エーザイのアルツハイマー新薬「レカネマブ」、日本で保険診療になった場合の社会保障費へのインパクトはどうなるのでしょうか??
こんにちは、札幌のかかりつけ医&在宅医@今井です。
エーザイのアルツハイマー新薬「レカネマブ」がアメリカで正式承認されたようですね。7月8日のm3の記事です↓
エーザイのアルツハイマー新薬「レカネマブ」、日本では秋までに審査結果…米で正式承認
記事の要点をまとめると
①薬理作用としてはアルツハイマー病患者の脳内に蓄積する異常なたんぱく質「アミロイドβ」を取り除く→結果として認知症の進行を緩やかに
②症状の悪化を27%抑制
③今回米国の高齢者向け公的医療保険「メディケア」の適用になった。エーザイは、来年3月末までに1万人以上が使用すると見込んでいる
④エーザイが設定したレカネマブの米国での販売価格は、患者1人当たり年2万6500ドル(約380万円)。日本で保険診療になった場合、薬価は国が決める。米国よりも低くなることが一般的だが、それでも年間百万円単位になるとみられる。患者の自己負担は、国の高額療養費制度があるため、70歳以上の一般所得層(年収156万~約370万円)の場合は、年14万4000円が上限になる。
正直期待される作用と費用を考えるとどう考えても保険適応にすべきではないと思われますが・・・Cost-effectiveness考えていますか?現役世代が支えられますか?
ちなみに上記について(費用対効果)の論文はこちらにあります↓
ICER Publishes Final Evidence Report on Lecanemab for Alzheimer’s Disease
上記ではこう言及されています
— Using best estimates from current data, ICER analyses suggest lecanemab would achieve common thresholds for cost-effectiveness if priced between $8,900 – $21,500 per year —
これが日本で適応できるかどうか・・・どうなんでしょうね?
・・さらにもし適応となったとしても、2割負担、3割負担の人は医療費を考えて使用しないで、生活保護の人や外来医療費の限度額に上限のある低所得の人しか使えない、なんて笑えない状況になる可能性高いと思います。(精神科とかでもそうなっていますよね。高い薬を遠慮なく使用しているのは生活保護の人だけ、とか・・・)
本当に日本で公的保険に入れるべきでしょうか?社会保障費は無限にあるのですか?5公5民以上の税率負担になりませんか?そろそろ公的保険の守備範囲について、また医療費の自己負担について、正面から考える時期ではないですか?
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