熱が40度まで上がってせきが止まらず呼吸も苦しいなど比較的、症状が重いとして保健所から入院をすすめられたということです。
当時は子どもだけが陰性で、女性は保健所の職員に子どもをどうすればいいのか尋ねたところ、「お子さんが陽性であれば一緒に病院に連れていくことも可能だが、現時点で陰性だと、難しい。家族や親族で預かってくれる人を探してほしい」と言われたということです。
女性は地方出身で実家が遠く、近くにいる夫の母親も高齢のため子どもがウイルスを持っていた場合の母親への感染が心配で、預けられる人が見つかりませんでした。
保健所の職員に事情を話すと、子どもを預かってくれる病院もあると伝えられましたが「具体的な病院名は教えられず、利用を希望する場合は自分で探してもらうことになってしまう」と言われたということです。
女性は「意識がもうろうとする中、自力で病院を探すことは無理でした。子どもは陰性なのに感染してしまったらどうしようとすごくつらかったですが、自宅療養中の夫に子どもを託すしか選択肢がありませんでした。食事は別々に、入浴は距離をとるようにと夫に頼むことしかできず、『このまま元気でいてね』と神頼みしながら入院先に向かいました」と振り返ります。
女性は入院してすぐに集中治療室に運ばれ、酸素投与や点滴などの治療を受けました。
症状が落ち着いて病室に戻り、療養していたところに夫から電話が入り、子どもが発熱したことを知らされたということです。
女性は「やっぱり感染してしまったのかとショックで、私のように苦しまずにどうか乗り切ってほしいと願いました。小さい子どもはだっこをせがむし、食事も入浴もひとりでは難しいです。私が入院中は不安があったのか、夫のそばに来て眠ったそうです」と話していました。
そのうえで、「保健所は非常にひっ迫しているのですべてのフォローを求めることはできません。ただ、一時的に子どもをみてもらえる場所の情報や困ったときの相談窓口を知れるだけでも安心感は全く違ってくると思います。子どもの預け先がなく自宅にも置いていけないという理由で症状が重いのに入院をためらう親もいるかもしれず、その迷いのせいで命を落とすことがあったとしたらすごく怖いし、悲しいことだと思います」と話していました。