薬剤師さんは必読?~提言 持続可能な医療を担う薬剤師の 職能と生涯研鑽~

こんにちは、札幌のかかりつけ医&在宅医@今井です。

 

日本学術会議での資料でまたまた面白いものを見つけました。薬剤師さんに関しての資料です。薬剤師さんには是非全文読んで頂きたいのですが、ひとまず今井が確認しておくべき部分かなと思ったところだけ抜き出してみたいと思います。

薬剤師職能と社会貢献

(1) 医薬分業と薬剤師・薬局の現状
① 医薬分業の進展

「・・処方箋受取率が 70%を超えるとともに、薬局において応需処方箋枚数の約 2.8%について医師への疑義照会が行われ、応需処方箋枚数の約 1.0%が処方変更につながるなど、医薬分業が実を結びつつある。一方で、医薬分業の推進に伴い、患者は病院・診療所と薬局の2カ所を回る必要が生じ調剤料も増すなど負担が大きくなっているにもかかわらず、負担増に見合うサービスの向上や分業の効果などを実感できず、患者本位の医薬分業になっていないとの指摘もある。これに対し、厚生労働省では、平成 27 年 10 月に「患者のための薬局ビジョン」[5]を策定し、患者本位の医薬分業の実現に向けて、かかりつけ薬剤師・薬局のあり方を提示した。同ビジョンでは、かかりつけ薬剤師・薬局としての機能に加えてより積極的に健康サポート機能を有する薬局を「健康サポート薬局」として位置付けることとされ、平成 28 年 10 月より健康サポート薬局の届出が開始された。しかしながら、制度開始から 3 年余りが経過した令和元年 12 月末時点でも、健康サポート薬局数は 1,797件にとどまっている。以上の状況は、患者や他の医療関係者が医薬分業のメリットをより実感しうる業務の態様と客観的な評価指標の確立が求められていることを示唆している。」

②地域における薬剤師・薬局の役割

「高齢化が進展しまた新薬等の開発が進む中で、社会全般において多剤投与による副作用への懸念等が高まる一方、特に薬物治療上副作用の注意を要するがん等の患者の外来治療へのシフトも起こっている。この背景には、医療機関の機能分化、在宅医療や施設・居住系介護サービスの需要が増加する中で、患者が入院から外来、外来から在宅医療へと、地域において様々な療養環境を移行するケースが増加していることがある。薬剤師・薬局は、このような状況の変化に対応し、地域包括ケアシステムを担う一員として、医療機関等の関係機関と連携しつつ、その専門性を発揮し、患者に安全かつ有効な薬物療法を切れ目なく提供する役割を求められている。・・・」

⑤ 薬剤師の将来需給予測

平成 30 年度に行われた今後 25 年間の薬剤師の需給予測によれば、薬剤師の総数としては、数年間は需要と供給が均衡している状況が続くことになるが、長期的に見ると、供給が需要を上回ることが予測されている[7]。この推計は、薬局や医療機関における薬剤師の業務が現在と変わらない前提で行われたものであり、今後変化する薬剤師に求められる業務への対応や調剤業務の効率化等の取組によって、薬剤師の需要は当然変わりうる。また、将来的な大学の入学者・卒業者数、国家試験の合格状況によって供給も変化する。薬剤師業務が単に調剤のみに特化し続ける状況であれば、対物業務の機械化等により地域における薬剤師のニーズはむしろ減少することが考えられる。一方、セルフメディケーションの推進に代表さ
れる病気の予防や健康寿命の延伸に向けた取組などの業務を充実させることで、薬剤師の需要が高まる要素も考えられる。また、(1)後述する pharmacistscientists に関しては、現状でも圧倒的に不足していること、(2)医薬品・医療機器等の品質保証や製造の管理、食品・環境の衛生確保に関しては、薬剤師特有の職能を必須としているものの、十分に供給されていないこと、(3)薬系大学および大学病院薬剤部などにおいて教育研究を担う次世代の指導者が不足していることも、今後の課題として認識しておく必要がある。
平成 30 年 12 月現在のわが国の薬剤師数は 31 万人とほぼ医師に匹敵する数に達し、その約8割が薬局や医療機関に勤務している。平成 30 年の出生数は 92 万人となり少子化傾向が続く中で、毎年1万人前後の薬剤師が新たに誕生しているが、人材の有効活用という観点からも、薬学部・薬科大学の入学定員に代表される薬剤師の供給と薬剤師の職能や薬局業務のあり方を反映する薬剤師の需要のバランスについて、大局的な検討が望まれる。

