在宅医療Q&A その1
こんにちは、札幌の在宅医&かかりつけ医@今井です。
医師会の雑誌を読んでいましたが、昨年の9月に行われた第10回北海道在宅医療推進フォーラムにおいて市民の方から色々在宅医療についての質問が出ており、それがまとまった形で公表されていました。
それらの質問に対し自分の意見ですが回答していってみたいと思います。在宅医療への理解が深まることを期待しています。
在宅医療の普及は進んでいるのですか?
在宅医からみてまだまだ普及は医療者、一般市民ともに進んでいないと思います。そもそも在宅医療は病院医療とは考え方から医療の提供の仕方、作法が全く異なるため、病院の医療者自体が在宅医療をきちんと理解するのにはかなり困難を伴います。(いい悪いは別として病院で働いている以上仕方のないことです)
病院の医療者すらきちんとまだ理解できていないのに市民の方に普及していくのはちょっと難しいですよね。まだまだ在宅医療の普及は札幌ではこれからだと個人的には思っています。
在宅医療を行う医師は増えているのですか?増えないとしたらその理由は?
増えていますが10年前に今井が在宅医療を始めた時に予想していたより増え方が遅いです。このままでは2040年に向けて札幌の、北海道の在宅医療の質の確保がままならないのではないかと個人的には非常に危機感を持っています。
在宅医療を行う医師が増えない理由は①医療が病院の作法と在宅医療は異なるので参入障壁が高い②複数医師体制のクリニックや病院が少ないため勤務負担が高い③そもそも在宅医療を積極的に行っている医療機関自体がすくない、などが理由として挙げられます。
細々ですが在宅医を増やすための取り組みを当院は継続して行い札幌の医療事情をよくしていきたいと考えていますよ。
札幌市内の病院スタッフの在宅医療への理解はどの程度ですか?
これは各病院によってかなり異なるので一般論として語ることは難しいです。ただ在宅医療や地域医療への連携を意識している病院は退院調整室や地域連携室という部署がかなり充実しています。病院の在宅医療への意識=地域連携室のスタッフの充実具合、という風に一般の方は考えていただければわかりやすいかと思います。
地域連携室の充実具合はどう評価するの?というのは単純ではないのですが、一般論として病床と比してマンパワー(人的資源)がきちんと割り振られているのかどうかがわかりやすい指標となるでしょう。各病院をそれぞれお時間ある方は比較してみてください。
在宅医療をしているクリニックや診療所の一覧表を知りたい
一応札幌市の医師会で在宅医を探すことが可能なHPはあります。(→こちらのHPを参考にしてください。)ただ実際これだけでは診療所のアクティビティや実力などは全くわかりません。なのでどれだけ実績があるのかどうかまできちんと知りたい場合は現状では書籍しかありません。
以下の雑誌は毎年各地域の在宅療養支援診療所の実績を提示していますので最新版を確認してもらえればと思います。
この診療所の実績で特に重要なのは往診回数がきちんと患者数と比例してしているか(つまりたくさん診てるけれど緊急対応の往診しない診療所はダメってことです)、看取り件数は十分かという点です。
現状では上記雑誌が一番公表されている資料の中では把握しやすいでしょうね。参考になるでしょうか?
最後まで家でと希望しても「かかりつけ医」が在宅医療、看取りまで実施してくれるか否かがわかりません
これはかかりつけ医の選び方となるとは思いますが、そもそもかかりつけ医に何を希望するか、ということになると思います。巷で増えている病院の専門外来がそのままクリニックになったようなクリニックでは上記のような機能は望めないでしょうね。
一番上記情報を入手しやすいのは地域できちんと仕事をしているケアマネさんや訪問看護師さんに聞いてみることでしょう。外来~在宅~看取りまで対応してくれるクリニックって意外と他職種の方は知っていると思いますよ。
あとは直接先生に聞いてみるのも一つでしょうね。「先生に診てほしいんだけでそうなったら診てもらえますか?」って聞いてみてその返事を確認してから検討するのもいいでしょう。
いくつか書きましたが、まだまだ質問ありそうですので続きます。
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