【在宅医療の現場から】患者さん、ご家族の「後悔のない決断」を支援していく
こんにちは、札幌のかかりつけ医&在宅医&病棟医@今井です
在宅医療の現場では、日々の医療行為と同じくら「意思決定の支援」という仕事が私たちの大きなウェイトを占めますよね。認知症であれがん末期であれ、病状が変化、進行するにつれて、
「どう最期を迎えたいか」
「どこで過ごしたいか」
「誰と時間を共有したいか」
という、患者さんやご家族にとって最も重い問いに向き合わなければなりません。ここで一つ注意すべきなのは、病院と在宅医療とでは”意思決定の性質が大きく違う”ということです。
病院での意思決定は、多くの場合時間的な切迫感がありますよね。体調悪化時にどう治療をするのか早く決断をしなければならない、または急変時の蘇生や治療の限界点がどこかを考える、など「ここからどうするか」という治療の選択を短時間で決定する、っていうことが主かなと。
一方、在宅の意思決定は「生活の選択」そのものであることが多いです。
例えば、「胃ろうを作るかどうか」「人工呼吸器を装着し続けるかどうか」といった大きな決断もそうですが、それよりもっと手前の「このまま自宅で過ごすために、どこまで医療的な処置を受け入れるか」という日常の選択の連続です。そして、病院と違って、結論を出すための時間的な猶予があることが在宅医療の大きな強みだと今井は考えていますよ。
先日、進行性の難病を抱えるBさん(70代・男性)のご家族とのお話で、改めてハッとさせられました。
奥様は当初(御本人から離れた場所で)、「先生、どこまで延命できるかハッキリ言ってくださいな」と強い口調で言われました。病院で長く闘病されたその経験から、「医療者がある程度最善の道を示してくれるはず」という思いが強かったのだと思います。
ただ今井からの返事としては、「○○さん、旦那さんの「治療の選択肢は複数ありますが、どの選択を選ぶかによって、Bさんの残りの日常生活やその時間の過ごし方を大きく変化すると思います。すぐに決める問題でもないので、今後訪問の毎に本人も交えてゆっくり話していきませんか?」とお伝えしましたよ。具体的な医療的な説明は最小限にし、あえて答えを出しませんでした・・・
「来週までに急いで決めなくても全然大丈夫です。この1か月ほど、皆でBさんにとって何がベストか、どんな時間を過ごしたいかとか考えてみていきませんか?お二人でも少しずつ話してみてくださいね。」と、次回訪問までに考える時間をつくってもらうようにお願いしました。
私たち在宅医療者の役割は、「正解」を教えることではありません。 意思決定支援に際し在宅の医療者としてできることは、以下の3点に尽きると思っています。
- 情報の正確な提供: 医療的なメリット・デメリットはもちろん、経済的な負担、介護負担の増減といった、生活に関わる情報を包み隠さずお伝えすること。現状のみならずその先に予想されることも含めて。
- 感情の受け止め: 本人やご家族が抱える「諦めきれない気持ち」や「これでいいのだろうか」という迷いや葛藤を、否定せずにすべて受け止める場を用意すること。
- 時間の確保と振り返り: 結論を急がせず、患者さんと家族が後悔しないプロセスを歩めるよう定期的に話し合いの場を設けて「前回話した時の気持ち」を振り返る時間を作ること。
結局、Bさんとそのご家族は、本人、奥様や娘様、息子様が何度も話し合い、最終的に「Bが一番望んでいた、自宅のリビングで静かに過ごす」ということを主に考えて医療、在宅医療を組み立てていく結論を出されました・・・
在宅医療の現場での意思決定支援、色々なケースがあると思います。自分の先入観にとらわれ過ぎず、何が患者さんと家族にとってベストなのか、その時その時の状況をよく考えて今後も対応していきたいと思います。
さて今日は書類業務が主です。コツコツ頑張っていきたいと思います。
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