公開日:2026年10月17日

在宅医療機関の経営、毎月どこを見ているの?【訪問診療クリニックの経営分析、6つのポイント】

こんにちは、札幌のかかりつけ医&病棟医&在宅医@今井です

今日は少しだけ医療機関経営のお話をしてみようと思います。というのもこれから在宅医療の分野で開業するかどうか迷っている医師も一定数いると思うので、まぁ先達としてこういうポイント少し意識しているよ、とお伝えしてあげるのも悪くないかなと思っていますので。

「在宅医療機関の経営って、実際どうなってるんですか??」

訪問診療をこれから始めたい先生、在宅療養支援診療所で働いている看護師さんや事務の方、在宅医療機関への転職を考えている医師の方・・・これを聞かれることが意外と多いです。
実際在宅医療機関の経営状況って、なかなか表に出てこないんですよね(みんな気になってはいるはずなんですが・・・)。

当法人では毎月、各クリニックの経営分析報告書を理事会で共有しています。先日も最新の報告書が上がってきたのでその分析を読み、そしてどう対策するかを現在検討中ですよ(^^♪。

今日は具体的な数字は伏せつつ(さすがにそこは・・・笑)、今井が毎月の経営分析を見ながら「在宅医療の経営指標って、ここを見るのが大事だな」と感じているポイントを書いてみたいと思います。

まず大前提として、在宅医療機関の経営は「月ごとに揺れる」もの!!

在宅医療機関の収益は、看取りが重なった月に大きく動きます。在宅ターミナルケア加算や看取り加算、往診料・夜間休日の往診加算が増えるので、数字上は「過去最高!」となることもあります。
でもその月は、たくさんの患者さんが亡くなった月であり、緊急往診やオンコールが集中した月でもあります。
ですので、増収を素直に喜ぶ前に「この業務負荷は続けられるのか??」「医師の体制に無理は出ていないか??」を同時に確認するようにしています。看取りが一段落すれば数字は平常に戻るので、その月を基準にして翌月以降を評価しないことも大切です。

ちなみに看取りが重なると、月2回の訪問が完了する前に亡くなられたり入院されたりする方が増えるので、在医総管(在宅時医学総合管理料)の「月1回」算定が増えます。一見すると「運用が緩んだ??」と見えるのですが、実は看取り集中の裏返しだったりします。数字は必ず”理由”とセットで読む必要があるんですね。

その上で、今井が毎月チェックしているのは次のようなポイントです。

①患者数と単価はセットで見る

患者数が増えているのに、患者1人あたりの単価が下がっている。こういう時は要注意のシグナルかもしれませんね。同一建物の患者さんが増えていたり、月1回算定が増えていたりと、患者さんの構成が変わっていることが示唆されます。逆に、患者数が減っても単価が上がっていることもあります。どちらか一方だけ見ていると判断を誤ります。

②同一建物(施設)と同一建物以外(居宅)のバランス

施設入居時等医学総合管理料と在宅時医学総合管理料、同一建物とそれ以外の訪問診療料では評価が大きく異なります。施設の患者さんを否定するわけでは全くありませんが、比率がどう動いているかは在宅医療機関の経営の”体質”を表す大事な指標です。今回の2026年の診療報酬改定でも意識すべき項目とはなっていますよね。

③在医総管の「月2回」と「月1回」の内訳

月1回訪問の方が増えたらなぜなのかを考えること。数字の裏側には必ず理由があります。これは経営の話というより実は医療の質や問題の話だったりします。

④初診月にきちんと管理料につながっているか

新しく在宅を始めた患者さんの初診月に、しっかり訪問スケジュールが組めているか。ここが意外と盲点です。新患を受け入れても、立ち上がりの月に訪問が組めなければ管理料につながりません。そしてそれは、在宅療養が始まって一番不安な時期に十分に関われていないということでもあります。(面白いことに、同じ法人の2つのクリニックでこの部分の運用に差が出ていて、片方の改善策をもう片方に展開できないか検討しているところです(^^♪)

⑤重症の患者さんをどれだけ診ているか

令和8年度診療報酬改定では、在宅医療充実体制加算をはじめ、重症の患者さんや看取りにどれだけ対応しているかがより評価される形になりました。難病等の患者さんや在宅がん医療の患者さんの割合が月ごとにどう振れているかは、施設基準の”余裕度”という意味でも毎月見ておく必要があります。

⑥訪問看護との連携、外来との関係

訪問看護指示書の数は、法人内外の訪問看護ステーションとどれだけ一緒に患者さんを支えられているかのバロメーターです。
また当法人のように外来も持っている場合は、外来を「在宅への入口」と位置づけるのか、独立した部門として見るのかで評価の仕方がガラッと変わります(ここは今まさに法人として再設計を考えているところです)。

こうして並べてみると・・・
〇在宅医療の経営指標は、ほとんどが「患者さんにどれだけ丁寧に関われているか」の写し鏡である
〇単月の数字に一喜一憂せず、推移と理由をセットで読む
〇数字が悪い時は、人ではなく仕組みを疑う&その裏側を想像する
ということなんだと思います。

在宅医療は「想い」だけでは続きません。でも「数字」だけを追いかけても、きっと大事なものを見失います。その両方を毎月ちゃんと見つめることが、地域で長く在宅医療を続けていくための土台なのかな、と毎月毎月数字を見ながら考えていますよ。

以上今井が毎月みている数字上のポイントをいくつか挙げてみました。在宅医療の分野で開業を考えている先生へのアドバイスになればと思います(^^♪

さて今日はまだまだコツコツと仕事です。頑張っていきたいと思います。

 

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