公開日:2024年09月13日

在宅医療における二重思考について考える・・・

こんにちは、札幌のかかりつけ医&在宅医@今井です。

在宅医療の現場では、在宅医や訪問看護師って患者さんや家族の生活環境に直接入り込みながら医療やケアを提供するため、病院の医療現場とは異なる複雑な状況に直面することが多々ありますよね!(^^)!?

そんな時に在宅医や訪問看護師は一見矛盾した問題と向き合う時に、「二重思考」のスキルが求められます・・・皆さん二重思考って言葉知っていますか?

二重思考とは

矛盾する二つの考えや視点を同時に保持しながら柔軟に対応すること

を指します。個別性の高い医療やケアを提供するときにこの二重思考の概念、結構大事だなって今井は考えていますよ。

 

具体的には・・・・例えばですが、医師が「この治療が最善だ」と確信していても、患者や家族の意向や生活の質(QOL)を考慮すると、その治療が最適ではない場合って結構ありますよね。こんな時に在宅医は「科学的根拠に基づく最適な治療」と「患者の意向を尊重する治療」という二つの相反する考えを同時に抱えながら、どう選択するのが一番患者さんにとってメリットが高いのか、判断を下す必要があります。こういう時、医療者は意識しなくても二重思考をしていることになります。

別の例では・・・訪問看護師が、「すぐに治療が必要な患者」と「定期的なケアが必要な患者」のどちらを優先するか判断しなければならない場合、その場で最も適切な選択をするために、リソースの管理と患者の緊急度の両方を考慮しなければなりません。ここでの二重思考は、「限られたリソースを最大限に活用すること」と「患者のニーズを最優先にすること」であり、両立するのが難しい上記二つを何とか満たすべく頑張ることになります。

 

まぁそんな感じで意識しなくてもやっている在宅医療の現場での二重思考、基礎となるのは①患者さん家族との良好なコミュニケーション②患者さんが中心であるというマインド③医療者の柔軟な思考と姿勢だとは思いますが、今井としてはこれにプラスしてもっとも重要なことは

在宅の現場で修羅場をくぐった経験

だと思っています。これがどの程度あるかどうかで厚みのある、深みのある思考ができるかどうかが圧倒的に変わってくるのかなと。

なので今井としては在宅医療にいきなり飛び込んで開業するとか、1年たったから管理医師になって他の在宅医を束ねる、とかっていうのは絶対的にお勧めしません。どう考えてもきちんとした思考ができるようになるには2、3年の経験は必要かなって思いますよ。なんちゃって在宅医にはなれますが、それ以上のことは・・・正直難しいのかなと。

 

ということで在宅医療における二重思考って、皆さん無意識のうちにやっているかもしれませんが患者さん中心の医療やケアを提供するための重要なスキルの一つです。矛盾する情報や考えを同時に保持しながら柔軟に対応すること・・・どうでしょう?できそうですか!(^^)!??

意識することでまた変わってくるでしょうから在宅医療における二重思考って概念、是非頭の片隅に置いておいてくださいね。(まぁでもこれって人生においても必須の思考スキルかもしれませんね。)