公開日:2018年03月14日

2025年に向けて国が検討している事~参議院調査情報担当室の資料を読む

こんにちは、本日も朝7時から診療の宮の森の医師@今井です。早起きってもうこれは習慣ですね。全く苦にならないようになってきました。

さて本日は参議院の調査情報担当室から2025年問題にむけて医療政策をどういう風にしていくべきか、国の検討している内容がよくわかる資料がありましたのでお見せします。資料作成自体は2017年とのことですが内容的には全く色褪せていません。将来医療をとりまく情勢がどうなるのか、一緒にみてみましょう。

参議院調査室作成資料 経済のプリズム より 平成30年発行分 第167号 「2025 年を見据えた医療・介護制度の在り方」 からわかりやすく今井が興味のある部分のみ

ということでもう少し気になる文言を文章として拾ってみます。

3.日本の医療制度改革に向けての提言
(費用対効果分析の重要性)
提言としては、医薬品や医療機器の費用対効果分析をする。また、診療ガイドラインの導入時に、薬の有効性とともに、費用対効果を重視する視点が必要です。
治療の品質のばらつきについては、専門医研修が日本では努力義務で、必修
ではないということがあります。これは自由標榜制と言われるものですが、専門医研修は必修化するべきであろうと思います。必修化は、2017 年度から始まる予定でしたが、既に1年延期されています。「大きな病院に行かないと専門医研修ができないため、地域に医者がいなくなる」という反対意見もあります。
大学病院の仕組みをどうするかは議論すべきですが、それが専門医研修を行わないことには結びつかないと思います。国民が質を担保された医療を受けるためにも、専門医研修制度不可欠と思います。
2018 年度には 19 番目の基本領域として、「総合診療専門医」が導入されることになっています。総合診療専門医とは、世界的には家庭医(family physician)やGPと言われるプライマリ・ケアの専門医です。高いコスト意識をもって、優れた費用対効果を目指します。
(病院・病床の再編の必要性)
二つ目の提言として、病院・病床の再編は必要です。病院の再編と言うと、
要介護度の高い人を家族が疲弊しながら自宅介護するイメージと重なるかもしれません。しかし、高齢者の場合は入院することで、ますます医療・介護が必要になったり、認知症が進んだりということがあります。

また、質の担保された専門医研修の必修化、特にプライマリ・ケアの専門医
は重要です。「プライマリ・ケアは離島や僻地に必要だが都市部には要らない」と言う人もいますが、都市部にも必要だと思います。
(健全な財政運営を義務づける法的枠組み)
費用対効果分析は、これから進むと思いますが、医療制度の議論だけをして
いても、なかなか改革はできません。イギリスは費用対効果を進めている国の一つですが、独立した財政機関があります。日本では概算要求基準(シーリング)がありますが、一般会計の当初予算を対象としており、例外も多いです。
また、補正予算や特別会計により、個々の政策の有効性が低くても予算が付き、歳出が非常に膨れやすい構造になっているいます。しっかりした検証をして、これまで予算が厳しすぎたところに予算を付けるのであれば良いのですが、日本では、政府や国会から独立した財政機関や拘束力のある支出ルールといった、財政運営を規律する法的枠組みがありません。そのため、医療制度だけの議論で、いくら費用対効果が重要だと話していても、解決できない点も多いのではないかと危惧しています。

 

 

ということでまとめると

1新専門医制度の導入と総合診療医の養成をより一層推進

2病床再編の推進

3診療に費用対効果の視点を組み込みガイドラインを作成する、さらに多職種連携を推進するような方向に支払方法を変える

っていうことがベースの議論としてはどんどんされているってことを医療者も理解しておかないといけませんね。

特に自分が面白いなと思ったのは3の視点でしょうか。ガイドラインに費用対効果を組み込み多職種連携を推進する方向に診療報酬の制度を変えるって既存の医師(特に年が行けばいくほど)抵抗が強くあるんじゃないかなぁって気がしますがいかがでしょうか?何か皆さんはご意見ありますか?よかったら教えてください。