○○の医療機関はこれからは絶対生き残りが難しくなる・・・<経団連 令和6年度診療報酬改定に関する要請から考える>
こんにちは、札幌のかかりつけ医&在宅医@今井です。
診療報酬改定をめぐって医療機関や介護団体などは診療報酬増を、逆に支払い側の社保や国保、財務省などは診療報酬減を主張しており真向から意見がぶつかっています!(^^)!まぁ当たり前ですよね。立場が違えば見える景色も違うのは普通の社会生活でも当たり前にありますし、利害が全く逆の団体ですもんね。
ちなみに11月27日には経団連から以下のような声明が出ていました。
令和6年度診療報酬改定に関する要請
令和6年度診療報酬改定に関する要請
令和6年度診療報酬改定に向け、医療保険者関係団体の意見を下記のとおり取りまとめたので、政府の決定において適切に反映されるよう、強く要請する。
新型コロナウイルス感染症の拡大により、経済の停滞や、医療現場の混乱など未曽有の危機を経験したが、医療従事者の献身的な対応をはじめ国民全体の弛まぬ努力により、新型コロナウイルスの感染症法上の位置づけが5類に引き下げられて以降、社会経済活動が活発化し、デフレ脱却に向けた兆しが見えはじめるなど、新たな道を歩みだした。
そうしたなか、我が国の医療費は、令和2年度に一時的な落ち込みがあったものの、一貫して増加基調にあり、令和4年度は過去最高の46兆円規模にまで拡大した。さらに、足元ではコロナ禍前をしのぐ大幅な伸びを示し、予断を許さない状況にある。今後も生産年齢人口が減少するなかで、団塊世代の後期高齢者への移行が進むなど高齢化に伴い医療費はますます増加する見込みである。
また、令和4年度診療報酬改定においては、リフィル処方箋の仕組みが導入されたが、厚生労働省が中央社会保険医療協議会に提出した分析結果に基づけば、令和4年度政府予算編成に関する関係大臣折衝で合意された医療費▲0.10%の適正化効果(再診の効率化)は明らかに未達である。
第24回医療経済実態調査の結果、令和4年度における一般病院の経営状況は、総じて令和3年度に比べて収益の増加を費用の増加が上回り、赤字が拡大したものの、新型コロナウイルス感染症関連の補助金を含めると、損益差額が全体で1.4%の黒字となった。一般診療所の場合は費用の増加を収益の増加が上回ったために黒字が拡大し、医療法人では、新型コロナウイルス関連の補助金を含めた損益差額が9.7%の黒字となった。歯科診療所と保険薬局は、引き続き黒字基調で安定的に推移した。また、医療法人における看護職員や看護補助職員の平均給料年額は、一般病院で1%台半ば、一般診療所で2%程度の伸びとなった。一方、資産・負債の状況に目を向けると一般病院、一般診療所、歯科診療所、保険薬局のいずれも、長期借入金をはじめとする固定負債が減少して資本が増加し、一般診療所を中心に医療機関・薬局の経営は堅調と言える。
昨今の物価の高騰等は国民の生活を圧迫し、さらに、これまで長期にわたり、賃金・物価の伸びを医療費の伸びが上回る構造が続いてきたことで、国民・事業主の保険料負担と患者自己負担は着実に増加し、医療保険財政は限界に近い状況にある。医療保険制度の持続可能性を確保するため、医療の質を担保しつつ、効率化や適正化の取組みが極めて重要である。そのため、医療提供体制については、令和7年に達成すべき地域医療構想に基づく病床再編の推進、かかりつけ医機能に関する制度整備、医療DXの推進等を踏まえ、医療機能の分化・強化と連携を加速させることが必要となる。あわせて、医療・介護・障害福祉等サービスの同時報酬改定を通じて、各制度において各施設・各職種それぞれが機能を強化したうえで、ICT等を活用して円滑な連携を図らなければ、生産年齢人口の減少によるサービスの担い手が不足するなかで、高齢化により増大する需要をまかなうことは到底できない。
令和6年度診療報酬改定においては、賃金、物価の動向を考慮しつつも、高止まりする医療費の自然増により医療保険制度の持続可能性に懸念があること、限界にある国民負担の状況、診療所と病院の経営状況の違い、職種別の給与水準の格差などを総合的に勘案する必要がある。したがって、患者の負担増や保険料の上昇に直結する安易な診療報酬の引き上げを行う環境にはない。一方で、令和6年4月からの働き方改革を踏まえ、救急も含め24時間対応可能な地域医療体制の確保に向けて、多様な医療人材の連携を促進するとともに、看護職員等の医療従事者の処遇改善は重要事項である。まずは診療報酬と補助金・交付金との役割分担の整理・効果検証を行い、その結果を踏まえた大胆な配分の見直しにより実現を図るなど、真に有効でメリハリの効いた診療報酬改定が不可欠である。また、薬価・材料価格改定については、革新的新薬等のイノベーションへの十分な配慮、後発医薬品等の安定供給の確保を着実に進めるとともに、市場実勢価格の低下に伴う引下げ分を国民に還元すべきである。
今井が考えているのは、本格的に団塊の世代が高齢者になる2025年以降の30年50年スパンで国が何を考えて診療報酬制度、社会保障制度を構築していくか、の1点です。
まず間違いなく言えること、全産業そうでしょうが、「小規模事業所やフリーランスの事業所は冷遇、大規模事業所の寡占化、集約化を目指す」ことになると思います。これは100%そうなるハズです。だって少人数で大人数支える社会になるなら、個々人が勝手に色々やっていたら社会としてもたないですもんね。今はフリーランスとか個々が活躍する時代、とかって言われているかもしれませんが、国が目指す方向とはそういう方向は真逆です。(インボイス制度導入して複数税率維持しているのってそういうことですよね?)
また国の管理上も100事業所いたら100通り管理して指示していくより、5事業所や10事業所、究極的には1事業所に任せたほうが楽だしやりやすいかなって普通は考えますよね・・・
医療機関も間違いなくそうなります。というか社会事情的に他の産業に先駆けて一番最初に医療や介護の業界が大規模化、寡占化していくはずです。必ず小さな医療機関は「生きてはいけるけれど楽は絶対にできない」という状況になるはずです。昭和や平成の時代は終わり今はもう令和だ、という認識を医療者は持つべきです。
という訳で冒頭のタイトルの「○○の医療機関はこれからは絶対生き残りが難しくなる・・・」の○○は、<小規模のままの>っていう言葉を入れたいと思っていますよ!(^^)!
当院は時代にのっかってある程度の規模の医療機関を目指したいと思っています。大きすぎれば動きが遅くなって面白くないし、小さければ不安定になる・・・そのちょうど中間で「ある程度の規模メリットもあるけれど、個々が活躍できる小さな動きができる余地のあるサイズ」がベストかなと思っています。
将来はこれからどうなっていくでしょうか?ちなみに上記今井の主張は次回診療報酬改定での改定内容が答えになると思っています。あっているのか間違っているのか、答え合わせは2,3か月後の楽しみにとっておきます!(^^)!
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