公開日:2021年10月05日

資料提供~現行制度の下で実施可能な範囲におけるタスク・シフト/シェアの推進について

こんにちは、札幌のかかりつけ医&在宅医@今井です。

 

9月30日に厚生省から「現行制度の下で実施可能な範囲におけるタスク・シフト/シェアの推進について 」という資料が公開されました。この時期に公開することは医師の働き方改革や診療報酬改定にむけて一石を投じる意味合いがあるのかと思いますし、実際今後の議論はこの資料をベースにして進んでいくことでしょう。

医師も、看護師も、薬剤師も、医療に関わる多職種全員が確認しておいて損はない内容の資料かと思います。是非一度全文確認してみてください。

現行制度の下で実施可能な範囲におけるタスク・シフト/シェアの推進について

 

ひとまず全部引用するのは大変なので⓵概要②看護師③薬剤師、くらいのタスクシフトをここでは引用してみますね。

 

1.基本的考え方

医師から他の医療関係職種へのタスク・シフト/シェアを進めるに当たっては、医療安全の確保及び各医療関係職種の資格法における職種毎の専門性を前提として、各個人の能力や各医療機関の体制、医師との信頼関係等も踏まえつつ、多くの医療関係職種それぞれが自らの能力を生かし、より能動的に対応できるよう、必要な取組を進めることが重要である。
その上で、まずは、現行制度の下で実施可能な範囲において、医師以外の医療関係職種が実施可能な業務についてのタスク・シフト/シェアを最大限に推進することが求められる。このため、厚生労働省において令和元年6月から7月にかけて実施したヒアリングの中で各種職能団体及び各種学会から提案のあった項目を基に、現行制度の下で医師から他の医療関係職種へのタスク・シフト/シェアが可能な業務の具体例について、3.の
とおり整理した。各医療機関においては、3.において記載した業務の具体例も参考にしつつ、各医療機関の実情に応じて、タスク・シフト/シェアの取組を進められたい。
また、タスク・シフト/シェアを効果的に進めるために留意すべき事項について、「意識」「知識・技能」「余力」の3つの観点から、2.のとおり整理したので、2.において記載した留意点も踏まえつつ、タスク・シフト/シェアの取組を進められたい。
なお、今後、厚生労働省において、医療機関におけるタスク・シフト/シェアの推進の好事例について、2.において記載した留意点も踏まえた推進のプロセスや、費用対効果も含めて、収集・分析を行い、周知を行うことを予定している。

 

2.タスク・シフト/シェアを効果的に進めるために留意すべき事項

1) 意識改革・啓発
タスク・シフト/シェアを効果的に進めるためには、個々のモチベーションや危機感等が重要であり、医療機関全体でタスク・シフト/シェアの取組の機運が向上するよう、病院長等の管理者の意識改革・啓発に加え、医療従事者全体の意識改革・啓発に取り組むことが求められる。具体的には、病院長等の管理者向けのマネジメント研修や医師全体に対する説明会の開催、各部門責任者に対する研修、全職員の意識改革に関する研修等に取り組む必要がある。特に、一部の職種のみ又は管理者のみの意識改革では、タスク・シフト/シェアが容易に進まないことに留意する必要がある。
2) 知識・技能の習得
タスク・シフト/シェアを進める上で、医療安全を確保しつつ、タスク・シフト/シェアを受ける側の医療関係職種の不安を解消するためには、タスク・シフト/シェアを受ける側の医療関係職種の知識・技能を担保することが重要である。具体的には、各医療関係職種が新たに担当する業務に必要な知識・技能を習得するための教育・研修の実施等に取り組む必要がある。教育・研修の実施に当たっては、座学のみではなくシミュレーター等による実技の研修も行うほか、指導方法や研修のあり方の統一・マニュアルの作成を行うことなどにより、医療安全を十分に確保できるよう取り組む必要がある。
3) 余力の確保
タスク・シフト/シェアを受ける側の医療関係職種の余力の確保も重要である。具体的には、ICT機器の導入等による業務全体の縮減を行うほか、医師からのタスク・シフト/シェアだけでなく、看護師その他の医療関係職種から別の職種へのタスク・シフト/シェア(現行の担当職種の見直し)にもあわせて取り組むことなど、一3連の業務の効率化を図るとともに、タスク・シフト/シェアを受ける側についても必要な人員を確保することなどにより、特定の職種に負担が集中することのないよう取り組む必要がある。

 

