公開日:2023年07月08日

これから地域枠で医師になることを考えている人は是非一読してもらいたいですね~未だに改善されない「地域枠制度の実態」~

こんにちは、札幌のかかりつけ医&在宅医@今井です。

普段はMRICさんの記事をあまり引用することはないのですが、この問題は是非これから地域枠で医師になることを考えている高校生やその親御さんに知っておいてもらいたいと考えたのでシェアさせて頂きます。是非一読してください。

MRIC Vol.23112 未だに改善されない「地域枠制度の実態」 

地域枠医師の親

2023年6月29日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行  http://medg.jp

6月4日の青森県知事選挙で初当選した官僚出身の新知事が、「私は青森の医師不足を解消することを公約にしてきました。これからは今までにない手法を使って医師の確保に取り組んでまいります!」といった喜びのコメントをしていました。この知事が君臨するために一体どのくらいの地域枠生が理不尽な要求に泣かされることになるのだろうと怒りと悲しみが抑えられず、地域枠の実態を投稿することを決意しました。以下、そのままを書くと本人が特定されてしまうため、いくつかデフォルメすることをご了承ください。娘は地域枠で支給された奨学金を全額返済しました(大金を工面するのはとても大変でした)。度重なる条件変更(解釈変更)が行われたことがきっかけでした。すると、大学から「地域枠で入学しておきながら、奨学金を返すとは卑怯なこと。大学としては絶対に許すことはできない。警察に突き出してもいいくらいだ。」と言われました。初めのうちは娘は「一方的な条件変更はおかしいと思います。」と理路整然と反論していましたが、その後何度も大学の先生方から呼び出され、面談という名の長時間の叱責が繰り返されました。「あなたのような嘘つきには、県も大学も専門医として認定されないようにしてやる。もしも他県で研修しようとするなら必ず邪魔をするし、一生追いかけてやる」などと言われました。反省ノートを作らされ「私が奨学金を返済したことはとても愚かなことでした。先生方のご指導に報いるために義務年限終了後もこの県で医師として働きます。」などと書かされました。
娘の大学のあるこの県では、地域医療講座の先生方に気に入られた人から優先的に希望の診療科に進むことができるようです。現在の娘は、当然、希望の科に進むことは許されず、本来希望しなかった科で義務年数が終わるのを指折り数えながら自分を押し殺し勤務をしています。出身大学の先生方や県の担当者らに言われたことされたことがあまりに恐ろしく、娘は自分の人生を諦めてしまいました。精神的にもおかしくなり、もう正気には戻れないかもしれません。
医療者を養成する立場の人達がここまでするのかと思いますが、娘のケースは決して特別ではなく全国的にも似たようなことが多く発生しているようです。都道府県別の専攻医採用数が公表されています1)が、採用人数の割合が上位の所は人気があるのではなく、それらの地方ほど違法なことが行われている(逸脱したパワハラで縛り付けている)のではと思えます。
厚労省は表向きには、県は地域枠生の希望を尊重しキャリア形成に配慮すること、県は地域枠生の専門研修機会を提供する義務があると謳っていますが、実際はこの方針は守られてはいません。たとえば、日本専門医機構では19の基本領域を定めていますが、この基本領域の診療科さえ、用意のない都道府県が10箇所以上もあります2)。これでは、県内で勤務しなければならない地域枠生は、選択できる診療科がやむなく限られてしまいます。三重大学麻酔科では不祥事により、専門研修が停止され研修ができなくなる時期がありました。県や大学の事情による地域枠生の不利益は入学前に予見できるものではありません。地域枠生にも将来の希望や人生設計がそれぞれあり、県の事情で希望の診療科に進めないことはあってはならないことだと思います。
日本医学会連合では、「(地域枠に関し)自治体によっては診療科の最終的な決定に際しては、「自治体の医療の現状、医師本人の特性(希望、能力、適性)等を総合的に勘案して、自治体が指定」という様な記載があり、必ずしも医師本人と自治体の間の平等な立場での合意が徹底していないケースが存在することは否定できない。」などと声明を出しており3)、当時の寺本民雄専門医機構理事長(地域枠離脱者には専門医認定をしないとの方針を打ち出した時期の理事長)さえも連合の理事として名前が掲載されています。

