公開日:2018年03月06日

在宅療養支援診療所の経営をシュミレートしてみた

こんにちは、6月に札幌の南区で在宅 専門の診療所(さっぽろみなみホームケアクリニック)をもうひとつ開く予定の札幌の在宅医@今井です。

さて新しく在宅療養支援診療所を開院する際に経営側として考えるのは、まずはクリニックとして本当に経営できるかどうか、その採算はどの程度であるか?という点です。当たり前ですが収支が少なくともトントン以上でなければ診療所として規模拡大はできないですし、それどころか継続診療すること自体が難しいでしょう。

という訳で在宅療養支援診療所の収益について現時点で予想できる範囲で計算してみたいと思います。

在宅療養支援診療所の収支

まずは機能強化型ではない在宅療養支援診療所として登録した場合でさらに在宅専門の診療所の基準を満たすとして考えます。

診療所の人員は医師一人、看護師一人、事務長一人、その他MSW一人と事務バイト一人として考えます。

想定患者数は医師一人でみれる患者数のマックスの8割程度の70人とします。おそらく当院であれば個人住宅が8~9割、施設の患者さんが1、2割となるのではないかと考えています。

収益

患者さん一人当たりの単価が月2回訪問+在医総管で大体医療保険で5000~6000点程、居宅療養管理指導が580点でおそらくは平均すると5500点くらいになるのではないかなと思います。これに諸々加算や指導管理料、看取りに伴う点数などがベット算定できますので診療所の収益としてはざっくりと考えると

5500点×70人+(各種加算として)50000点=435000点となるのではないかと思います。

となると収益としては大体440万炎/月となる計算になります。

支出

支出で大きな項目はどのクリニックもそうですが人件費ですね。

賞与も含め月にならすと事務長さん45万、看護師さん35万、MSW30万、事務バイトさん10万と考えるとこれだけで人件費は120万/月となります。これに社会保障費が10%上乗せさえるので人件費プラス社会保障や雇用保険そのほなど諸々乗せると140万となります。

その他家賃10万/月、車3台のリースにかかる費用と駐車場代と保険、維持費で10万程、暖房光熱費月4万、物品や薬品代20~30万、電子カルテとレセソフトで月に8万くらい、その他諸々雑費で30万としてトータル大体90万/月くらいが経費となるでしょうか。

ということで医師の人件費を抜いた支出が大体230万円/月となります。

収支

収入が440万/月、医師以外の経費トータルが230万/月・・・・ということでさらにこれで休むために他の医師に土日や夜間のアルバイトなどお願いし諸々支払ったら、法人としての利益はほぼないことになりますね・・・

ではどうするか?

ということでどうするかとこのままでOKな訳はないため何かしないといけません。その答えとして選択肢は二つあって単価あげるか診る患者さん数増やすかしかありません。

ということで①機能強化型の在宅療養支援診療所となる②患者さんをマックス(90~100人くらい)までみて、その後複数医師体制にして規模の拡大をめざし、かつ医師一人当たりの負担を減らす、といったことを検討することになるかと思います。(ちなみにこの患者さん70人っていうのもこの数になるまでは数か月は必要ですので軌道にのるまでは結構大変です・・・・・)どっちにしろ単価を上げる努力をするかたくさん患者さん診るしかないわけですが在宅医療で診察できる患者さんの数はある程度決まっています。(1日50人とか診ている診療所も札幌にはあるようですが・・・そんな診療所は当院の考えとは全くの別物として考えています)

 

 

いかがでしょうか?在宅療養支援診療所って以外とお金あるんじゃない?とかって根拠もなく考える方もいるかと思いますが、実際は保険診療の枠内での経営であるため一人でする分にはそんなに利益がでる訳ではありません。

まあ利益がでなくても患者さんや地域にいい医療を提供できればいいのですが、少なくとも患者さんだけでなく働く従業員も幸せになれるような経営ができればいいですね。でもせっかくするのだから利益だしてどんどんいい医療や設備を地域に還元していきたいっていうのが本音です!!!

 

ということで今回は在宅療養支援診療所の経営について簡単にシュミレートしてみました。何かご意見あれば教えてくださいね~

 

 

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