公開日:2020年09月03日

地元創成看護学って知っていますか?

こんにちは、札幌のかかりつけ医&在宅医@今井です。

 

当院のブログでも地域医療や診療所のみならず幅広く地域の医療全体にコミットする看護師さんのことを広義でコミュニティナース、として触れたりしていますが、それらを取りまとめて”地元創成看護学”として1ジャンルで考えた方がいいんじゃない?という面白い提言が今回されていたので紹介します。

当該文章は日本学術会議のHPで確認できますので是非一読されてみてください。面白い内容だとも思いますよ。

全文引用すると長くなるのでさわりの要旨などの文章だけ紹介します。個人的に面白いなと思った部分は赤文字にしています。

「地元創成」の実現に向けた看護学と社会との協働の推進

要 旨
1 背景と課題
人口減少と少子高齢化、人口の東京圏への一極集中を背景として、保健医療福祉分野の複雑で多様な課題は、全国一律の方策で解決することは困難である。各地域の特異な課題に、地域が主体的・自律的に取組むことが期待されているが、課題解決が進まない地域は少なくない。都市と地方では人口の動向が異なり、人々の生活や健康にかかわる課題の現れ方やその解決に資する保健医療福祉資源も、人々が生活を営む「地元」によって異なる。COVID-19 感染症の対応では、各自治体の地域の感染状況や特性を踏まえた対応が顕著になっている。

令和 2 年豪雨災害の支援では、COVID-19 感染症蔓延のため県外からの支援が困難で、地域内で対応せざるをえない状況である。これらはまさに「地元」の特徴を踏まえて、自らで対応することが求められる例である。
本提言では「地元」を、看護の対象集団・組織等が所在する地域、または看護系大学等の組織の理念や趣旨に根差す特定の地域、地理的境界もしくは共通の特性でかたどられる社会集団として定義する。多様な心理社会的な共同体・集団を幅広く含み、風土・文化背景を含む帰属意識を持つ人々の社会集団、及びローカルからグローバルなレベルを含む。
中央(東京圏)に対する地方のみではなく、都市には都市の、農村には農村の、「地元」に応じた方策を「地元」の人々がその風土や文化に基づきながら変化する地元のニーズに対応するために自ら創っていく「創成」が必要であり、それが可能となる施策が必要である。

2 地元創成看護学の必要性
地元創成を確実に実現するためには、看護学と社会との協働により「地元創成」に資する学術ならびに施策を構築することが必要である。
高齢者の尊厳の保持と自立生活の支援のため、可能な限り住み慣れた地域で自分らしい暮らしを人生の最期まで続けることができる、「地域包括ケアシステム」の構築において、看護職(保健師・助産師・看護師からなる専門職)が極めて重要な役割を担うことが社会から期待されている。地域包括ケアシステムは全国共通の一律一様ではなく、人々が生活を営む「地元」によって異なる。地域包括ケアシステムを推進するには、地元特有なシステムとして地域づくりが含まれる。看護職はこれらの要件を踏まえ、地元創成に資する新しい看護の教育、研究、実践活動を通して、求められる当該地域包括ケアシステムに貢献することが可能である。看護職の約 8 割は病院・診療所で従事しているが、訪問看護ステーションや福祉施設など地域で従事する看護職も過去 10 年で増加している。政策的にも地域・在宅医療のさらなる充実や地域性をふまえた在宅医療提供体制が検討され、看護職が今後の社会・地域において果たすべき役割を考えると、さらなる貢献が期待される。
看護職の教育課程であり看護学を構築する看護系大学は、1980 年8課程から 2020 年には 287 課程と急増している。全国の国公私立の3大学に1つは看護学の学士課程があり、各都道府県には複数の看護系大学がある。各大学は、大学所在の「地元」や建学の理念・趣旨に根差す「地元」を有し、地元の大きな資源となりうる。看護系大学が、地元創成に向けた新たな看護学の教育・研究に取り組むことを通し、地元創成に向けた新たな学術を牽引することが可能である。この新しい叡知は、当該地元のみに活用を留めるものではなく、その成果をグローバルに発信し、多様な複数の地元に活用され発展される必要がある。

