公開日:2016年01月03日

あけましておめでとうございます。

あっという間に一年が終わりまた新たな年が始まりました。1日は朝から看取りの患者さんの往診です。今年も忙しい一年になるのは間違いないですね。

ところで診療報酬の改定に関する議論ですが、自分は最近忙しすぎて全く気にする時間がなかったのでみていませんでしたが、かなり進んできています。その中で支払委員側の主張がかなり将来的な国の方向性を示唆しているように思えましたので抜粋します。方向性としては皆さんも理解していると思いますが在宅の診療報酬はこれからもさらに複雑化していきますね。支払や保険制度が複雑になればなるほど、本来業務以外にかかる時間が必要になり、結果として医療の質にも影響すると思いますがいかがでしょうか。自分しては在宅はもうある程度の状態に応じた包括支払にして24時間の体制に関して評価してもらえればそれでいいのではないかとも思いますが皆さんはどう考えますか?

以下支払(国)側の方向性の抜粋です。中央社会保険医療協議会第321回http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000107546.html から平成28年度診療報酬改定への意見について http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12404000-Hokenkyoku-Iryouka/0000108105.pdf からです。興味あるところだけ抜粋しますので皆さん各自原文みてみてください

P1~

○  わが国は、急速な高齢化の進展に伴い、医療費は増加の一途を辿り、25 年度にはついに国民医療費が 40 兆円を超えた。今後、一段と高齢化が加速し、さらなる医療費の増加は避けられない中で、医療の質や安全を確保しつつ国民皆保険制度を維持していくためには、社会保障と税の一体改革に基づき、超高齢社会に対応しうる効率的な医療提供体制へ再構築することが不可欠である。
○  国内経済が回復の途上にある中で、医療費を含めた国民の社会保障費負担の増加を抑制しなければ経済成長が大きく鈍化しかねない懸念があり、こうした背景から政府は、いわゆる「骨太方針 2015」で社会保障関係費の伸びを高齢化等による増加の範囲内におさめることを目指している。
○  以上のような状況下で、医療保険者の財政は依然として深刻である一方、医療機関の経営状況は全体としては中期的におおむね堅調に推移していると見られ、足もとで賃金・物価が改善傾向にあるとしても、長年にわたり賃金・物価の伸びを上回る診療報酬改定が行われてきていることを考慮すれば、診療報酬の引き上げを行うことは、到底、国民の理解と納得が得られない。そのため、支払側は 12 月 2 日の総会において、28 年度改定はマイナス改定にすべきであり、薬価等の改定分(引き下げ分)については前回改定と同様に診療報酬本体に充当せず、国民に還元すべきと主張したところである。
○  28 年度改定においては、効果的かつ効率的な財源配分を前提としつつ、その上で医療機能に応じた入院医療の評価として急性期をはじめ患者の状態像に応じた適切な評価や在宅医療の充実を図るほか、医薬品等への費用対効果評価の導入、いわゆる「かかりつけ薬剤師」の機能の発揮などによる残薬解消や多剤投与の是正、調剤報酬の適正化、新たな目標を踏まえた後発医薬品の使用促進など、全体として効率的で質の高い医療提供体制の構築と医療費の適正化を図っていくことを基本とすべきである。
○  この中で前回改定において重点的に取り組んだ入院および外来医療の機能分化・強化、連携の推進、長期入院の適正化、主治医機能の強化などの効果を検証し、さらに促進するための施策を講じるべきである。

P4~

(4)外来医療の機能分化
中小病院、診療所における主治医機能の強化による受診行動・服薬数の適正化、さらには医療保険制度改革法を踏まえた紹介状なしの大病院受診時に係る定額負担の導入により外来医療の機能分化や病・診連携をさらに推進すべきである。
①  慢性疾患を有する患者に対しては包括評価が適していると考えられることから、外来においても包括評価の拡大を検討していくべきである。
  地域包括診療料など主治医機能の評価について、多剤服用の回避が推奨されている認知症患者に対しては7剤ルールの適用を含め適切な服薬管理を推進すべきである。
  また、認知症とその他の慢性疾患を有する患者を対象として追加することについては、疾患の組み合わせごとの服薬状況などを確認した上で検討していくべきである。
  7剤ルールについては、多剤投与による患者への影響を踏まえ、引き続き規制を堅持すべきである。
  小児の主治医機能に関しては、対象とする年齢層のニーズに合った機能の発揮が重要であり、そのためには時間外対応加算を算定している医療機関の対応状況を検証した上で要件のあり方を検討すべきである。
②  紹介状なしの大病院受診時に係る定額負担においては、特定機能病院および 500 床以上の地域医療支援病院を対象とし、初再診時に徴収する定額負担は病診の機能分化を進める観点から初診時で 5,000 円程度、再診時においても効果が期待できる水準の金額設定が求められる。
  なお、導入後の初診料、外来診療料の評価は現行の仕組みを維持すべきである。