(2) 持続可能な医療を担う薬剤師・薬局のあり方

③ 健康サポート機能

「国民の健康に対する関心の高まりや疾病予防の概念の普及に伴い、地域医療に参加する薬局には、プライマリケアを担う医療提供機関としての役割も期待されている。また軽度な疾病に対する患者のセルフメディケーションや疾病の早期発見などへの薬剤師の関与は、医療費増大を抑制する観点からも重要である。現在、薬剤師による健康相談や薬局に検体測定室や健診キットを設置し、患者の自己測定の便宜を図ることにより、受診勧奨や関係機関紹介などに繋げる医療サービスが提供されている。地域包括ケアの枠組みの中で、薬局内で一般用医薬品に加えて、健康食品やサプリメント、介護食や介護用品等を販売し、栄養相談から介護施設との連携まで、健康に関するファーストアクセス拠点としての役割の実践を目指す業態も見られる。インターネット等で膨大な健康情報が溢れる中で、薬剤師には的確な情報判断力と適切な情報提供能力が求められる。患者・生活者の身近な相談相手として、薬と健康の問題の教育に取り組み、国民の主体的な健康の保持増進を積極的に支援していかなければならない。地域住民の健康な生活を支えるために、薬剤師・薬局の健康サポート機能は重要であるが、前述したように健康サポート薬局の登録数は極めて少ない。薬剤師・薬局の健康サポート機能をさらに活用するための施策が望まれる。

④ コミュニケーション
患者に対する薬を正しく使用するための情報の説明、あるいは医師に対する処方変更の提案など、薬剤師は薬物治療において医師と患者の中間に位置し、双方向のコミュニケーションの円滑化を図る立場にある。さらに、医療機関や地域のチーム医療においては、多職種のメンバーとの情報共有が必要となり、ここでは十分な薬学的知識に裏打ちされた高いコミュニケーション能力が求められる。また、今後実施可能となるオンライン服薬指導では、対面指導以上に緻密なコミュニケーション能力が必要となろう。薬学教育モデル・コアカリキュラム(平成 25 年度改訂
版)[9]では、薬剤師として求められる基本的な資質としてコミュニケーション能力が挙げられ、患者・生活者、多職種から情報を適切に収集し、これらの人々に有益な情報を提供するための能力が求められている。したがって、実践に即した教材を用いた臨場感のある学部教育に加えて、卒業後においても薬剤師向け教育プログラムや教材を用いたコミュニケーションスキルの向上が望まれる[13]。

 

提言(重要です!!)

薬学教育モデル・コアカリキュラム(平成 25 年度改訂版)[9]では、豊かな人間性と医療人としての高い使命感を有し、生命の尊さを深く認識し、生涯にわたって薬の専門家としての責任を持ち、人の命と健康な生活を守ることを通して社会に貢献する薬剤師の養成を目的としている。6年制の薬学教育を受けた令和の時代の薬剤師が、日本の医療の担い手として、患者の医療と国民の健康増進にさらに貢献できるよう、以下の通り提言する。

(1) 地域医療への能動的関与
超高齢社会の日本における医療と介護を提供するために、地域包括ケアシステムの構築が進められている。薬剤師・薬局は、多職種や他の医療機関と連携しながら、積極的に役割分担を果たしていかなければならない。処方箋を持参した患者を対象とするのみでなく、地域住民の健康サポート役を担うことは強く推奨される。医療機関の薬剤師が調剤室を出て病棟業務を展開することで、医療チームの一員としての評価が明確となったように、薬局から地域に出て多職種と協働することにより、薬剤師の活動
が広く社会から認知され、患者のため地域のために役立つ薬剤師職能の発揮に繋がると考える。そのためには、薬局内での業務の効率化や業務分担の見直しも必要である。

