公開日:2022年12月04日

改正感染症法はこれだけでは片手落ちなのは皆さん理解されているでしょうか?~特定機能病院、公的病院は対応が義務化に~

こんにちは、札幌のかかりつけ医&在宅医@今井です。

 

皆さんご存じでしょうか?2022年12月2日の参院本会議で、自民、立憲民主両党などの賛成多数のため改正感染症法が可決、施行されることになりました。

以下記事どうぞ、NHKさんより↓

地域の医療提供体制強化 改正感染症法など成立 参院本会議

中身が大事なので引用させて頂きます。(特に気になる部分は今井が赤字にしました。)

 

地域の医療提供体制の強化策を盛り込んだ改正感染症法などが、参議院本会議で賛成多数で可決・成立しました。今後、都道府県は、感染症のまん延に備えて医療機関との協定締結に向けた協議を進めることになります。

成立したのは、改正感染症法や改正予防接種法、それに改正医療法などです。
改正法は、都道府県に対し、感染症の予防計画を策定し、地域の中核となる医療機関と事前に協定を結んで、病床や外来医療を確保することなどを義務づけています。
また、都道府県は医療機関に対し協定に基づいた医療の提供を勧告したり、指示したりすることができ、協定に従わない特定機能病院と地域医療支援病院については、国や都道府県が承認を取り消すことがありうるとしています。
協定を結んだ医療機関が、感染症の対応で収入が減った場合、流行前との差額を補填(ほてん)する財政支援も盛り込まれています。
一方、改正感染症法の付則には、新型コロナの感染症法上の位置づけや、後遺症に関する医療の在り方について、速やかに検討するよう政府に求めることも明記されました。
成立した改正法は一部を除いて、再来年・令和6年4月に施行されることになっています。

予防計画・医療機関との協定

【改正法のねらい】
今回の一連の法改正は、これまでの新型コロナ対応で浮き彫りになった課題の解消に主眼を置いています。
【予防計画の充実】
改正感染症法では都道府県などが策定する「予防計画」をより充実させるため、新たに、▽確保する病床数、▽発熱外来の数などの数値目標を明記するとしています。
【医療機関との協定】
策定した「予防計画」に沿って、都道府県は、医療提供体制の確保に向けて、あらかじめ医療機関と協議を行い、協定を結びます。
▽公立や公的な医療機関▽大学病院などの特定機能病院▽地域医療支援病院といった地域の中核となる医療機関には、感染症が流行した時の医療提供が義務づけられます。
都道府県は、協定に基づいた医療の提供の勧告や指示ができるようになり、従わない医療機関の名前を公表できるとしています。
それでも従わない場合は、特定機能病院と地域医療支援病院については、国や都道府県が承認を取り消すことがありうるとしています。
一方、協定を結んだ医療機関が、感染症の対応で、収入が減った場合には、流行前との差額を国や都道府県からの補助金と公的医療保険から、それぞれ補填する措置も明記されています。
また、地域の中核となる医療機関に限らず、すべての医療機関には、▽協定に関する協議への参加と、▽「予防計画」の達成に必要な協力をすることなど努力義務も課されます。
【医療人材の広域派遣】
感染拡大で医療がひっ迫した自治体の知事は、国を通してほかの自治体に応援を求めることができます。
特に緊急性がある場合には、要請がなくても、公立や公的な医療機関などに、国が直接医師や看護師の派遣を求めることができるとしています。

ワクチン接種・物資の確保

ワクチンの接種は原則、医師と看護師以外行うことができませんが、新型コロナ対応で打ち手が不足したため、現在は、特例として、歯科医師などにも認められています。
こうした特例措置を裏付けるのが改正新型インフルエンザ等対策特別措置法です。
厚生労働大臣が協力を要請した時に限って、▽歯科医師、▽診療放射線技師、▽臨床検査技師、▽臨床工学技士、▽救急救命士に認めることになります。
また、改正予防接種法では、マイナンバーカードを活用して接種の対象者を確認するといった接種に関連する事務のデジタル化を進めることが可能になります。
【マスクなどの物資確保】
これまでは、マスクや抗原検査キット、血液中の酸素濃度を測る「パルスオキシメーター」などが不足することがありました。
このため、改正感染症法では、緊急時に、国による事業者への生産や輸入の要請を可能にするとともに、事業者の計画に問題がある場合には、国が変更を指示できるようになります。
また、正当な理由なく国の指示に従わなかった場合には、企業名の公表もできるとしています。
一方で、要請や指示に基づいて生産や輸入などを行った事業者には必要な財政措置を行うとしています。