1看護師へのタスクシフト

① 特定行為(38 行為 21 区分)の実施
特定行為研修を修了した看護師は、保健師助産師看護師法(昭和 23 年法律第 203号)第 37 条の2に基づき、手順書により、特定行為を行うことができる。
具体的には、例えば、特定行為研修を修了した看護師は、人工呼吸管理や持続点滴中の降圧剤や利尿剤等の薬剤の投与量の調整、中心静脈カテーテルの抜去や末梢留置型中心静脈注射用カテーテルの挿入等の特定行為について、その都度医師の指示を求めることなく、医師が予め作成した手順書(医師による包括的指示の形態の一つ)により行うことが可能である。
② 事前に取り決めたプロトコール(※)に基づく薬剤の投与、採血・検査の実施看護師は、診療の補助として医行為を行う場合、医師の指示の下に行う必要があるが、実施するに当たって高度かつ専門的な知識及び技能までは要しない薬剤の投与、採血・検査については、特定行為研修を修了した看護師に限らず、医師が包括的指示(看護師が患者の状態に応じて柔軟に対応できるよう、医師が、患者の病態の変化を予測し、その範囲内で看護師が実施すべき行為について一括して出す指示)を用いることで看護師はその指示の範囲内で患者の状態に応じて柔軟な対応を行
うことも可能である。
具体的には、①対応可能な病態の変化の範囲、②実施する薬剤の投与、採血・検査の内容及びその判断の基準、③対応可能な範囲を逸脱した場合の医師への連絡等について、医師と看護師との間で事前にプロトコールを取り決めておき、医師が、診察を行った患者について、病態の変化を予測し、当該プロトコールを適用する(患者の状態に応じてプロトコールの一部を変更して適用する場合を含む。)ことを指示することにより、看護師は、患者の状態を適切に把握した上で、患者の状態を踏まえた薬剤の投与や投与量の調整、採血や検査の実施について、必ずしも実施前に再度医師の確認を求めることなく、当該プロトコールに基づいて行うことが可能で
ある。

③ 救急外来における医師の事前の指示や事前に取り決めたプロトコールに基づく採血・検査の実施
救急外来においては、看護師が医師の事前の指示の下で採血・検査を実施し、医師が診察する際には、検査結果等の重要な情報を揃えておくことにより、医師が救急外来の患者に対しより迅速に対応することが可能になると考えられる。この場合の医学的検査のための採血は、医師法(昭和 23 年法律第 203 号)第 20 条に規定する「治療」には当たらず、医師による診察前であっても、医師の採血・検査の実施について事前の指示に基づき、看護師が採血・検査を実施することは可能である。
具体的には、救急外来において、①対応可能な患者の範囲、②対応可能な病態の変化の範囲、③実施する採血・検査の内容及びその判断の基準、④対応可能な範囲を逸脱した場合の医師への連絡等について、医師が看護師に事前に指示を出しておく、又は医師と看護師との間で事前にプロトコールを取り決めておくことにより、救急外来の患者について、医師が診察を行う前であっても、看護師が、医師の事前の指示やプロトコールに基づいて採血・検査を行うことが可能である。
④ 血管造影・画像下治療(IVR)の介助
血管造影・画像下治療において、看護師は、医師の指示の下、診療の補助として、造影剤の投与や、治療終了後の圧迫止血等の行為を行うことが可能である。ただし、エックス線撮影等の放射線を照射する行為については、医師又は医師の指示の下に診療放射線技師が行う必要がある。
⑤ 注射、採血、静脈路の確保等
静脈注射・皮下注射・筋肉注射(ワクチン接種のためのものを含む。)、静脈採血(静脈路からの採血を含む)、動脈路からの採血、静脈路確保、静脈ライン・動脈ラインの抜去及び止血については、診療の補助として、医師の指示の下に看護師が行うことが可能である。(小児・新生児に対して行う場合も含む。)
⑥ カテーテルの留置、抜去等の各種処置行為
尿道カテーテル留置、末梢留置型中心静脈注射用カテーテルの抜去、皮下埋め込み式CVポートの穿刺、胃管・EDチューブの挿入及び抜去、手術部位(創部)の消毒、鶏眼処置、創傷処置、ドレッシング抜去、抜糸、軟膏処置、光線療法の開始・中止については、診療の補助として、医師の指示の下に看護師が行うことが可能である。(小児・新生児に対して行う場合も含む。)
⑦ 診察前の情報収集
病歴聴取、バイタルサイン測定、服薬状況の確認、リスク因子のチェック(必要に応じてチェックシート等を活用)、検査結果の確認等の診察前の情報収集については、必ずしも医師が行う必要はなく、知識及び技能を有する看護師が、医師との適切な連携の下で、医師による診察前に、こうした情報収集を行い、診察を行う医師にその結果を報告することは、医師の診察に係る負担軽減にも資すると考えられる。(看護師が報告した結果に基づく病状等の診断については、医師が行う必要がある。)
また、患者が休日や夜間に診療を求めて救急に来院した場合、事前に医師との連携の下で診療の優先順位の決定(トリアージ)に係る具体的な対応方針を整備しておくことにより、看護師が、当該対応方針に基づき、病歴聴取、バイタルサイン測定等の結果を踏まえて、診療の優先順位の判断を行うことも可能である

 