(5)在宅医療の推進
在宅医療は、超高齢社会における地域包括ケアシステムの中で不可欠な要素であり、必要な患者に対して質の確保が担保された在宅医療が提供されるよう、引き続き推進すべきである。
①  在宅医療における評価を患者の状態像に応じた体系へ転換する際は、長期にわたって医学管理の必要性が高い患者の基準を設定するとともに、訪問診療や往診の対象者である通院困難者の定義をより具体化する措置を合わせて講じるべきである。
②  患者の居住場所に応じた訪問診療時の評価区分は居宅等と高齢者向け集合住宅とに整理し、その上で同一建物における診療報酬上の評価は集合住宅内の診療患者数に応じた評価とすべきである。
  また、一般のアパートや団地で複数患者を診療した場合の一定の配慮については、調剤や歯科を含め、モラルハザードの防止を念頭においた明確な条件や点数の設定が求められる。
③  訪問薬剤管理指導時に、重複投薬または相互作用の防止を目的に必要に応じて行う処方内容の疑義照会を評価する場合は、投薬数や薬剤費の減少につながったケースを重点的に評価すべきであり、例えば特定の医療機関からの処方せん受付割合が一定以下であるなどを要件とすべきである。
④  介護施設における薬剤師の持参薬整理や、薬剤の管理等の取り組みの評価については、介護施設全般でどの程度の効果や必要性があるのか確認した上で慎重に判断すべきである。
⑤  同一建物患者に対する歯科訪問診療については、依然として 1 カ月の患者総数が 1,000 人以上の医療機関が存在しているため、歯科訪問診療 3 の評価の適正化を含めた見直しを検討すべきである。
⑥  歯科医療機関が病院等に対して歯科訪問診療を実施し、口腔機能管理を行った場合の評価については、検証調査の結果を踏まえ慎重にすべきである。
⑦  在宅自己注射指導管理料については、疾患の医学管理に関する部分を切り離し、自己注射の指導と衛生材料等に応じた管理料にするとともに、疾患別に医学管理と重複する特掲診療料との整合性を踏まえつつ、自己注射の方法等に関する指導の部分については導入初期を重点的に評価する体系へ改めるべきである。
また、本来自己注射に関する管理料は、在宅療養管理指導料とは性質を異にすることから、在宅療養管理指導料とは別途に扱うべきである。
⑧  在宅専門の医療機関については在宅医療の提供体制を補完する観点から認めることとし、同一建物患者のみを訪問診療する形態が生じないよう、同一建物居住者の割合、要介護度別の患者の割合、看取り件数などに着目した要件を設定し、外来機能を有しない点を踏まえた評価とすべきである。
⑨  訪問看護については、機能強化型訪問看護ステーションにおける看取りや重症児の対応機能の強化が求められる。

P6~

(2)調剤報酬について
①  ▽服薬情報の一元的・継続的把握、▽24 時間対応・在宅対応、▽医療機関等との連携-といった、かかりつけ薬剤師・薬局に求める機能・要件等を診療報酬上明確にし、かかりつけ薬剤師が医師と連携して患者の服薬状況を一元的・継続的に把握する業務を評価する報酬体系とすべきである。
  また、継続的な薬学的管理を進めるため、薬剤師による自主的かつ積極的な残薬削減の取り組みを要件化すべきである。
②  薬剤服用歴管理指導料については、求められる要件に即して評価の適正化を図るとともに、個別に加算で評価するのではなく、かかりつけ薬剤師の包括的な評価とすべきである。
基準調剤加算は、備蓄薬剤の品目数等を評価するのではなく、在宅業務の実績、開局時間、相談時のプライバシーに配慮した要件の追加や、  24 時間対応に関する実態に即した要件の明確化など、かかりつけ機能を有する薬局が評価されるよう、抜本的な見直しが必要である。
  さらに、かかりつけ機能を有する薬局に一定期間・一定時間以上勤務する薬剤師を配置することを、基準調剤加算の要件に追加すべきである。
  調剤料及びその加算(一包化加算等)については、調剤日数に応じて評価される体系を見直し、適正化すべきである。
  重複投薬・相互作用防止加算について、医師と連携の上、減薬等にかかる適切な疑義照会を進めることは薬剤師の本来業務であるため、加算できる範囲の見直しなど評価の充実は慎重にすべきで、むしろ処方変更につながったケースを重点的に評価すべきである。
③  お薬手帳については、更なる機能性の向上の観点から、規格の統一化を図った上で電子化を推進し、算定上、紙媒体と同様の取り扱いが可能とする方向で検討すべきである。
  かかりつけ薬剤師の普及を推進する観点から、2 回目以降にお薬手帳を持参した患者については、薬剤服用歴管理指導料を引き下げるべきである。
④  いわゆる門前薬局の評価の適正化に向け、処方せん受付回数と集中率による特例対象の要件については、次期改定以降、段階的に拡大するとともに、医療機関と特定の関係を有する薬局等も対象とすべきである。また、特例対象を除外するための 24 時間開局の要件は廃止すべきである。
⑤  未妥結減算制度は制度を継続することとし、対象薬局の範囲は維持すべきである。