3 提言
今回創設を提言する地元創成看護学とは、「地元(home community)の人々(population)の健康と生活に寄与することを目的として、社会との協働により、地元の自律的で持続的な創成に寄与する看護学」である。地元自ら主体的に活動していく価値観のもと、地元の人々が課題解決に向けた方策を自ら考え創っていくのを可能にすることを意図している。
この実現のため看護系大学は、(1)看護学のパラダイムシフトとして地元創成看護学への理念の転換、(2)「地元」住民との連携強化、(3)広域・政策担当者との連携強化の3点に取り組み、(4)COVID-19 の感染拡大や自然災害下における地元創成看護学の開発・実践に着手することが必要である。この地元創成看護学を、文部科学省は学問の一領域に位置づけ、厚生労働省は地域包括ケアシステム構築に向けた取り組みに位置づけるべきである。
(1)看護学のパラダイムシフトとして地元創成看護学への理念の転換
① 看護系大学は、看護学教育課程に地元創成看護学を取り入れ、各地元に相応しい地元創成看護学及び教育プログラムを構築する。
② 看護系大学は、地元創成看護学により「地元創成」を牽引できる看護職を育成する。
③ 看護学研究者は、地元創成を推進するコミュニティ参加型研究(Community-Based Participatory Research: CBPR)等に取り組み、地元固有の看護学を構想する。
(2)「地元」住民との連携強化
① 看護系大学は、地元創成を推進する人材教育を共同で行えるよう、住民との関係性を構築し、連携活動を推進する。
② 看護系大学は、地元創成に向けた人的・文化交流ネットワークの構築拠点となるプラットフォームを開発する。
③ 看護学研究者は、地元創成に向けた地元ニーズを把握するため、地元住民とともに合同でニーズ調査やヒアリングを系統的に行う。
(3) 広域・政策担当者との連携強化
① 特に内閣府、文部科学省、厚生労働省を中心とする国の行政機関は、地元創成看護学を支援する制度設計の基盤づくりを行い、看護系大学と連携する。
② 地方公共団体は民産官学連携により「地元創成」施策モデルを構築できる先駆的モデル事業、助成金等の施策に取り組む。
③ 看護系大学は、医療保険や介護保険を含む保険者、事業者、民間団体等の「地元創成」のビジネスモデルを開発できる先駆的モデル事業の推進に取り組む。
(4) COVID-19 の感染拡大や自然災害下における地元創成看護学の開発・実践の着手
① 看護系大学は、平常時から非常時を想定した地元の関係機関(自治体や地区の自治組織、職能団体等の社会集団)との連携体制を共同で整備する。
② 看護系大学は、地元自治体や自治組織、職能団体、医療-福祉機関等と準備した連携をもとに、非常時は教職員・学生の活動を起動し、地元関係団体と連帯・協働する。

 

 

読んで感じたことは、これって自分が普段から言っている地域全体を看て活動するコミュニティナースのことですよね!!!実臨床の部分では医師の外来診療と在宅医療の補助、自分自身での外来看護、訪問看護、予防から在宅緩和ケアまで、必要な社会資源へのアクセス確保と社会保障制度の紹介と実践、などなど・・・結局地元創成看護学を学んだ看護師が一番活躍できる、それを実践できる場は大学でも病院でもなく絶対診療所や訪問看護ステーションだと思いましたよ。

これからは地元創成看護学を学び地域包括ケア診療所で働く、そんな看護師さんが社会的にも必要にされていくのは間違いない、この文章を読んでそんな気持ちがさらに強くなりました。皆さんはどう考えましたか?時間があれば全文読んでみてくださいね。

 

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