県や大学のみの都合で、地域枠生がやむなく進路変更を強要されるような時は、奨学金を返済して、契約の解除をさせてもらえるべきです。しかし、2023年3月の「奨学金を返済した際には従事義務が解消されると提言(すべきだ)」との医学連の要請に対して、厚労省医政局医事課は「地域枠制度については各都道府県と各学生との取り決めと認識しているため、具体的な内容や効力については回答を差し控える」「各学生のキャリア形成にも配慮して運用されていくべき」4) と答えるにとどまっています。つまり厚労省は、現在行われている都道府県による地域枠生に対する違法で執拗な締め付けをただ黙認しているだけです。

私は親として厚労省に相談しようとしましたが、何回電話をしても、「今、担当者がいないので何時にかけて下さい。」「さっきまでここにいたのですが、急にいなくなりました。」「30分後にかけて下さい。」「一時間後にかけて下さい。」の繰り返しで担当者と話すことを諦めるしかありませんでした。『そこまで言って委員会』の竹田恒泰さんも、省庁の担当者に相談しようとして、私とまったく同じ対応をされたとテレビで発言されており、びっくりしました。
ちなみに今の日本専門医機構の渡辺理事長は2月の定例記者会見で、「2022年秋まで専門医機構のホームページに『地域枠から都道府県の同意を得ずに離脱した場合は、研修終了を認めないと読まれかねない文章が出ていた』が、奨学金を返還した場合などさまざまな場合が考慮されるよう統一見解を出す」との発言をされました5)。厚労省よりもまともな対応だと思いました。

今年2月から、全国医学部長会議作成の「医学部の地域枠制度について」の動画が公開されています6)。内容は高校生向けで、
・ナレーション「巷では本人の意思とは関係なしに地方の病院に行かされる、ライフイベントが制限されるなどネガティブな情報が流れていますが、これらは決して地域枠の本質ではありません。」
・地域医療支援センター神田健史氏「(卒業後のキャリア形成などについても)安心してください。」
・染矢教授「地域枠についてどうも正確な情報が伝わっておらず誤解されている点も見受けられます。」「大学や自治体によっては運用の違いが若干ありますが大学も全力で皆さんをサポートします。」
などです。

地域枠についてはすでに新聞、雑誌、シンポジウムなどで多くの問題点が指摘され、弁護士団体からも地域枠制度の改善を求める声明が出されていますが、誤解なのでしょうか。誤解でもなく、安心もできないのがこの制度の実態 (本質?) だと思います。

 

 

個人的には地域で働く医師を確保したいのならば、入口で選別するのではなく出口の部分(医師になるとき)で調整すべきと強く思います。地域枠の医師の問題は、これから先10年20年単位で考えた時に大きな医療行政上の失策として振り替えられるであろうと自分は考えています。

皆さんは上記記事を読んで何を感じますか?

 

現在の求人に関して

入職祝い金制度導入しました。是非直接応募ください→こちらをどうぞ!

法人運営をしてみたい方、事務長したい方募集していますこちらをどうぞ!

23年秋or24年度から勤務できる医師を募集中→こちらをどうぞ!

道外からのUターン、Iターンの方お待ちしています→こちらをどうぞ!

札幌市外の道内の医療職の方、札幌に引っ越しして当院で勤務しませんか?→こちらをどうぞ!

人事部立ち上げました!!一緒にやってくれる方まだまだ募集しています!こちらをどうぞ!

医療事務も随時募集しています→こちらをどうぞ!

当院について

2023年上半期、それ以前の当院の診療実績→こちらをどうぞ!

最近よく読まれているブログまとめました→こちらをどうぞ!

現在の目標は2024年に病院を開設すること!一緒に病院つくりませんか?→こちらをどうぞ!

南区の分院、さっぽろみなみホームケアクリニックについて

さっぽろみなみホームケアクリニックでは常勤医を募集しています!→こちらをどうぞ!

クリニックでMSWを、併設の訪問看護ステーションで訪問看護師を募集しています→こちらをどうぞ!