公開日:2021年06月09日

2022年以降の経済財政運営と改革の基本方針 ~令和3年第8回経済財政諮問会議資料から~

こんにちは、札幌のかかりつけ医&在宅医@今井です。

 

この数年の医療行政の流れとしては、過去10数年の流れ、つまり中医協で議論→医療政策として検討、になるのではなく、経済財政諮問会議などの政府のアドバイザリー機関からの提案→政策試案→中医協での議論、と医療政策決定の流れが大きく変わってきています。

ということで医療行政の将来を見据えるためには根っことなる経済財政諮問会議での議論をウォッチしておくことは欠かせませんね。

6月9日に第8回経済財政諮問会議の資料が公開されていました。社会保障制度改革についてはわずかな内容のみとなっていますがその部分を紹介したいと思います。興味ある方40P弱なので全文読むことをお勧めします。10分程度あれば流れはつかむことはできるでしょう。

↓以下資料から 社会保障制度部分のみ抜粋

資料1 経済財政運営と改革の基本方針2021(仮称)原案(PDF形式:854KB)PDFを別ウィンドウで開きます

 

文章として抜き出します。(今井が気になった部分は赤文字にしますね)

第3章 感染症で顕在化した課題等を克服する経済・財政一体改革

1.経済・財政一体改革の進捗・成果と感染症で顕在化した課題
(経済・財政一体改革の進捗と評価)

「経済再生なくして財政健全化なし」との基本方針の下、骨太方針 2018 106 において策定された新経済・財政再生計画では、経済と財政の一体的な再生を目指し、全ての団塊世代が75 歳になるまでに、財政健全化の道筋を確かなものとする必要があると示した。2025 年度の国・地方を合わせたPB黒字化と、債務残高対GDP比の安定的な引下げを目指す財政健
全化目標を設定するとともに、「基盤強化期間」(2019 年度~2021 年度)、歳出の目安、主要分野ごとの改革の基本方針・重要課題を策定・設定し、「改革工程表」による具体化を行うなどの取組を進めてきた。
経済面では、感染症による危機前までは概ねプラス成長が続いたものの、世界経済の減速や生産性上昇率の低迷等により、財政健全化に必要とされた実質2%程度、名目3%程度を上回る成長は実現できていない。
歳出面では、目安が目標達成のための財政規律としての役割を果たしてきた 107 。消費税率引上げに伴う経済変動に対しては臨時・特別の措置で対応するとともに、感染症・災害に対し補正予算等により機動的なマクロ経済運営を行ってきた。このように政策の優先順位付けを厳正に行いつつ、時々の課題に迅速に対応する枠組みは、国民負担の抑制や需要変動の抑制等を通じ、持続的な経済成長に寄与したと考えられる。歳入面では、2019 年 10 月に消費税率を8%から10%に引上げた。国・地方税収は 2018 年度に過去最高の104.4 兆円に達した 108 。

(感染症の影響と顕在化した新たな課題)
「基盤強化期間」の半ばに発生した感染症に対応するため経済対策を適時適切に講じた結果、失業率や所得水準などの面で、わが国経済の落ち込みは主要先進国に比べ小さなものとなったが、経済は依然として感染症前の水準を下回っている。財政面では、感染症後の税収減及び関連補正予算等の歳出増により、PB対GDP比は足元で改善軌道から大きく乖離 109 する見込みである。ワクチン接種等を通じて経済の正常化が進み、税収が回復し一時的な歳出増が剥落すれば、感染症前の状況に近づくものの、感染症が中長期的な経済財政に与える影響は未だ不透明な状況にある。
感染症は、経済・財政一体改革を進める上でも、緊急時・平時の間での医療人員・資源の配分の在り方、国民の必要とする行政のデジタル化やオンライン教育についての自治体間の格差、ルール・仕様等の標準化の必要性など様々な課題を浮き彫りにした。ポストコロナも見据えて、こうした課題に対応できる体制を構築・強化していくとともに、感染症の状況も見極めながら、地方財政も含め財政構造を平時モードに戻していく必要がある。