2薬剤師へのタスクシフト

① 周術期における薬学的管理等
周術期における薬剤管理等の薬剤に関連する業務として、以下に掲げる業務については、薬剤師を積極的に活用することが考えられる。
ア 手術前における、患者の服用中の薬剤、アレルギー歴及び副作用歴等の確認、術前中止薬の患者への説明、医師・薬剤師等により事前に取り決めたプロトコールに基づく術中使用薬剤の処方オーダーの代行入力(※)、医師による処方後の払出し
イ 手術中における、麻酔薬等の投与量のダブルチェック、鎮痛薬等の調製
ウ 手術後における、患者の状態を踏まえた鎮痛薬等の投与量・投与期間の提案、術前中止薬の再開の確認等の周術期の薬学的管理が電子カルテに処方や検査の指示等を入力することを指す。薬剤師においては、必要に応じて、疑義照会や処方提案を行う。以下同じ。
② 病棟等における薬学的管理等
病棟等における薬剤管理等の薬剤に関連する業務として、以下に掲げる業務については、薬剤師を積極的に活用することが考えられる。
ア 病棟配置薬や調剤後の薬剤の管理状況の確認
イ 高カロリー輸液等の調製、患者に投与する薬剤が適切に準備されているかの確認、配合禁忌の確認や推奨される投与速度の提案
③ 事前に取り決めたプロトコールに沿って行う処方された薬剤の投与量の変更等薬剤師が、医師・薬剤師等により事前に取り決めたプロトコールに基づき、薬物治療モニタリング(TDM)や検査のオーダーを医師等と協働して実施し、医師の指示により実施された検査の結果等を確認することで、治療効果等の確認を行い、必要に応じて、医師に対する薬剤の提案、医師による処方の範囲内での薬剤の投与量・投与期間(投与間隔)の変更を行うことは可能である。投与量・投与期間(投与間隔)の変更を行った場合は、医師、看護師等と十分な情報共有を行う必要がある。
また、薬剤師が、医師・薬剤師等により事前に取り決めたプロトコールに基づき、薬物療法を受けている患者に対する薬学的管理(相互作用や重複投薬、配合変化、配合禁忌等に関する確認、薬剤の効果・副作用等に関する状態把握、服薬指導等)を行い、その結果を踏まえ、必要に応じて、服薬方法の変更(粉砕、一包化、一包化対象からの除外等)や薬剤の規格等の変更(内服薬の剤形変更、内服薬の規格変更及び外用薬の規格変更等)を行うことは可能である。こうした変更を行った場合、医師、看護師等と十分な情報共有を行う必要がある。
なお、病状が不安定であること等により専門的な管理が必要な場合には、医師と協働して実施する必要がある。
このほか、薬剤師が、医師・薬剤師等により事前に取り決めたプロトコールに基づき、入院患者の持参薬について、院内採用の同種同効薬への変更処方オーダーの代行入力を行い、医師による処方後、払出すことは可能である。
④ 薬物療法に関する説明等
医師による治療方針等の説明後の薬物療法に係る治療スケジュール、有効性及び副作用等の患者への説明や、副作用軽減のための対応方法と記録の実施等についての患者への説明については、薬剤師を積極的に活用することが考えられる。
また、患者の苦痛や不安を軽減するため、薬物療法に関して、必要に応じて患者の相談に応じ必要な薬学的知見に基づく指導を行うなどの対応についても、薬剤師を積極的に活用することが考えられる。
⑤ 医師への処方提案等の処方支援
入院患者について、薬剤師が、医師に対して処方提案等の処方支援を行うに当たっては、必要に応じて、以下のような取組を行うことが可能であり、また、効果的な処方支援に資すると考えられる。
患者の入院時に持参薬を確認するとともに、複数の内服薬が処方されている患者であって、薬物有害事象の存在や服薬過誤、服薬アドヒアランス低下等のおそれのある患者に対しては、処方の内容を総合的に評価する。
アレルギー歴及び副作用歴等を確認するとともに、医師と綿密に連携し、診療録等による服薬内容、バイタルサイン(血圧、脈拍、体温等)及び腎機能、肝機能に関する検査結果の確認、回診・カンファレンスの参加等により患者の状態を把握した上で処方提案等の処方支援を実施する。
さらに、外来診療の場面においても、医師の診察の前に、残薬を含めた服薬状況や副作用の発現状況等について、薬学的な観点から確認を行い、必要に応じて医師へ情報提供を行うことで、医師の負担軽減に繋がることが期待される。
⑥ 糖尿病患者等における自己注射や自己血糖測定等の実技指導
薬剤師が、服薬指導の一環として、糖尿病患者等の自己注射や自己血糖測定等について、練習用注射器等を用いて、注射手技等の実技指導を行い、患者が正しい手順で注射できているか否かなどの確認等を行うことは可能である。ただし、薬剤師が患者に対して注射等の直接侵襲を伴う行為を行うことはできない。

 

 

結構な分量になりましたが言いたいことはよく理解できる内容かと思います。これを前提としたうえで医師の働き方改革を巡る議論がどうなっていくのか、注視していきたいと思います。

 

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