公開日:2026年08月09日

スタッフが辞めて倒産する時代——医療法人のスタッフマネジメントを本気で考える【「従業員退職型」の倒産動向(2026年1-7月)】

こんにちは、札幌のかかりつけ医&病棟医&在宅医@今井です

今回は法人経営者として気になるレポートをみつけましたので皆さんにシェアします。こちらをどうぞ↓

帝国データバンク「従業員退職型の倒産動向(2026年1-7月)」(2026年8月7日発表)

PDFはこちらです。

レポートのまとめ

〇 2026年1-7月、従業員や経営幹部の退職が直接・間接的に要因となった「従業員退職型」倒産は83件——前年同期(74件)より12.2%増加

〇 コロナ禍の2022年以降5年連続増加。このペースで推移した場合、単年で過去最多の更新が確実

〇 最も多い業種は「サービス業」(22件)——老人福祉施設・美容室などの発生が目立つ

〇 近年の特徴として「賃上げできず」倒産も発生——コストアップをサービス・商品価格に転嫁できず、賃上げ原資を確保できないままキーマンが流出するケースが増加

〇 正社員の2社に1社が人手不足を実感——「採用難」と同等に、既存従業員の「退職」が大きな経営リスクになっている

今井が気になったこと

「老人福祉施設でのサービス業倒産が目立つ」——これ、在宅やっている身として&医療・介護業界として他人事ではありません。在宅医療機関は老人福祉施設ほど大規模ではないですが、構造的な問題はほぼ同じです。

〇 訪問看護師・医師・ケアマネ——少数の専門職が事業の根幹を支えている

〇賃上げしたくても診療報酬の制約がある

〇 キーマンが1人抜けると現場が一気に回らなくなる

「あの先生がいたから選んでいた」「あの看護師さんがいたから安心だった」——在宅医療における患者さんの信頼は、法人ではなく個人に紐づいていることが多い。その人が辞めた瞬間に、患者さんごと離れていくリスクがある。

「待遇改善をしないことによる人材流出リスク」が顕在化している

レポートの中でこの言葉が特に刺さりました。

「待遇改善をしないことによる人材流出リスクが顕在化している」

これ、経営者として正直に言うと、医療法人でも全く同じ状況です。

最低賃金は年3%ずつ上がっていく。物価も上がる。他業種の給与水準も上がる。でも診療報酬はそれに比例して上がらない——この構造の中で「現状維持」の給与体系を続けることは、事実上の「相対的な待遇悪化」です。

「うちはそこまで悪くない」と思っていても、外の世界との比較で見れば徐々に不利になっていく。気がついたら「条件のいい別の職場」に引き抜かれていた——これが今の医療・介護現場の現実です。

スタッフマネジメントをブラッシュアップしなければ

これを防ぐためにはどうすべきか?

業績連動型の賞与の導入、業務改善によるバックヤード業務の負担軽減、きちんとした労務、勤務管理、人事部による組織横断的な定期ヒアリングなどは必須になるでしょう。

・・・ただこのレポートを読んで改めて感じたのは、仕組みを作るだけでは不十分だということです。

スタッフが「ここで働き続けたい」と思えるかどうかは、給与・制度だけでなく、日々の関わり方・成長できる環境・やりがい・職場の空気感——こういった「数字に出にくいもの」によって決まる部分が大きい。

医師として&経営者として、この「数字に出にくい部分」のマネジメントをもっと本気でやっていかなければと感じています。(当然数字に関わるところをきちんとやってから、とは言えますが)

スタッフの皆へ!

「うちは特別な医療機関だから&スタッフはわかってくれているから皆はすぐには辞めない」

そう思ってなんかまったく思っていません。現実に資格職・専門職、今は転職市場が活発です。訪問看護師の求人は増え続けている。在宅医療の医師採用も競争が激しくなってきている。よく理解しています。

「辞められてから考える」では遅すぎる。今いるスタッフが「ここにいたい」と思える環境、価値のある医療を一緒に作っていく。これは間違いなくやっていくので待っていてください(^^♪

ただ同時に皆が待遇面の改善や給与のアップを希望するなら(当然するとは思いますが)、事業所の数字にもこだわってもらいたいと思います。仕事しないのにお金だけくれ!は絶対に無理!(^^♪

これから先(少なくとも今井が経営に関わっている間は)法人と個人の両者がウィンウィンの関係である、そんな医療法人でありたいと今井は考えています。

皆さんの組織、従業員の待遇改善に毎年取り組んでいますか?

 

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