公開日:2020年06月23日

冬の流行に備え、茨戸アカシアハイツでの対応を早急に検証すべき

こんにちは、札幌のかかりつけ医&在宅医@今井です。

 

こんなニュースがでていましたね。

「あっという間だった」北海道最大クラスター”茨戸アカシアハイツ”現地対策本部解散 介護職員確保は継続

「新型コロナウイルスによる北海道内最大の集団感染が発生した介護老人保健施設「茨戸アカシアハイツ」。その現地対策本部が6月22日解散しました。  田中 うた乃 記者:「約1か月間設置された現地対策本部が解散しました。当初の予定より、1週間早いということです」  札幌市北区の介護老人保健施設「茨戸アカシアハイツ」では、これまでに入所者や職員合わせて92人が新型コロナウイルスに感染し、うち17人が死亡しました。  集団感染が発生した当初は、札幌市内の患者の受け入れ態勢がひっ迫し、病院に運ばれず施設内で亡くなる人が相次ぎました。  札幌市は5月16日から現地対策本部を設置。診療や介護、感染対策を統括的に管理してきました。    施設に残る入所者全員が陰性となり、5月24日から新たな感染者が出ていないことなどから、22日現地対策本部を解散しました。  札幌恵友会 危機管理対策本部 渡邊 一史 副本部長:「設置期間は長かったが、現場で関わった人間としてはあっという間だった。早く日常生活を利用者へ戻せたことはありがたい。多くの人の力で、ここまでこられたと思う」  札幌市によりますと現在も入院している入所者がいることから、今後も保健所で指導や対策を続けるということです。  不足が指摘されていた介護職員についても、復帰や新たな採用により人員を確保していきたいとしています。」

 

本当に施設の方、特に現場で支援に当たられた介護職員さんや看護師さんは大変だったでしょうし、使命感から大変な業務に当たられたのでしょう・・・本当にご苦労様でしたとお伝えしたいと思います。

 

さてミクロの視点はさておきマクロ的に考えると、今後札幌の介護施設で同様の流行が起きた場合にはどうするのか、という問題への答えは早急に考えなければいけません。今回茨戸アカシアハイツが何とか持ちこたえられたのは行政の介入というよりは、現場職員さんの善意による行動と頑張りに起因すると個人的には考えています。今回の事例を検証するならば以下の点は特に重点的に考えるべきと思います。

 

①現地対策本部の設置時期は適切だったのか、行政の対応で改善すべき点は何か

②PCR陽性者の入院コンサル、時期は適切だったのか、医療提供の指揮命令系統はどうだったのか?どのようなプロセスを経て施設での医療提供体制の構築が図られたのか

③施設での看取りのプロセスの再評価と家族への説明についての検証

④介護職員、看護職員への負担軽減のための対策はどのようにすべきか

⑤医師会や在宅医の関わりはどうすべきか

 

今回の茨戸の件で対応医師募集の連絡が当院にも回ってきていましたが、行政と在宅医のかかわり、施設での医療体制決定プロセスに疑問があったため自分は参加はしませんでした。仮に当院が関与している介護施設で今冬にクラスターが発生した場合でも、上記疑問が解決されない限り積極的に行政と一緒に診療していくことは難しいのではないかと個人的には考えています・・・(まぁ実際は患者さんいたら診ていくことになるとは思いますが)

冬に備えて早急に茨戸アカシアハイツの検証をすべき!札幌市は現状の対策でも大変かと思いますが、施設内感染で亡くなられた患者さんやその家族の方のことを考えるとやはりすぐに取り掛かることが一番の弔いになるのではないかと考えます。皆さんはどう考えますか?

 

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