(2) 薬学的管理に必要な患者情報の確保
薬剤師の調剤業務においては情報も調剤すると言われ、患者や医薬品に関する十分な情報なしには適正な薬学的管理は成り立たない。処方箋に記載されている患者情報は限られており、適正な薬物治療を行うために必須の患者情報が処方箋を発行する医療機関から確実に提供されるようなシステムの構築が必須である。患者情報が本来患者の所有物であるとの前提のもと、医療機関と薬局が連携して、個人情報保護に配慮しつつ、病名、検査値、アレルギー歴等の患者情報を患者と共に共有するシステムの構築が求められる。それにより、医師の処方意図を理解した上での調剤が可能となり、薬物療法の有効性、安全性の向上が期待される。地域医療、チーム医療の観点からは、多職種間で双方向のやり取り可能なシステムが望まれる。

(3) 卒前教育と卒後教育の調和
6年制の薬学学部教育においては、モデル・コアカリキュラムが策定され、その改訂も計画的に行われている。さらに、生涯研鑽は薬剤師のプロフェッショナリズムの重要なテーマであり、かかりつけ薬剤師や各種の認定・専門薬剤師の認定要件とも関連して、職能団体や各種プロバイダーにより様々な生涯教育プログラムが提供されている。しかしながら、認証機構による認証のないプログラムも数多く存在し、プログラムの質保証を進める必要がある。卒業後の多様な薬剤師のキャリアパスを支援して、社会のニーズに応える薬剤師を養成していくためには、他の専門職種に設定されている制度も踏まえつつ、卒前・卒後の教育に係わる関係者が目的意識を共有し、調和のとれた教育カリキュラムを提供していく必要がある。地域や病棟での患者指導で遭遇した出来事から薬学的課題を見出し、問題解決に向けた研究を展開できる pharmacistscientists の養成においても、臨床研修と研究のバランスに配慮した教育研究環境の整備が望まれる。

(4) 領域別認定・専門薬剤師制度の改革
薬剤師のキャリアパスにおいて、領域別認定・専門薬剤師制度は重要な役割を果たす。医療機関や薬局の機能分化が図られる中で、薬剤師は自らの環境に相応しい専門性を追求することになる。現在、関連学会や職能団体によって様々な領域別認定・専門薬剤師制度が設けられているが、薬剤師を呼称する領域別認定・専門制度が国民から理解されるよう、名称の整理や認定基準の整合性を図るとともに、制度の質保証の仕組みを見直しさらに検討すべきである。

(5) 薬剤師レジデント制度の整備
高い臨床能力を有する薬剤師を養成するには、6年制薬学部を卒業して薬剤師資格を取得した新人薬剤師に対し初期臨床研修を課すことが望まれる。国内で薬剤師レジデント制度を持つ医療機関は着実に増加しているが、あくまでも個別機関の自助努力で運営されている。今後の卒前教育の方向性を考慮しつつ、わが国における薬剤師レジデント制度の推進に向けてあり方の検討が必要である。

以上の提言の実現に向けて、薬学に係わる学術・職能団体のイニシアチブに加えて、(2)と(4)は厚生労働省、(3)と(5)は厚生労働省と文部科学省の両省による積極的な支援が必要と考える。

 

 

ということで国が望む薬剤師さんの職能、能力、役割についてよくわかる文章でしたね。この文章を読んでおけば絶対2030年、40年代に国が目指すべき方向性が理解できると思うので薬剤師さんのキャリアパスを考える上でも参考にすることができるはず!!

将来を予測し、どのような薬剤師さんが必要とされるのか、その中で自分はどんな役割を果たすべきなのか、何をしたいのか、資料を読んで各薬剤師さんはゆっくり考えてみてくださいね。自分も参考にしていきたいと思っています。

 

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