夏に開業を考えている○○先生へ~本当に大丈夫ですか?1年か最低でも半年は延期したほうがいいのではないでしょうか?
こんにちは、札幌の在宅医@今井です。
在宅の分野で開業を考えている○○先生とは昨年から今年にかけて何度かやり取りをし、開業への強い気持ちが満ち満ちていることがよくわかりました。ただその先生の考えている開業時期は7月~8月とのことで現在準備中とのこと。何度か「本当に今でいいの?」と確認したのですが、その時期をずらす気はなさそうです・・・
自分も開業する前のうずうずした感じはすごいよくわかるので、気持ちとしては十二分に理解できますが、如何せんこの時期の開業はリスクが高すぎると感じます。自分が開業がこの時期にリスクが高いと考える理由を以下に書き出してみます。
在宅医療の分野での患者さんの流れや制度が今年夏から冬にかけてどうなるかが全く不透明
例年と異なり今後の在宅医療の患者さんの需給がどうなるのか、制度がどうなるのかが全くわかりません。これは先行きが見通せない状況ですので少なくとも開業に適した時期とは到底思えません・・・
スタッフの管理が難しい
スタッフ自体が熱発時の対応をどうするのか、スタッフ家族が体調不良時にどうするか、仮にスタッフを休ませると少人数の診療所は業務が回らなくなる可能性あり、かといって多くの人数は雇えないし、休ませないこともできない。休業補償の適応や傷病手当金の対応、労災の適応の有無など診療所運営管理者としての業務もかなり難しいです。正直自分は開業1年目の時これらのことはなーんにも知りませんでした(^^)でもそれはそれが許される状況ではあったんです。今はそうではないですよね
医材の確保が不透明
気管カニュレなども入手困難となることがありましたがこれから夏から冬にかけて必ずどこかで医材が入手困難になる時期が再度来ると思います。既存の医療機関で卸と長く付き合いのある所でも入手が難しくなるであろうのに、新規の医療機関がどれだけ割り当てをもらえるのか・・・正直今開業すると臨床以外のこれらの管理業務で悩むことが通常の300%以上多い状態ではないかと思いますよ。
臨床上も診療リスクが高い患者さんが多くなる
熱発患者さんの対応一つとっても往診時にどうするかはよくよく検討が必要ですし、そこから自身がコロナ感染するリスクもあります。さらに病院にもすぐには現状入院できないので、自宅でできるだけ頑張る必要があります。そこを経験がない状態でどこまで頑張れるのか・・・正直不安要素が大きいです。
どうでしょうか。自分は若い先生が開業するのを全く否定的には考えませんし、チャレンジするのはいいことと思いますが、それでも今この時期だけはどう考えても開業すべき時期とは到底思えません。失敗してもリカバーできますが、2度目はかなり慎重となり大胆なことはできなくなるでしょう。
○○先生、開業するのをとめはしませんが、せめて半年~1年程の状況確認をした後のほうがいいのではないですか?経営するなら、無理な時期には無理と判断し撤退する勇気をもつことも経営上は大事ですよ。どうしても今開業したいと思っても、現時点で開業する理由が「自分が今開業したいから」という気持ちの理由だけで、他に明確なメリットとなる理由がないのなら開業時期を再考するは決して恥ではないですよ。
・・・・と本当は会ってお話ししたいのですが、この話題、実は何度か自分から○○先生にお話していますので今回はご本人には直接言いません・・○○先生、先生とは何度もご飯を食べて楽しい時間を一緒に過ごしていますので、本当に開業するなら失敗してほしくはないんです。この時期はどう控え目にみても開業に適していない時期だと思うので、開業時期は再考したほうがいいかと思います。どうしても開業するのならば、極力軽装開業で、いつでも撤退できるような準備をしておいてくださいね。
ということで、当院には札幌市内を問わず色々な地域から在宅メインでの開業希望の先生の相談が来ますが、できるだけ真摯に相談にのりアドバイスをするようにしています。何か相談がある医師の方いましたら気軽にご連絡くださいね。自分も最初開業考えた時は気軽にしないの開業医の先生に相談したところからすべてが始まりました。次は自分が開業を考える先生に力になれればなと思っていますよ~
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