2.社会保障改革

(1)感染症を機に進める新たな仕組みの構築
今般の感染症対応での経験を踏まえ、国内で患者数が次に大幅に増えたときに備えるため、また、新たな新興感染症の拡大にも対応するため、平時と緊急時で医療提供体制を迅速かつ柔軟に切り替える仕組みの構築が不可欠である。このため、症状に応じた感染症患者の受入医療機関の選定、感染症対応とそれ以外の医療の地域における役割分担の明確化、医療専門職人材の確保・集約などについて、できるだけ早期に対応する。
あわせて、今般の感染症対応の検証や救急医療・高度医療の確保の観点も踏まえつつ、地域医療連携推進法人制度の活用等による病院の連携強化や機能強化・集約化の促進などを通じた将来の医療需要に沿った病床機能の分化・連携などにより地域医療構想を推進するとともに、かかりつけ医機能の強化・普及等による医療機関の機能分化・連携の推進、更なる包括払いの在り方の検討も含めた医療提供体制の改革につながる診療報酬の見直し、診療所も含む外来機能の明確化・分化の推進、実効的なタスク・シフティングや看護師登録制の実効性確保 110 並びに潜在看護師の復職に係る課題分析及び解消、医学部などの大学における医療人材養成課程の見直しなどにより、質が高く効率的で持続可能な医療提供体制の整備を進める。オンライン診療を幅広く適正に活用するため、初診からの実施は原則かかりつけ医によるとしつつ、事前に患者の状態が把握できる場合にも認める方向で具体案を検討する。また、引き続き、安心・安全な産科医療の確保及び移植医療を推進する。
予防・健康づくりサービスの産業化に向けて、包括的な民間委託の活用や新たな血液検査等の新技術の積極的な効果検証等が推進されるよう、保険者が策定するデータヘルス計画の手引の改定等を検討する。また、同計画の標準化の進展にあたり、アウトカムベースでの適切なKPIの設定を推進する。革新的な医薬品におけるイノベーションの評価の観点及びそれ以外の長期収載品等の医薬品について評価の適正化を行う観点から薬価算定基準の見直しを図るとともに、OTC類似医薬品等の既収載の医薬品の保険給付範囲について引き続き見直しを図る。感染症を踏まえた診療報酬上の特例措置の効果を検証するとともに、感染症患者を受け入れる医療機関に対し、減収への対応を含めた経営上の支援や病床確保・設備整備等のための支援について、診療報酬や補助金・交付金による今後の対応の在り方を検討し、引き続き実施する。後発医薬品に係る新目標 111 についての検証、品質及び安定供給の信頼性確保、保険者の適正化の取組にも資する医療機関等の別の使用割合を含む実施状況の見える化を早期に実施し、バイオシミラーの目標設定の検討、新目標との関係を踏まえた後発医薬品調剤体制加算等の見直しの検討、フォーミュラリ 112 の活用等、更なる使用
促進を図る。多剤・重複投薬への取組を強化する。症状が安定している患者について、医師及び薬剤師の適切な連携により、医療機関に行かずとも、一定期間内に処方箋を反復利用できる方策を検討し、患者の通院負担を軽減する。
サプライチェーンの実態把握や非常時における買い上げの導入など緊急時の医薬品等の供給体制の確立を図る。緊急時の薬事承認の在り方について検討する。医療・特定健診等の情報を全国の医療機関等で確認できる仕組みや民間PHRサービスの利活用も含めた自身で閲覧・活用できる仕組みについて、2022 年度までに、集中的な取組みを進めることや、医療・介護分野におけるデータ利活用やオンライン化の加速、科学的介護・栄養の取組みの推進、今般の感染症の自宅療養者に確実に医療が全員に提供されるよう医療情報を医療機関等と共有する仕組みの構築(必要な法改正を含め検討)、審査支払機関改革 113 の着実な推進など、データヘルス改革に関する工程表を踏まえ、改革を着実に推進する。
全ゲノム解析等実行計画を着実に推進し、治療法のない患者に新たな個別化医療を提供するべく、産官学の関係者が幅広く分析・活用できる体制整備を進める。患者の治験情報アクセス向上のためデータベースの充実を推進する。
医療法人の事業報告書等をアップロードで届出・公表する全国的な電子開示システムを早急に整え、感染症による医療機関への影響等を早期に分析できる体制を構築する。同様に、介護サービス事業者についても、事業報告書等のアップロードによる取扱いも含めた届け出・公表を義務化し、分析できる体制を構築する。レセプトシステム(NDB)の充実、G-MISの今般の感染症対策以外の長期的な活用、COCOAの安定的な運営等について、デジタル庁の統括・監理の下、デジタル化による効率化、利便性の向上を図る。あわせて、医療・介護データとの連携や迅速な分析の環境の整備を図る。
全身との関連性を含む口腔の健康の重要性に係る国民への適切な情報提供、生涯を通じた歯科健診、オーラルフレイル対策・重症化予防にもつながる歯科医師、歯科衛生士による歯科口腔保健の充実、歯科医療専門職間、医科歯科、介護、障害福祉機関等との連携を推進し、飛沫感染等の防止を含め歯科保健医療提供体制の構築と強化に取り組む。今後、要介護
高齢者等の受診困難者の増加を視野に入れた歯科におけるICTの活用を推進する。

