公開日:2026年09月20日

司法が現場を破壊する【デイサービス送迎後に転倒死亡事故 介護施設側に賠償命令 】

こんにちは、札幌のかかりつけ医&病棟医&在宅医@今井です

NHKニュースさんで気になる記事を見かけましたのでシェアします。9月19日のものです↓

デイサービス送迎後に転倒死亡事故 介護施設側に賠償命令

AIによる要約では以下になります。

1. 事故の具体的な状況

    • 発生時期・場所
    • 2023年12月、東京都墨田区の介護施設が提供するデイサービスにて発生しました。
    • 事故の経緯
    • 当時87歳の女性利用者が、施設の送迎車で自宅アパートまで送り届けられた後、1人で2階へ上がる階段の途中で転倒し、その後亡くなりました。送迎スタッフは階段の昇降に付き添わずにその場を離れていました。

2. 裁判における両者の主張と争点

遺族側は付き添い義務違反を理由に約3,400万円の損害賠償を請求した一方、施設側は帰宅後の階段転倒の予測は困難であったと反論し、責任範囲が争われました。

3. 判決のポイント

    • 予見可能性と注意義務
    •  施設側は事前の資料から身体状況を把握可能であり、確認を行っていれば転倒リスクを予測できたとして、安全配慮義務違反が認定されました。 
    • 過失相殺と賠償額
    • 家族側から不安が積極的に伝えられていなかった点等が考慮され、約3割が減額された約1,800万円の賠償命令となりました。

もう少し詳しく知りたい方は、こちらがかなり情報や見解がまとまっていたので是非是非一読してください。

デイサービスの送迎時の転倒事故と事業所の責任―予見可能性,過失相殺,遺族固有の慰謝料及び厚生労働省ガイドライン

 

今井が思うこと——現場はどう対応すべきか

もし今井がデイサービスやショートステイの事業所を運営していたとしたら、この判決を受けてどう対応するか・・・・正直なところ、以下くらいしか思い浮かびませんよね↓

〇 降車直後からの安全確認を家族の協力をマストにする
〇 玄関がすぐ外にある戸建て以外の集合住宅は、原則として送迎対応しない(受けない)
〇 送迎に関する契約書・誓約書を整備し、リスクの説明と事前同意を徹底する
〇 利用者の身体状況・住環境を送迎担当者が必ず事前確認するフローを作る(まぁこれはでもマンパワー的に無理ですね)

でも——これをデフォルトにしたとき、一番困るのは誰でしょうか。

現場でも施設でもなく、利用者とその家族さんです!

司法が現場を破壊する

在宅医療者なら誰しも理解できるでしょうが、デイサービスやショートステイがあるから、在宅での介護がなんとか続けられている家族がいる。

「デイがある週3日があるから頑張れる」

「月に一度のショートを目標に介護している」

——そういう家族を、今井は何人何人も見てきました。

この判決がデフォルトになれば、集合住宅に住む高齢者の受け入れを制限する事業所が増える。送迎のリスク管理が過剰になり、実質的にサービスを受けられない方が出てくる。

結果として「在宅介護が成り立たなくなる」ケースが増えることになります。

これって医療の現場でもよく見られるパターンです。

医療訴訟への恐れから、本来やれるはずの医療行為を医師が避けるようになる。訴訟リスクを下げるための書類作業が増え、患者さんと向き合う時間が減る。「安全のため」という名目で、実質的にケアの質が下がっていく。

司法の判断が現場を萎縮させ、一番守られるべきはずの当事者が困る

今回の事案はまさにそのパターンだと今井は思いますが、皆さんもそう思いませんか?

法曹関係者に問いたいこと

1在宅医療者として今井が正直に思うことは以下です↓

法令は遵守する。ルールは守る。それは当然のこと。でも「その法令・その判決によって、現実の世界がどう変わるか」まで考えた上での判断なのか——今回の事案を見ていて、そこに疑問を感じますよね。

「なんのための法令で、なんのための弁護士なのか」

社会的弱者を守るために法律があるはず。でもその法律の運用が、結果的に社会的弱者の生活を窮屈にしていく——この矛盾に、法曹関係者はどう答えるのか。

この問いにどう答えるのでしょうか??

さて皆さんはこの記事と上記の判決についてどう感じましたか?よければご意見くださいね。今日が皆さんにとって素敵な1日となりますように!

 

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