在宅医療Q&A その3
こんにちは、札幌の在宅医@今井です。
さて昨日、一昨日に続きもう少しQ&A形式でやっていきたいと思います。
在宅医療では薬はどうやって手に入れるのですか?
在宅医療を受ける患者さんの薬の入手方法は2つあります。一つは自分もしくは家族の方が薬局さんに取りに行くこと、もう一つは薬局さんに配達してもらうこと、です。おそらくほとんどの薬局さんがお願いすれば配達をしてくれるのではないかなと思います・・・
当院の在宅を受ける場合は①もしこれまでのかかりつけ薬局さんがあるのならばそこに取りに行く、もしくは取りに行けない状況や取りに行くのにかなり大変な物品(重い点滴など)である場合はかかりつけ薬局さんに配達してもらう、というのが第一選択かなと思います。もしかかりつけ薬局さんがない、対応が難しいという場合は対応可能な薬局さんを探すお手伝いをしています。
なので薬についてはあんまり心配はないかなと思います。これから国の方針で薬の郵送も認められていくでしょうから。
在宅での看取りを望む時、家族の適切な行動とはなんですか?
適切な行動、という定義がなかなか個別性が高く難しいので、家族の方がすべきこととしないほうがいいこと、で考えてみたいと思います。
家族の方が在宅で患者さんを看取る時にすべきことは、まずは残された時間に向き合い患者さんと一緒に楽しい時間を過ごしてあげること、が何よりも重要なのではないでしょうか。そのうえで医療者に自分の希望をきちんと伝えることをしてほしいと思います。
「○○だからこうしてあげたい」とか「○○が好きだったのでできるうちにさせてあげたいんだけど」とかなんでもいいので希望があればきちんと医療者に教えてくれれば、その希望に沿った形で医療者はできることを一緒に考えてくれると思いますよ。すべてが終わった後に(看取った後に)「実はこうしてあげたかった」「こんな希望があった」とかって言われるのが医療者としては非常に悔いが残ります。遠慮なく希望や家族の考えをいうこと、これをお願いしたいですね。
家族の方がしないほうがいい行動は・・・そうですね、我慢することでしょうか。介護が大変、実はこの医療処置家族がするのがつらい、眠れない、精神的につらい、等々色々あると思いますがやっぱりそういうつらさは我慢しないできちんと周囲のスタッフに伝えてほしいと思いますよ。
あとはどういう風に行動すべきかは、毎日もしくは隔日とかで訪問してくれる医療スタッフとゆっくりゆっくり話をしていけば実際困ることはそんなにないのかなと思いますよ。
家族が自宅で死亡した時、どのように対応するのがいいですか?
在宅医療者が関わっていた場合は診断書も作成できますし警察などを呼ぶ必要性もなくお看取りは可能です。
その後は多くの場合は事前にお願いしていた葬儀屋さんと一緒に葬儀やそれに必要な手続き等をしていく場合はほとんどです。
葬儀も今は会場だけでなく自宅葬でしてくれるところもあります。いずれにせよ個別にどのような点で困るのかをきちんと事前に医療者に相談してくれれば、色々な相談にも乗ってくれると思うのであんまり過度に心配する必要性はないかと思います。
狭い住居でも家族の看取りは可能ですか?
可能です。家の広さはサービスの調整の仕方が変わるだけで本質的な問題とはなりません。ものすごい広かろうがものすごく狭かろうがどちらでも在宅医療者は対応できると思いますよ。少なくとも自分の経験上ではせまくて確かにサービス導入などで工夫が必要だった患者さん家族はいましたが、狭いから無理、ということが理由で看取りができなかった方は0人です。
独居でも自宅で最期まで過ごすこそとは本当にできますか?
可能です。ただ唯一必要な条件としては本人がきちんと意思表示をして周囲の人にきちんとそれを伝えること、です。
そもそも本人が最後まで自宅で過ごしたいと言っているのに、医療者のほうで勝手に施設に入れとか病院のほうが安心だとかいうことはまずないんじゃないですかね?
<独居で最期まで自宅で過ごす人を支えること>は在宅医療者の究極のミッションだと個人的には思っていますよ。
介護度が軽く変更されることがあります。家族からみたら介護度が進んでいるのは確実なのになぜでしょうか?
これは判定する行政の問題ですので在宅医のみではいかんともしがたい問題ですが、確かによくよくある話です。軽く判定された場合でもサービスの必要性がなければ、もしくはサービスの限度額が余っているのであれば再申請しなくてもいいのですが、ぎりぎりまで使用している人に関しては医療者やケアマネさんに相談したほうがいいでしょうね。
行政の判定が厳しくなってきていることは年々自分も感じています。
一軒家の一人暮らしです。鍵を預けることは信用できないと人にはお願いできないですが、その場合は在宅医療を受けるのにどうしたらいいでしょうか?
これは緊急時の対応や玄関まででれない場合であれば仕方ないです。信用してもらうしかないです。在宅医療者や介護者を信用できないのであれば逆に自宅で過ごすのは難しいでしょう。
確かに不特定多数の人が出入りするのに自宅のカギの問題はあるかと思いますが、その場合は自分で選択していくしかないです。
「鍵を預けて自宅で生活するか」「鍵を預けず施設に入所するか」、どちらを選択するのもあなたの自由意思になります。在宅医療者側としては信頼してお願いするよ、と言われれば頑張りますが、信用してもらえないのであれば支援するのも難しいですよね。
緩和ケア病棟に入院の場合、亡くなるまで入院は可能なのでしょうか?
自分は在宅医療者なので入院側のことに関しては100%責任をもって言えるわけではないですが、基本的には一度入院になった場合で入院希望であるならば帰りなさいと言われることはないのではないでしょうか?
逆に言えば帰りたいと思った時でも自分からいいださないと自宅に帰れないことになります。
在宅にいようが病院に入院していようが、どちらにせよ重要なことは自分の意思をきちんと明確にすることですよ。
以上簡単に在宅医療のQ&Aで話をまとめてみましたよ。何か個別で相談ある方は当院まで気軽にご連絡くださいね。
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