公開日:2019年07月22日

家族がいないと在宅死はできないの?~独居の方の療養と看取り~

こんにちは、札幌の在宅医@今井です。

 

7月22日にちょっと気になる記事を見つけました。ヨミドクターより

高島忠夫さんの在宅死、家族と地域の支えなくして「願い」はかなわない

一部抜粋

「・・・患者さん家族は、在宅介護を決めたら、まず地域包括支援センターに相談に出向きます。それで、「すぐに準備します」と言われたのなら、恵まれたほうです。また、在宅看護のためには、介護用ベッドを手配し、家の中をバリアフリーにしたりしてケアできる体勢を整えなければなりません。段差がある部屋やトイレには、ポールを取り付けてもらい、足腰が弱った患者さんが少しでも快適に過ごせるようにしなければなりません。これで、はじめて在宅医、看護師を頼めます。

 そしていちばん大事なのが、家族の支えです。家には誰か1人必ず介護できる家族がいなければなりません。いま最大の問題は、老老介護です。寿美さんは87歳と高齢でしたが、ご子息やその家族の協力がありました。こんなことは書きたくありませんが、家族仲が悪く、在宅介護をしても  めてばかりいる家も多いのです。

 そこで、もし、あなたが最終的に自宅で死を迎えたいなら、日頃から、家族を大事にするように心がけることが肝要です。(富家孝 医師)」

 

日頃から家族を大事にしましょうというのは普遍的な真実ですので異論はないですが、常に家に必ず一人は家族がいないと自宅で最期まで過ごせない、というのはちょっとどうかなと思います。この記事をみておそらくこのお医者さんが在宅医療に自分は取り組んでいないのではないかと感じてしまいました。(取り組んでいて啓蒙の意味も込めてこう言っているなら話は別ですが・・・)

結論から言うと独居の方でも、家族の支えがなくて最後まで自宅で過ごせる方がいるのは事実です。ただ希望者が全員最後まで自宅、という訳でもありません。

自分がどう過ごしたいのかきちんと意思表示して、それを繰り返し在宅医や訪問看護師、ケアマネに人生会議の場で伝え、さらに体調悪化時にもその意思が揺るがない人であれば、独居であっても最期まで自宅で過ごせると思いますよ。

 

医療者や介護者が最初から「独居者=在宅療養は無理」というお決まりの型枠で決めつけてしまうようなことがないようにしてほしいと切に願います。皆さんは独居になった時どうしたいですか?最期まで自宅で過ごしたいですか?それとも施設に入りたいですか?どんな医療者、介護者に関わってほしいと思いますか?

 

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