訪問診療を導入する際に在宅療養支援診療所のMSWが果たす業務、役割について
こんにちは、MSWが6人在籍している札幌の在宅療養支援診療所の医師@今井です。
MSWは連携の中心
連日新規の患者さんの依頼や入退院調整など、当院ではMSWが主になって他職種、他医療機関との連携業務を行っています。
これにより一定レベルの質の連携業務を行うことができ、医療機関として連携の方法、質の担保を個人(医師)の資質に任せることがなくなります。
在宅医療は個人の資質も大きいですが、複数医師、多職種が在籍する診療所では業務の質の担保を個人任せにすることなくチームで支えることは重要だと個人的には考えています。
MSWの業務内容
さて在宅療養支援診療所でのMSWでの仕事ってぱっと思いつくだけでも①入院及び退院調整②患者さんと家族の在宅療養支援③在宅医療の現場での多職種連携④経済問題への介入⑤法人内での連携の中心・ハブ⑥困難症例での行政との窓口、等々たくさんありますが、今回は訪問診療を導入するにあたってMSWが果たす役割に絞ってその業務、役割について少し述べてみたいと思います。
訪問診療を導入するにあたり在宅療養支援診療所のMSWが果たす業務、役割について
当院では病院からであってもケアマネさんからであっても家族であっても、必ず新規の在宅医療の依頼はMSWが対応することとしています。
一番最初にMSWがすることは依頼者からの情報収集です。どのような病歴か、なぜ在宅が必要か、キーパーソンはだれか、どこまで自宅で過ごすつもりなのか、金額的にどの程度余裕があるのか、入っているサービスは何か、訪問看護やケアマネはどこか、などなど・・・・・入念に可能な限りすべての情報を集めるようにしています。
依頼者によっては「あのクリニックに在宅依頼しても沢山質問くるからめんどくさいんだよね」って他の何も聞かないで在宅医療しますよ、っていうクリニックに依頼することもあるかと思います。
しかし当院はきちんとした医療を提供したい、もしくは居宅での在宅医療以外でも施設に入所したりホスピスの方が良かったりなど、他にいい医療や福祉の選択肢がその人にある可能性も否定はできないためと考えているため、できる限り情報を集め本当に在宅医療で介入した方がいいと思える場合のみ介入するようにしています。
なのでこの情報収集業務、非常に事前に時間がかかるのですがMSWが時間と手間をかけて行いそこで「在宅の介入が必要だな」って判断した場合に医師に情報まとめてプレゼンすることになります。
MSWのプレゼン後医師も在宅OKとなると、今度は患者さんや家族の方、紹介元との調整に入ります。入院中であれば退院時カンファレンスの調整を行いますし、在宅の方であれば一度訪問診療前に事前訪問を行い+αの情報収集と患者さんと家族の方にも訪問診療についての概要と費用等の説明、診療の同意書の取得、医療費の引き落としの手続き等を行います。
もちろんその間にケアマネや訪問看護との連携であったり、導入されていない場合はその必要性についても判断し同時並行して調整業務を行っていくことになります。
その後カンファレンスもしくは初回の訪問につなげて在宅医療の開始っていうことになりますが・・・・えぇ、結構な労力をMSWは費やしています。
なぜそこまでするの?
正直在宅医療導入にあたってここまできちんとするクリニックは少なくとも札幌市内ではほぼないじゃないかなと思います。これだけ時間と手間かけるって確かに人手かなり余裕もっていないとできないですから・・・
なぜそこまでするのか?以下に理由です。
①MSWが訪問診療前に事前にこれだけの労力を費やすのは確かに大変ですが、その分在宅医療導入時には必要な情報がある程度診療医がわかっている状態となるので医師の心理的、業務的負担を軽減できるため
②患者さんや家族にとっても在宅医療の制度はまだまだ未知であるため事前にきちんと説明しておかないとトラブルになる可能性があるため。特に費用も通常の外来よりは高額ですしね。
③事前にきちんとした手順を踏むことにより複数の視点で患者さんを評価することができ、本当にどうしてあげることがその患者さんにとっていいのかを客観的に検討することができる
などが理由ですね。
・・・・ということで紹介元の医療機関やケアマネさん、訪問看護さんなどにおきましては大変かも知れませんがご協力の程よろしくお願いします。
どうせ在宅医療を受けるのならばきちんと納得してもらったうえで、さらにそれが一番その人にとっていいと思える状況で受けてもらいたいというのが当院の考えです。
在宅のフィールドではMSWが取り組むべき課題は山ほどあります。興味ある、情熱のあるMSWの方いましたら是非見学にでも来てくださいね~
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