公開日:2018年05月17日

高齢患者さんの体調変化時に救急要請しないで医師が往診する意義はあるのか?

こんにちは、札幌の在宅医@今井です。

本日も包括から体調不良の高齢患者さんの往診依頼があり初診ですが診察にいってきました。

高齢患者さんの往診依頼

結果としては脳梗塞が疑われるため病院を紹介し搬送、往診は単発で終了となっています。

と簡単にこれだけを書くと「病院に結局搬送することになるなら往診する意味ないじゃないか」「行くだけ医療費の無駄でしょ?」ってことになるかと思います。

確かにかかる医療費としては往診料+初診料+診療情報提供書などの1500点、15000円くらいとなります。これって無駄な医療費でしょうか?

いえいえ、こう書くからにはもちろんそんなことないって自分はいいたいんです。以下にその理由を書いてみたいと思います。ちなみに心停止や意識障害が重度の場合でACPがない場合はすぐに救急要請していいかと思いますよ・・

すぐに救急搬送するのではなく在宅医が往診する意義

という訳で15000円保険からお金をかけて往診することにより以下のメリットが生まれます。

①自宅でいるか病院にいくのかの選択をできる

→医師が往診することによりその場で病状の判断がある程度可能で入院した場合としなかった場合の転機をある程度予想することが可能。なのでそれをもとにしてそのまま自宅にいる方が本人にとっていいのか、それとも病院に搬送した方がベストなのかをある程度判断することが可能となります。

高齢者にとってはどこまで医療をすることが必要かその場である程度判断することも必要になりますよね

②病院を適切に選択することができる

心肺停止に近い状態で病院が必要ならもちろん3次救急が必要ですが、多少の症状でどの病院に搬送しても大きく予後に影響しなさそうな病態であれば近くの病院であったり、施設へのつなぎがうまい病院であったり、リハビリがいい病院であったりと地域の医療資源に応じた適切なトリアージが可能となります。

結果としてより適正な医療を患者さんが受ける事が可能となり、よりよい経過をたどることが可能となると思います。

③病院医師の負担軽減

②と少しかぶりますが、ある程度在宅医が病状を判断しトリアージして調整することにより急性期病院の医師の負担が軽減することが可能となると思います。

病院医師が本来業務に専念することがより可能となると思われますので15000円くらいがトリアージの費用として必要であったとしてもその後の医療や介護の費用を考えると全然費用対効果は高いものであると思われます。

高齢者の救急搬送をどうするか、往診対応も含め今後議論は必須となる!

と言う訳で高齢者の病状変化時の往診対応の意義はあると個人的には思っていますが中々救命との境の患者さんをどうするか、はてはそのような適切な判断を在宅で下せる医師がどの程度いるのかといった点では今後議論は必須となるかと思います。

ただ高齢者の病状変化、救急対応については今後地域である程度対応しなければいけない時代がくるのではないか、そんな時代がくるはずと考えていますよ。

皆さんの考えはいかがですか?よければ教えてくださいね~

 

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