公開日:2023年09月27日

在宅医療クリニックにおけるMSW業務<連携の質はどう高めるか?>

こんにちは、札幌のかかりつけ医&在宅医@今井です。

先日法人の運営会議において「そもそも先生が考える在宅医療機関におけるMSWによる連携ってなぜ重要なんですか?何が大事なんですか?教えてください」との話がありました。そこで色々話したのですが一応ここに自分の意見を書いてみたいと思います。

そもそもMSWが在宅クリニックに限らず病院などの医療機関の連携室にいるのは「連携のプロフェッショナルだから」です。なぜMSWが連携のプロ?と聞かれると、自分なりの答えは

「MSWは専門職としての制度や社会状況についての知識を持ったうえで、医療機関の経営方針、現場の臨床判断、患者さんの状態や気持ち、家族の背景などを全て加味してどうやってこの患者さんに対してアプローチしてあげたほうがいいかを考えることができる職種」だと思っているからです。

経営だけを考えてもダメ、現場の判断だけでもベストではないでしょう。患者さんや家族の訴えを聞きつつも、先々を見通して、全てのバランスをとりながらうまくいくように調整してあげることができる・・・MSWにそんなことを求めるのは求めすぎでしょうか?いや、自分はできると信じています!(^^)!なので在宅クリニックとしてはかなり多いMSW6人体制の地域連携室を運営しているのです。

 

さて次の質問、「MSWの連携業務で大事なことはなんですか?」っていう質問ですが、それは上記にも似ていますが「三方よしの調整ができること」です。患者さん家族ー医療機関(医療者でもいいです)ー調整相手、この3者が納得できるように調整することがMSWの連携業務では大事だと考えています。

ではそのためにすべきことは何か・・・・皆さんは何だと思いますか?

答えは調整相手のことをたくさん知ること、です。患者さんの訴えや医療機関の状況は普通に業務していれば絶対きちんと確認することができると思うので、大事なことは調整相手が何を希望してどうしてほしいか、医療機関に何を希望するかをきちんと理解してあげることだと思います。それができれば在宅クリニックでは質の高い連携業務ができると思いますよ。

 

さてでは「相手のことを知る」っていうのはどのレベルのことをMSWは知っておくべきでしょうか。在宅クリニックに関して言えば自分ならこのレベルのことは調整のプロとしてMSWには知ってもらいたい、やってもらいたいと思っています。

病院についてなら→入院医療の提供が実際どのレベルかは必須。その上で入退院調整のMSWや看護師の顔と名前が一致して顔の見える連携がとれる。また相手がどのような調整を好むかを理解している、調整先の医療機関の運営方針についても理解している。HPには載ってこない、それ以上の現在の情報を把握している

訪問看護ステーションなら→待機の看護師さんの人数、診療範囲、得意な分野や事業所の特徴はミニマムな情報として知りたいですね。その上で所長の考え、事業ビジョン、調整する上で求めるものを把握もすべきだと思います。

居宅なら→ケアマネさんの人数、診療範囲はもちろん、各ケアマネにより好む調整方法を理解。付き合いのある事業所の把握や事業所運営方針などなど・・・

 

ということで上記のような”表にでてこない情報”を把握して調整するのが在宅医療機関における連携のプロのMSWには求められています。それをするためには事業所内で殻にこもって連携業務をするのではなく、どんどん自分で外部の医療機関、訪問看護ステーション、居宅介護支援事業所に足を運んで顔の見える連携をとりつつ、事業所の把握を自分なりに行う・・・そんな積極的な行動がMSWには必須です。それこそが”MSWがアクティブに外にでる”一つの意味だと思います。(対人援助はまた連携とは別なのでここでは述べません!(^^)!)

 

在宅医療機関におけるMSWは連携業務のプロであり、それができる資質をもっている・・・ただ本当の意味での質の高い連携をするためには、相手を知るためにどんどん外にでなければいけない。そう今井は考えているよってお話しましたよ。

いかがでしょうか?在宅医療機関におけるMSWの連携の質を高めるためには何をすべきか少し理解してもらえたでしょうか?そこまでやったら必ず「あのクリニックきちんと理解してもらえてるな」ってわかってもらって紹介患者さんも増えるし、こちらからの入院依頼などもスムーズにいけると思いますよ。

 

逆説的に問いますが

外にでない、顔の見える連携を個人でつくらないMSWが在宅クリニックで仕事をする意味はあると思いますか?

 

皆さんは在宅医療機関におけるMSWってなぜ必要だと思いますか?そしてその連携の質はどう高めていけると考えますか?MSWさんや在宅医療者一人一人がよく考えてみて下さいね!(^^)!

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