公開日:2022年10月03日

資料提供:<国境を越える看護師と医療体制確保との両立――インドのジレンマ><山梨県における医療機器関連産業の振興とメディカル・デバイス・コリドー推進計画>

こんにちは、札幌のかかりつけ医&在宅医@今井です。

 

マニアックな資料探すの好きなんで!(^^)!皆さんはまだ読んだことないんじゃないかと思われる資料二つ紹介したいと思います。

まずは一つ目

看護師の国際移動に関して個人的に面白いなと思う資料ありましたのでご紹介します。興味ある方は是非一読どうぞ!

IDE SQUAREさんから

国境を越える看護師と医療体制確保との両立――インドのジレンマ

フムフム、と思った文章はインドの内実に関しての情報です。

「インドで看護師は社会的地位の低い職業と位置づけられてきた。伝統的な浄・不浄の観点から看護師は血液、体液、排泄物などに触れるため「穢れている」だけでなく、看護師の圧倒的多数を占める女性にとって不特定多数の男性患者との接触が不可避であるがゆえにジェンダー規範にも反するからである。看護師が患者に対して家庭で家事使用人が行うような世話をすることも、取るに足らない職業とみなされる要因となった。それに対して、インドにおける近代看護の普及にはイギリス領時代のキリスト教会病院の果たした役割が大きく、キリスト教徒にはカーストやジェンダーに関する禁忌が比較的少ないこともあり、人口のわずか2%程度を占めるキリスト教徒が看護職を主に担ってきた。

こうした状況は、海外就労機会の拡大とともに少しずつ変化してきた。20世紀前半からフィリピン人と同様に一定数のインド人看護師が海外で就労していたが、1970年代からの湾岸諸国での就労を契機に海外就労が増加した。現在、インド人看護師にとって最大の渡航先であるこれらの国を含めると、約64万人のインド人看護師が海外で就労しているとみられる(Irudaya Rajan and Nair 2013)。海外就労の機会の拡大は、経済力上昇のための戦略として、主にインド南部でキリスト教以外の世帯からも子どもを看護師にすることにつながった。

海外就労の増加と並行して、看護師養成機関も増加した。とりわけ、2000年以降にその傾向が著しい。この背景には、私立病院の増加がある。看護教育機関は、原則として臨床実習を行う病院により経営されるからである。2000年時点では全国に4年制看護学学士課程はわずか30機関、3年制ディプロマ課程も285機関しかなかったが、2021年にはそれぞれ2127機関、3285機関にまで増加した(Indian Nursing Council 2021)。

それでもインドでは看護師が不足している。人口1万人あたりの看護師数は17.3人で、フィリピン(49.2人)と比べても少ない(WHO 2020)。とくに医療へのアクセスが困難な農村部の看護師不足は深刻で、全国640県(2011年センサス時点)のうち、73県に資格を持った看護師がひとりもいない状況にある(Anand and Fan 2016)。

こうした看護師需要超過の状況にもかかわらず、看護師の賃金は非常に低い水準にとどまっている。とくに、公立病院より私立病院にその傾向が強くみられる。その主な要因のひとつとして、卒業後2年前後の期間、系列病院において無償もしくは食事代程度で勤務する「お礼奉公」の慣習が挙げられる。この慣習は管轄当局により禁止されているが、医療現場では依然として残されている。

近年、看護師の労働組合はこうした状況を打開しようと、ストライキの実施や司法に訴えるという手段をとってきた。インド看護協会は、司法の勧告を受けて、私立病院勤務の看護師の最低賃金を、ほぼ大卒最低賃金水準に相当する月額2万ルピー(約3万5000円)以上に定めるよう各州政府に求めている。各州政府は2018年頃から最低賃金に関する通達を出しているが、筆者らが行った2019年の看護師への調査では、最低賃金以下しか払っていない私立病院がいくつもみられた。また、最低賃金制度を遵守している病院でも、全体的な人件費を抑えるために看護師の数を著しく減らしたという(Tsujita and Oda 2023)。

こうした状況で迎えたコロナ禍で、患者対応を奨励するとともに、感染リスクのある業務につくことへの報酬として、連邦・各州政府は看護師を含めた医療従事者向けに医療・死亡保険の拡充、心の健康のためのヘルプライン、特別慰労金などの支援を打ち出している。それでも、感染リスクに見合わない雇用条件や労働環境がネックとなり、慢性的な人手不足を解消できていない2

さらにインド政府は、コロナ禍でも看護師の海外就労を禁止していない。フィリピン政府がコロナ禍初期に医療従事者の海外就労を禁止し、現在でも年間渡航者数を制限しているのとは対照的である。それもあってか、コロナ禍でも看護師の海外就労の募集や渡航に関する報道も少なくない。国内の給与水準、諸手当などの雇用条件や労働環境が改善しない限り、看護師の海外就労志向は変わらないであろう。」

二つ目です。山梨県の産業振興について、医療を絡めた話の資料です。

山梨総合研究所さんから↓

山梨県における医療機器関連産業の振興とメディカル・デバイス・コリドー推進計画

うーん、山梨県の取り組み、すごく個人的には興味深く面白いと感じます。産学共同体制を長期的視点を基に構築すること、県がトップとして指揮をとり持続的に支援をすること、素晴らしいと思いましたよ。

 

他国の情報を知ることは自国を相対的に理解するためにも重要ですよね。また現在進行形の色々な取り組みを知ることもきっと自分の選択肢を増やすために有効だと思います。

今後も皆さんが知らない情報、探して提供していきたいと思います!(^^)!

 

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