公開日:2026年08月13日

【在宅緩和ケアの現場から】持続注射より貼付薬と座薬での管理を選ぶ理由・・・

こんにちは、札幌のかかりつけ医&病棟医&在宅医@今井です

 

今日は在宅緩和ケアのやり方について、個人的な意見ですが少し踏み込んだ話を書いてみようと思います(^^♪医療者向けの内容が多めになりますが、患者さんやご家族にも知っておいてほしいことがあるので、ぜひ最後まで読んでみてく~ださい。

在宅緩和ケアのやり方は、実は色々ある

末期がんの患者さんを在宅で看取るとき、痛みや苦しさをどうコントロールするか——これは在宅医療の中でも特に重要で、かつ医師によってアプローチが異なる部分です。

よく使われる方法のひとつに「持続皮下注射」があります。麻薬(オピオイド)を小さなポンプで24時間持続的に注射し続ける方法で、症状が安定しやすいというメリットがあります。苦しくなったときは家族がボタンを押して追加投与できる機能(PCA)もあります。

こんなやつ@クーデックエイミー↓

在宅緩和ケアの現場では、この持続注射を使うケースが多い印象です。

でも今井は、ベースの症状緩和ができている場合に限っては、少し違うアプローチを最近は好んでいますよ。

今井が好むやり方——貼付薬と座薬、そして頻回訪問

今井がベースとして使いたいのはまずは内服薬、そして内服が出来なくなった場合は貼付薬です。

そして「突出痛」や「急に苦しくなった」というときは——家族に持続注射のボタンを押してもらうのではなく、訪問看護師に連絡してもらい、看護師が来て座薬を使うというやり方を好んでいます。

つまり「何かあったら家族が対応する」ではなく「何かあったら看護師が来る」という体制です。

なぜこのやり方が好きなのか

①家族の不安が「訪問のたびに」解消される

持続注射を家族に管理してもらう場合、家族は「今の状態はこれでいいのか」「量は合っているのか」「何かあったらどうしよう」という不安を抱えながら介護することになります。

でも「何かあったら看護師さんに電話すればいい」という体制であれば、家族は「プロが来てくれる」という安心感の中で介護できます。

そして看護師が訪問するたびに——患者さんの状態を確認し、家族の不安を聞き、「今はこういう状態で、こう対応しています」と説明してくれる。ただ単純に医療処置をするのではなく、それ以上の付加価値を看護師さんが提供してくれる・・・これはかなり大きな価値だと考えています。

結果不安は訪問の回数だけ解消されていく。これが今井の実感です。

②家族に「医療の判断」を委ねなくていい

「苦しそうだから追加投与していいのか」「今押すべきかどうか」——家族がこういった判断をしなければならない状況は、精神的にかなり重い。

最期のときに「私の判断が正しかったのか」という後悔を残してしまうこともあります。

看護師が来て判断・対応してくれるなら、家族は「そばにいること」に集中できます。

③訪問看護師のやりがいにつながる

これは少し内向きな話ですが、今井が大事にしていることのひとつです。

頻回訪問をすることで、訪問看護師は患者さんの変化を細かく感じ取ることができます。「昨日より表情が穏やかだ」「今日は少し息苦しそう」——ケアをきちんとできるこの積み重ね、間違いなく今井は訪問看護師さん自身にとっても在宅緩和ケアのやりがいになると確信しています。(この感覚が理解できないなら・・・それはもう訪問看護やらないほうがいいのかも(^^♪)

「週に2回の定期訪問だけ」より「状態に応じて何度でも来る」という関わり方の方が、看護師としてのより深い経験になり、患者さん家族との信頼関係、彼らからの学びも大きくるはずです。

ただし、前提条件があることは忘れないで!!

このやり方がうまくいくには、いくつかの前提が必要です。

〇 ベースの症状緩和がすでにできていること——突出痛・呼吸苦が頻繁に出るような不安定な状態では持続注射の方が適切なケースもあります。さすがに1日5回とかが連続してずっーと続けば看護師さん倒れちゃいます(^^♪

〇 訪問看護師が迅速に動ける体制があること——「何かあったらすぐ来てもらえる」という体制がなければ成立しません。小さな訪問看護ステーションさんならちょっと負担かも・・・

〇 家族が「看護師に任せる」という安心感を持てること——家族の性格・状況によっては「自分で何かしたい」という気持ちが強い場合もある

どのやり方がベストかは、患者さんと家族の状況によって変わります。今井がこのアプローチを好むのは、多くの場合においてこの方法が家族の不安を最も和らげると感じているからです。

在宅緩和ケアで大切にしていること

最期の時間を自宅で過ごすということは——医療的な管理をしながら、同時に「その人らしく、家族と一緒にいる時間」を守るということです。

医療者が「効率よく症状をコントロールする」ことだけを考えると、家族が医療の補助者になってしまうことがある。でも家族は補助者ではなく、その人の人生の最後に「一緒にいる人」であるべきではないでしょうか??

頻回訪問で看護師がしっかり関わることで、家族は「医療のこと」を任せて「そばにいること」に集中できる——今井はそれが在宅緩和ケアの理想の形だと思っています(^^♪

今日も暑いですが頑張っていきましょうか!!今日が皆さんにとって素敵な1日となりますように!!