公開日:2021年12月17日

世界銀行からの資料~医療費負担で5億人以上が極度の貧困層化または貧困が一層深刻化~

こんにちは、札幌のかかりつけ医&在宅医@今井です。

 

12月12日にThe world bank(世界銀行)からコロナ禍における世界の保健状況についての資料が公開されました。ともすれば日本国内のみの狭い視点で物事を考えがちですが、俯瞰的な視点をもつのも悪くないのかなと思いましたので資料提供します。興味ある方は一読してみてください。

医療費負担で5億人以上が極度の貧困層化または貧困が一層深刻化

新型コロナウイルス感染症危機が招く世界の保健サービスの混乱

ドバイ/ジュネーブ/ワシントンDC、12月12日 — 世界保健機関(WHO)と世界銀行がまとめた新たな調査結果によると、新型コロナウイルス感染症の世界的流行により、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)達成に向けた20年来の歩みが中断される可能性が高いことが指摘されている。両機関はまた、今回の危機以前にも、医療費の自己負担のために極度の貧困またはさらに深刻な貧困に陥った人は5億人以上に上ったが、危機により状況は一段と悪化する可能性が高いとしている。

こうした調査結果を掲載しているのは、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ・デーの12月12日に発表された、相互に補完する2巻の報告書で、今回の感染症危機の結果、保健医療サービスを受けることやその代金を負担することが極めて困難になっていると強調している。

2020年、感染症の世界的流行により保健サービスが混乱に陥り、各国が新型コロナウイルス感染症の影響への対応に苦戦する中で、保健システムは限界を超えるに至った。その結果、例えば予防注射の接種率は10年ぶりに低下に転じ、結核とマラリアによる死者が増えるなどの影響が目立っている。

新型コロナウイルス感染症の世界的流行はまた、1930年代以降で最悪の経済危機を引き起こし、医療費の自己負担を一段と難しくしている。今回の危機以前にも、医療費負担のために極度の貧困または一層深刻な貧困に陥った人は5億人に上っていた。報告書は、その数が大幅に増えたとみている。

「一刻の猶予も残されていない。」と、WHOのテドロス・アダノム・ゲブレイェスス事務局長は述べた。「全ての国の政府がただちに、国民の誰もが経済的負担を感じることなく保健サービスにアクセスできるようにする取組みを再開・加速しなければならない。そのためには、保健・社会的支援への公共支出拡大に加え、近所で基本的な保健医療が受けられるようプライマリ・ヘルスケア・システムの強化が求められる。」

「新型コロナウイルス感染症危機の前には、多くの国で進歩が見られたものの、十分とは言えなかった。今こそ、次なる感染症の世界的流行などのショックにも持ちこたえ、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジの達成に向け邁進できるだけの強力な保健システムを構築しなければならない。」と同事務局長はつけ加えた。

WHOと世界銀行による今回の新報告書はまた、貧困の悪化、所得の減少、財政状況の悪化に伴い、経済的困窮は一段と深刻化する可能性が高いと警告する。

「新型コロナウイルス感染症危機の前でさえ、家計の10%以上を医療費に費やす人は10億人近くに上った。」と、フアン・パブロ・ウリベGFFディレクター兼世界銀行保健・栄養・人口グローバル・プラクティス・ディレクターは述べた。「特に最貧困層が最も深刻な打撃を受ける中で、こうしたことはあってはならない。財政的制約がある中、政府は保健予算を確保し、増やすために難しい選択を迫られることになる。」

今世紀の最初の20年間、多くの政府が保健サービスの対象拡大を進めた。今回の危機が始まる前の2019年には、産前・産後ケアや性と生殖に関する健康サービス、予防注射、HIVや結核、マラリアなどの病気の治療、がんや心臓病、糖尿病など非感染性疾患の診断や治療といった基礎的保健サービスを受けている人は、世界人口の68%に上った。

ところが、安価な医療費の確保という意味ではそのような進歩は見られなかった。そのため、最貧困層や農村部住民は保健サービスを最も受けにくく、医療費の家計への影響に最も対応が難しかった。医療費の自己負担が原因で貧困に陥った世帯の最大90%が既に貧困ライン上にあるか同ラインを下回っているため、貧困層の医療費免除や、そうした措置を現場で適正な医療が実施できるような保健財政政策で支える必要性が高まっている。

貧困・脆弱層を対象とするサービスを優先し、的を絞った公共支出や、人々を経済的苦境から守る政策と組み合わせるほか、サービスへのアクセス、対象範囲、医療費自己負担、総支出に関するデータの収集、即時性、分析もまた重要となる。保健システムの実態を正確に把握して初めて、国は全国民のニーズに応えるための改善に向け効果的に的を絞った措置を講じることができる。

新型コロナウイルス感染症危機から回復して以前よりも良い状態を実現し、国民の安全・健康・経済的安定性を維持しようとする各国に向けて、今回発表された2巻の新報告書は共に、警告と指標を示している。

世界銀行グループの新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対策

新型コロナウイルス感染症危機が始まって以降、世界銀行グループは、過去に例を見ない迅速かつ大規模な危機対応として、1,570億ドル以上を提供し、感染症による保健、経済、社会面への影響と戦ってきた。世界銀行グループの資金は、100カ国以上において、感染症予防の強化、貧困層の保護と雇用の維持、気候変動に配慮した回復の活性化に充てられている。世界銀行はまた、60カ国以上の低・中所得国(半数以上がアフリカ諸国)よる新型コロナウイルス感染症ワクチンの調達・配布を支援しており、2022年末までにこのための資金200億ドルを提供する用意がある。

 

 

コロナ禍においてWHOの威厳、というかメッキが剥がれたこの数年だったかと思いますが、今後世界的な問題に対して有効な対応ができるのでしょうか??

いずれにせよ世界においても、日本においても改めてプライマリーケア(かかりつけ医)の重要性が認知される傾向はしばらくは続きそうかなと感じた資料でしたよ。皆さんの意見はいかがでしょうか?

 

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