公開日:2026年08月18日

見えない経営者、見えないクリニック【一般社団法人の非営利性、国が重点チェックへ・・・】

こんにちは、札幌のかかりつけ医&病棟医&在宅医@今井です

以前このブログで「一般社団法人が運営する在宅医療クリニックは、やめたほうが・・・」という話を書きました。

一般社団法人が運営する在宅医療クリニックは、やめたほうが・・・

今井の個人的な意見として、一般社団法人が運営する在宅医療クリニックは、そこに勤務するのもそこの医療を受けるのも遠慮したほうがいいのではないか、と書いたわけですが・・・どうやら国(厚生労働省)も、ようやく本腰を入れ始めたようです(^^♪

■何が起きたか

2026年8月3日、厚労省から都道府県などに向けて、「一般社団法人が開設する医療機関の非営利性の確認のポイント」という事務連絡が発出されました。

確認したい方はこちらをご自身でどうぞ↓

一般社団法人が開設する医療機関の非営利性の確認のポイント及び医療機関を開設する一般社団法人が届け出なければならない計算書類等の様式等(通知

今年3月に医療法施行令・施行規則が改正され、一般社団法人が開設する医療機関についても、医療法人と同じように毎年度、事業報告書・貸借対照表・損益計算書等を都道府県に届け出ることが義務化されています(初回の届出は2027年度から)。

なぜこんな話になったかというと、そもそも一般社団法人は医療法人に比べて設立手続きが簡単で、都道府県も開設後に定款や役員、資産状況をきちんと監督できていない、業務内容にも制限がない(医療法人には「医療提供を主体とする」という規定がありますが、一般社団法人にはそれがありません)、という構造的な弱点があったんですね。

厚労省の調査でも、一般社団法人が開設する病院・クリニック・歯科クリニックの数はここ数年で相当増えていて、特に美容医療分野での開設が目立っているとのことです。

■非営利性、具体的に何を確認するのか

今回示されたポイントは大きく5つです(今井なりにかみ砕くと)

①法人の目的がそもそも営利じゃないか(定款や開設届に「地域医療の確保」「公衆衛生の向上」といった文言があるか。物品販売やリースの請負代行みたいな営利くさい文言が紛れ込んでいないか)

②利益の移転を禁止しているか(剰余金を配当しないと定款に明記してあるか。建物・設備の賃貸契約の借料が変に高くなっていないか。役員報酬が財政規模に比して過大になっていないか)

③解散時の残余財産の帰属先が国・地方公共団体・医療法人等に限定されているか

④役員が営利法人の役職員を兼務していないか(兼務していても医療機関経営に影響を与えていないか)

⑤1社員1議決権になっているか(変な議決権の傾斜配分がないか)

これ、正直に言うと・・・今井が過去にブログで「HPに開設者情報がない、院長名がない、勤務医の個人名が載っていない、どこかで借りてきたような簡素なHPで特徴がない」ところは大体怪しい、と書いた感覚と、かなり近いところを国も突いてきたなという印象です(^^♪

つまり「誰が、どんな想いで、その医療機関を経営しているか」が不透明な法人は、非営利性という建前の裏で、実質的に利益を吸い上げる仕組みになっていないか、という話なんですね。

■一般市民の皆さんへ

この話、正直「行政手続きの話でしょ」と思われるかもしれませんが、実はご家族の在宅医療選びに直結する話です。

非営利性が怪しい法人が運営するクリニックというのは、突き詰めると「医療の質」よりも「収益」が優先される構造になりやすい、ということです。往診の件数をこなすことが目的化していたり、緊急対応より施設回りが優先されたり、常勤医が定着せず入れ替わりが激しかったり・・・なんてことが起こりやすくなりますよね。

もしご家族が在宅医療を受けることになったら、施設やケアマネさん任せにせず、 ・HPに開設者・管理者(院長)の名前がきちんと載っているか ・勤務医師の顔と名前が見えるか ・運営法人がどこで、代表者が誰なのか このあたりを、面倒でもご自身の目で確認していただくことをお勧めします。今回の国の動きは、まさにこの「見えにくさ」にメスを入れようとしている、ということだと今井は理解しています。

とはいえ今回の通知、既存の一般社団法人立医療機関への本格的な確認は2027年度からで、届出書類が揃うにも少し時間がかかります。都道府県の運用にも差が出るでしょうし、「柔軟な運用にすべき」という自治体側の声も出ているようですから、すぐに劇的に状況が変わるわけではなさそうです。ただ、方向性としては間違いなく「非営利性の建前をきちんと実質化させよう」という流れですし、今井としては・・・まぁ市民目線で言うと歓迎すべきかなと思いますよ(^^♪

在宅医療は、患者さんの数だけストーリーがあります。だからこそ、その医療を担う法人がどういう成り立ちで、誰が責任を持っているのか、ご自身でしっかり見極めていただきたいなと思います。後で後悔することがないように・・・

さて今日は火曜日、外来がないので病棟&訪問の1日です。コツコツと頑張っていきたいと思います。今日が皆さんにとって素敵な1日となりますように!!

 

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