公開日:2019年12月13日

石巻赤十字病院のトリアージ訴訟の結果は在宅医療にも大きく影響を及ぼすでしょう・・・・・

こんにちは、札幌の在宅医@今井です。

 

東日本大震災時の石巻赤十字病院のトリアージ訴訟ですが、3000万円の支払いで和解が成立したようですが本当にこれでいいのでしょうか?

以下詳細(気になるところは赤字にします)

トリアージ訴訟で和解成立

「東日本大震災の直後、石巻市の病院が行ったトリアージが適切だったかどうかが争われた裁判は、病院が災害時の適切な医療にいっそう尽くすことなどを条件に、和解が成立しました。

当時、石巻市に住んでいた95歳の女性は、東日本大震災の3日後に石巻市の石巻赤十字病院に搬送され、トリアージでほぼ治療の必要はないとされる緑色に判定されましたが、その3日後に脱水症で死亡しました。
女性の遺族は病院に賠償を求める裁判を起こし、トリアージの判定など病院の対応が適切だったかどうかが争点となっていました。
原告の代理人によりますと、12日、仙台地方裁判所で協議が行われ、病院が哀悼の意を表明することや災害時の適切な医療にいっそう尽くすことなどを条件に、和解が成立したということです。
原告側によりますと、裁判所からはこれまでの審理で、「当時の詳しい記録が残されておらず、女性には震災による直接の被害がなかったことなどから、トリアージの判定自体に過失があると立証するのは容易ではない」という見解が示されたということです。
一方で裁判所は、「女性が病院に運ばれたときに持っていた健康保険証や薬手帳の存在が病院側に認識されず、対処が必要だとされなかったことは厳粛に受け止めるべき」という考えも示したということです。
女性の遺族の代理人は、「原告の考えについて、裁判所と病院に一定の理解が得られたことから和解に至りましたが、今後、2度と同様の不幸が起こらないことを心から期待します」とコメントしています。」

 

裁判所の判断も明らかに災害医療への理解がないですし、何よりこれから先の災害医療の萎縮を招くことは間違いありません。また遺族側の弁護士のコメントも医療者としては理解ができないものですね。「今後、2度と同様の不幸が起こらないことを心から期待します」というのであれば、災害時の医療なんて提供することができなるということがわかっていないのでしょうか?(多分理解した上での立場上のコメントだと思いますが・・・・)

 

いずれにせよ今回の裁判で明らかにされたことは

①災害時でも提供する医療の質の善し悪しは平時の状態が判断基準になる

②これからはこのような医療者にとっては理解ができない訴訟が増加する

ということでしょうかね。

これから在宅医療もどんどん普及していくと思いますが、在宅医療がらみの訴訟もきっと本案件と同様に起きてくるでしょうね。これから5年以内には社会問題となるような気がします。

普段在宅医療を受けている→災害時の対応で入院する必要がない、もしくは入院させてくれなかったため自宅療養→体調が急変し死亡した、となた場合、このような裁判の判例を基に考えると在宅医や訪問看護ステーションが訴えられる可能性がでてくると考えるのは間違っているでしょうか?

 

本裁判の和解解決は将来的に医療の様々な分野で歪みを生み出すことになると考えますが皆さんはどう考えますか?よければご意見くださいね。

 

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