていないことに不満の声が漏れた。
シンポは2日間の日程を終えて閉幕し、延べ約8000人が参加した。

[心肺蘇生の不実施(DNAR)]心肺停止状態の患者に蘇生処置をしないこと。あらかじめ患者や家族と話し合った医師が救急隊員に指示する。患者の尊厳を守るのが狙い。末期がんの場合など、蘇生処置をしても救命の可能性が極めて低い患者に限られる。

 

 

救急要請=延命、蘇生の意思表示、とはこの高齢化しつつある社会では通じなくなってきていると個人的には考えますがどうでしょうか?理論的には救命してほしいから救急車、というのは至極当然なのですが、現実的に高齢者医療の現場をみると、普段からDNARと話ししている患者さんや家族の方であっても突然の現場でどう行動していいのかわからず119してしまう方は、事前にどれだけ話をしていたとしても一定数いるのは紛れもない事実です。

考え方は理解できますが現実に即した形に変えていかないと制度と現実の歪みがこれからどんどん顕著化していくと思うのは自分だけでしょうか?

 

現場で働いてくれている救急隊員の方の大変さもわかりますし、何かあった場合の法的な担保などもきちんと整備する必要がありますが、この問題はこれからどんどん社会問題化していくはずです。皆さんは119コール=絶対救命要請と考えるべきだと思いますか?

 

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