公開日:2026年10月29日

精神科メインの訪問看護ステーションには一定の規制が必須では?【「行政はうちをつぶせない」と強気な言動…食材費過大徴収3億円、診療報酬不正4億円超…障害者福祉大手「恵」が事業者取消処分を受けるまで 】

こんにちは、札幌のかかりつけ医&病棟医&在宅医@今井です

10月28日のヤフーニュースさんで障害福祉関係の気になる記事がありましたのでシェアします。興味ある方は一読をどうぞ↓

「行政はうちをつぶせない」と強気な言動…食材費過大徴収3億円、診療報酬不正4億円超…障害者福祉大手「恵」が事業者取消処分を受けるまで 

まぁ・・・・在宅関連では○○ピス住宅もそうですがやりたい放題の所はありました(ます)からね。

さて文中で今井が気になったのは訪問看護に関しての言及です。長くなりますが引用させて頂きます。

「・・・恵は精神科の訪問看護ステーションも運営していた。「訪問看護」と聞くと、身体的な病気の患者や終末期の高齢者の自宅に行って、医療的ケアをする光景を思い浮かべる人が多いかもしれない。

だが、知的障害や精神障害、発達障害がある人の場合、特に身体的な疾患がなくても、服薬管理や生活支援が必要だと医師が判断して、「訪問看護指示書」を書けば、訪問看護ができる。訪問看護には介護保険が適用される場合と、医療保険適用の2通りがあるが、精神・発達・知的障害者を対象にした精神科の訪問看護は医療保険。

介護報酬よりも高めの診療報酬が支払われる。グループホームに入っている人にも訪問看護は提供可能で、近年はそうしたケースが増えている。

恵の場合は、グループホームの入居者が日中通う「生活介護事業所」という通所施設もホームの隣で運営するケースが多かった。「生活介護」というのは、重度の障害者が通うデイサービスのような施設だ。

つまり、恵は入居者に対しグループホーム、訪問看護、生活介護と3種類のサービスを自社で提供していた。公的な報酬も3種類それぞれで得ることができる。複数のサービスで自社へ誘導する「囲い込み」と呼ばれる手法だ。

名古屋市にある恵の訪問看護ステーションに勤めていた看護師ら複数の元社員はこう明かした。

「診療報酬をなるべく多く取るため、所長の指示で、必要のない入居者まで『健康管理』などと理由を付けて週3回、訪問看護に入っていた」

「利用者数に応じて所長の給与が増える仕組みだった」

「週3回」は制度の上限だ。看護の専門家に聞くと、週3回訪問が必要なケースは障害がかなり重かったり、状態が不安定だったりする場合だという。ただ、看護師が「週3回必要だ」と主張すれば、必要性を否定するのは難しい。

ある看護師は、ほかの看護師が記録上、早朝や夜間に訪問していることについて所長からこう聞かされた。「これ、実はこの時間には行ってないんだわ」。早朝や夜間の訪問には、報酬が加算される。そのため、実際の訪問時間とは違う虚偽の記録が作られていたという。

「ほかの看護師の中には、入居者の部屋のドアを開けて『元気? 変わりない?』と声をかけて、数分で済ませてしまう人もいました。でも、実績記録ではもっと長く訪問したことにしていた」。この看護師はそう証言した。

訪問看護を受け入れる側のふわふわ(恵が経営する施設の名称)の元スタッフもこう話す。「血圧や体温を測ることさえせず、私たちが測定した記録を書き写して、訪問したように装っていた看護師もいました」

しかし、訪問看護を提供するには、前述した通り、医師の指示書が必要だ。指示書はどうなっていたのか。

「恵と『グル』のクリニックが名古屋市内にあるんです」

「訪問看護ステーションの事務員が都合のいいように指示書を作り、後からそのクリニックのOKをもらっていました」

元社員らはそう話した。このクリニックの医師はふわふわに訪問診療に入り、訪問診療でも診療報酬を得ていたという。恵とクリニック双方にとって「ウィン・ウィン」というわけだ。薬局も、恵と通じているところがあり、都合のいいように薬を出してくれていたという。」

・・・どうでしょうか??

記事のポイントをざっくり整理すると、こんな構図になります。

①グループホーム・生活介護・訪問看護の3つを同じ法人で提供し、入居者を「囲い込み」していた
②必要性の乏しい入居者にも制度上限の週3回の訪問を入れていた
③早朝・夜間の加算を取るために訪問時間を偽って記録していた
④指示書は事業所の事務員が作り、「グル」のクリニックが後からOKを出していた

つまり、訪問看護ステーション単独の問題ではなく、指示書を書く医師、薬を出す薬局まで含めた「仕組み」として不正が回っていたということです。

精神科訪問看護は「不正が起きやすい構造」になっている!!

今井が以前から感じていること・・・それは精神科訪問看護の対象となる方の多くは、自立支援医療や生活保護などで自己負担がゼロ、もしくはかなり低く抑えられています。これ自体は必要な制度です。ただ、その結果として

〇利用者さん本人が「この訪問、本当に必要かな?」と感じても、お財布が痛まないので声が上がりにくい
〇ご家族が近くにいないケースも多く、第三者のチェックが入りにくい
〇「状態が不安定です」「週3回必要です」と看護師に言われると、外から必要性を否定するのはとても難しい

という状況が生まれます。性善説で回すにはあまりにも“隙”が大きい制度設計なんですよね・・・

もちろん、まっとうに、真面目に精神科訪問看護をやっている事業所があるのも事実です(今井もそういう事業所を知っています)。退院直後の不安定な時期に頻回に入ってもらって再入院を防げた、という方も実際にいらっしゃいます。ただ、精神科診療の現状や在宅現場での精神科訪問看護の実態を見ていると、全体としては「社会保障費が適正に使われている」とはなかなか言い難いのが今井の正直な感想です。

じゃあ、どうしたらいいのか??

今井個人としては、早々に何らかの規制や、事業所運営に透明性を求める条件づけが必須だと考えています。例えば

①訪問の実績(時間・場所)を電子的に記録して、後から検証できる仕組みにする
②指示書を出す医療機関と訪問看護ステーション・グループホームとの資本関係や人的関係を開示させる
③同一法人のグループホーム入居者への訪問が大半を占める事業所には、重点的に指導・監査を入れる
④週3回などの高頻度訪問が長期間続く場合には、定期的に必要性を見直す(再評価する)ルールを設ける

といったあたりは、まっとうな事業所にとってもそれほど負担にならず、一定ですが不正のブレーキになるのではないかと思います。

小児メンタルも聖域化せずに・・・

一部の訪問看護ステーションからは「小児のメンタル支援は絶対に必要だ!」という声も上がっています。それはそうだと思います。子どもの心の問題が深刻化しているのは、現場にいれば肌で感じますから。

ただ、マクロな視点で社会保障制度全体の持続性を考えると、今井としてはやっぱり「それはそうだね。けれど、一定の自己負担がある形でのサービス利用は必須だよね」と言いたいのです。“タダ”のサービスは、本当に必要な人に届く前に、どこかで歪んでしまう・・・今回の記事はまさにそれを示しているように思います。

この問題、皆さんはどう考えますか??現場で精神科訪問看護に関わっている方、利用されているご本人やご家族の方、行政の方・・・それぞれの立場からのご意見をぜひ聞いてみたいです。よければ一緒に考えてみてくださいね~

 

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