公開日:2018年03月22日

脳梗塞、脳出血でも救急搬送はしない・・・高齢者では本人の意思次第でそのまま自宅で看取るという選択肢もあり得ます。

こんにちは、脳梗塞や脳出血の患者さんをたくさん入院でも外来でも診てきた札幌の医師@今井です。

脳卒中の時は絶対搬送するの?

脳梗塞、脳出血が疑われた場合、一般的にはどうすべきでしょうか?ガイドライン上では必ず推奨されるのは

脳卒中が疑われる場合はすぐに救急要請して!

となっています。

脳梗塞であれば時間や状態により積極的な血栓溶解療法での治療が期待できますし、場合によりmRSが0での退院も期待できるかも知れません。(mRSとは脳卒中後の評価スケールで0とは全く症状が後遺しない状態を示します)

原因が脳出血であれば出血の状況により手術加療をすることもあり得ますが、この場合は症状が後遺する可能性大ですね。

いずれにせよ治療により病状がある程度改善する可能性があるため搬送はできるだけ早く、必ずして、っていうのが現状の脳卒中の救急医療体制です。

本当に全ての患者さんを搬送すべき?

ただ本当に全ての患者さんを搬送する必要性はあるでしょうか?

80歳以降の高齢者で、ある程度ADLが落ちている患者さんであれば

「何かあった時には何もしないでいいから」

っていう患者さんが実臨床の現場ではかなり多いのではないかと思います。病院でも在宅でも医療者なら経験ありますよね。そんな人達が脳梗塞や出血になった場合どうするか・・・・皆さんはどうするでしょうか?

搬送しますか?しませんか?

搬送しなければ脳卒中の具合によりますが大抵嚥下障害から水分摂取不可→食事もとれずに点滴しなければ1週間程度でお看取りすることになります。

搬送したらmRS0で改善する可能性は低いですが0ではなくあります。しかしそうでなければその後点滴や気管切開、胃瘻などの意図しない治療がされる可能性があります。

搬送しないという決断は十分選択肢となりうる

ACPやLWが明確で急変時に何もしてくれるなという高齢者が上記のように脳卒中となった場合、自分は家族にも改めて本人の意思を伝えて搬送しないでそのまま1週間程度自宅でケアをし看取ることがこれまでありました。

よく脳卒中の救急搬送では上記のようなFAST対応をしよう!と言われますが、最後の”Time is brain”って脳保護のためにできるだけ早く搬送してねってことだと思います。

が高齢化社会においては”Life is brain”という考えも存在しています。すなわち脳がはっきりしており自分自身のことは自分でできるからこそ自分らしい人生だ、と思うのであればbrainがダメージを受けて自分自身の事が自分でできなくなった時、食事もできなくなった時に死にたいと考えることは不自然でしょうか?

医療者はどう対応すべきか

高齢化社会の中ではガイドライン通りに対応するのではなく、個別に患者さんの意思がどうなのか、家族の考えはどうか、どうすることが一番患者さん本人にとっていい医療なのかを判断することが在宅の医療者には求められてくるでしょう。

 

皆さんの周りでは救急搬送しないでお看取りする脳卒中の患者さんはいますか?いないならそれはどうしてだと思いますか?よければご意見ください。

 

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