(2)団塊の世代の後期高齢者入りを見据えた基盤強化・全世代型社会保障改革

骨太方針 2020 114 等の内容に沿って、社会保障制度の基盤強化を着実に進め、人生 100 年時代に対応した社会保障制度を構築し、世界に冠たる国民皆保険・皆年金の維持、そして持続可能なものとして次世代への継承を目指す。
2022 年度から団塊の世代が75 歳以上に入り始めることを見据え、全ての世代の方々が安心できる持続可能な全世代型社会保障の実現に向けた取組について、その実施状況の検証を行うとともに、給付と負担のバランスや現役世代の負担上昇の抑制を図りつつ、保険料賦課限度額の引上げなど能力に応じた負担の在り方なども含め、引き続き、医療、介護、年金、少子化対策を始めとする社会保障全般の総合的な検討を進める。
効率的な医療提供体制の構築や一人当たり医療費の地域差半減に向けて、地域医療構想のPDCAサイクルの強化や医療費適正化計画の在り方の見直しを行う。具体的には、前者について、地域医療構想調整会議における協議を促進するため、関係行政機関に資料・データ提供等の協力を求めるなど 115 環境整備を行うとともに、都道府県における提供体制整備の達成状況の公表や未達成の場合の都道府県の責務の明確化を行う。また、後者について、都道府県が策定する都道府県医療費適正化計画(以下「都道府県計画」という。)における医療に要する費用の見込み(以下「医療費の見込み」という。)については、定期改訂や制度別区分などの精緻化を図りつつ、各制度における保険料率設定の医療費見通しや財政運営の見通しとの整合性の法制的担保を行い、医療費の見込みを医療費が著しく上回る場合の対応の在り方など都道府県の役割や責務の明確化を行う。また、医療費の見込みについて、取組指標を踏まえた医療費を目標として代替可能であることを明確化するとともに、適正な医療を地域に広げるために適切な課題把握と取組指標の設定や、取組指標を踏まえた医療費の目標設定を行っている先進的な都道府県の優良事例についての横展開を図る。都道府県計画において「医療の効率的な提供の推進」に係る目標及び「病床の機能の分化及び連携の推進」を必須事項とするとともに、都道府県国保運営方針においても「医療費適正化の取組に関する事項」を必須事項とすることにより、医療費適正化を推進する。あわせて保険者協議会を必置とするとともに、都道府県計画への関与を強化し、国による運営支援を行う。審査支払機関の業務運営の基本理念や目的等へ医療費適正化を明記する。これらの医療費適正化計画の在り方の見直し等について、2024 年度から始まる第4期医療費適正化計画期間に対応する都道府県計画の策定に間に合うよう、必要な法制上の措置を講ずる。国保財政を健全化する観点から、法定外繰入等の早期解消を促すとともに、普通調整交付金の配分の在り方について、引き続き地方団体等と議論を継続する。中長期的課題として、都道府県のガバナンスを強化する観点から、現在広域連合による事務処理が行われている後期高齢者医療制度の在り方、生活保護受給者の国保及び後期高齢者医療制度への加入を含めた医療扶助の在り方の検討を深める。
一人当たり介護費の地域差縮減に寄与する観点から、都道府県単位の介護給付費適正化計画の在り方の見直しを含めたパッケージを国として示し、市町村別にその評価指標に基づき取組状況を見える化する。また、調整交付金の活用方策について、第8期介護保険事業計画期間における取組状況も踏まえつつ、引き続き地方団体等と議論を継続する。

 

 

色々と気になる文言が書いてありますが、よく内容を確認するとうっすらとですが5年後の社会保障制度についての予測をつけることが出来るかと思います。過去の経済財政諮問会議での議論と政策をみると、ほぼこれに近いような医療政策が必ず実現していますね・・・

公的資料を読み込むことで未来が予想できる、未来を予想して準備する、それこそが地域で必要な医療を継続して提供できるような医療法人となるために必要なことだと思っています。皆さんはこの資料を読んで何を準備しますか??

 

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