水際対策も強化

改正検疫法は、日本に入国する人への水際対策を強化するものです。
空港や港の検疫所の所長は、感染のおそれがある人に、自宅などでの待機や報告など、感染防止への協力を求めることができるとしています。
正当な理由なく協力に応じない場合は、待機の「指示」が可能となり、従わない場合は6か月以下の懲役、または50万円以下の罰金を科すことも盛り込まれました。
こうした対策強化は年内に始まる予定です。

加藤厚労相「基本方針など示したい」

加藤厚生労働大臣は、記者団に「医療機関が地域で果たしている役割を踏まえて、積極的に協定の締結に協力してもらえるように、都道府県が予防計画を策定する段階から十分なコミュニケーションを図ることが必要だ。厚生労働省としても、その点を踏まえた基本方針などを示していきたい」と述べました。

東京都 小池知事「国の責任や判断は極めて重要」

感染症法の改正について東京都の小池知事は記者会見で「対策は地域性などもあり、自治体の権限が広がることは1つの前進かとは思う。一方で、ウイルスは県境などはあまり関係なく、全体で考えなければならない時の国の責任や判断は極めて重要だ」と述べました。

また新型コロナの感染症法上の扱いについて「『5類』への見直しについて、都として、国にずっと求めてきた。ワクチン接種の費用を誰が負担するかなど、いくつかの論点があるので、現場の声をよく聞いて混乱のないように丁寧に進めてほしい」と述べました。

簡単にまとめると
①特定機能病院や公的病院は都道府県と協定を結び感染流行初期に対応する義務を負う。
②減収したらその分は補填する(本当かな?)
③協力しなかったら承認取り消しもありうる
④そのほかの医療機関も努力義務として協力する義務を負う
っていうことですが、正直これだけでは片手落ちの法律ですよね。
そもそも公的病院や特定機能病院は現状でもほぼほぼ感染対策への協力は行っています。していない訳ではないんです。ただ補助金などの支援が潤沢でないととてもじゃないですが協力なんてできない状況なんですが、それはそういう病院経営状態にした国の責任でもあります。今後感染症が新たに流行した時に、減収した収益を補填するだけで対応せい、っていうのは100%無理だと思います。
医療機関にそれなりの対応を依頼するのであれば、裏付けとしてきちんと財源なり資源なり人材なりのバックアップをするという確約がなければ正直現場は継続した医療を提供することは難しいでしょう。
また感染症対策は高次の病院、医療機関のみが対応すればいい訳ではありません。転院先となる中小病院、または地域の発熱外来や在宅医療の現場など、全ての医療機関がある程度取り組まないと&対応できる体制をとらないと、ボトルネックが至る所に発生しどうしたって医療崩壊するのは目に見えていると思うのですが・・・・
ではなぜ片手落ちの法律でも成立させるのか?
個人的にはその理由は、今回のこの法はおそらく今後外来医療体制の再構築の際にかかりつけ医や開業医、中小の病院に転院受け入れ、発熱外来や予防接種、往診対応などを義務付けることを前提としているので、それが成り立つのを見通して特定機能病院や公的病院のみにしぼった対応としたのかな、と思っています。
答え合わせはどうなるのか・・・でも少なくともこの法律だけで医療現場の問題が改善すると考える医療者は皆無だと思います。どのような策を今後組み合わせてくるのか、むしろ今後の注目ポイントはそこではないでしょうか?皆さんはどう考えますか?

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