公開日:2017年11月11日

治療可能な、治せる認知症について

最近はALSの新患の方が幾人か続けて来られています、年末に向けて頑張らないと・・

 

こんにちは、土曜日の早朝から診療しながらですが、本日は投薬や手術などで治療可能な,、治せる認知症について簡単に書いていきたいと思います。

基本的に皆さんがイメージされる認知症は、加齢とともに病状が進行し基本的には薬を使っても進行を抑制するだけで根本的な治療はないんだろうな、とかかもしれませんが、実は認知症の中では治療可能な認知症というものも存在します。

具体的に以下に列挙していきます。

1 正常圧水頭症

2 慢性硬膜下血腫

3 脳腫瘍

4 甲状腺機能低下やビタミン欠乏症など

5 薬の多量服用による認知機能低下

6 抑うつ状態

などでしょうか。ひとつひとつ簡単に述べていきたいと思います。

1正常圧水頭症について

これは認知機能障害、歩行障害、尿失禁などを特徴とする疾患で突発的におこるものと頭部外傷や脳出血の後遺症で起こるものに分類されます。高齢者は転倒などを契機に発症される方もいますし、原因が不明で特発性もいるしどちらもあり得ます。若年者は続発性がほとんどでしょうね。

この病気は端的にいうと脳脊髄液の循環が悪くなり余分な髄液が脳に貯留、そのために上記の症状が引き起こされます。診断は問診や頭部CT、髄液穿刺などありますが非侵襲的に検査するなら問診と画像診断が最もよいのではないでしょうか。これで大抵診断できます。

以下CT画像をネットから拝借・・・

↓正常な方の頭部CTが上で、水頭症の方のCTが下です

治療については投薬ではなく手術加療が勧められます。シャント手術がうまくいけば上記症状については改善することが多いため、正常圧水頭症は治る認知症の代表ともいえるでしょう。

 

2慢性硬膜下血腫について

こちらは介護施設などで働かれている方は良くご存じだと思いますが、高齢者の方が転倒することで1~3か月程度の間にゆっくりと頭蓋内に血の塊が発生し増大→その結果認知機能低下を引き起こします。

こちらは症状としは認知機能低下以外に、麻痺の出現や歩行障害、なんとなくボーとするといったような軽度の意識障害、その他頭痛や嘔気など諸々の症状を呈する事があります。

高齢者で転倒の既往あり + 最近なんとなく活気なくふらふらしている、物忘れもすすんだ =慢性硬膜下血腫

ってことが結構あります。こちらの病気も診断は頭部CTで大丈夫です。

↓こちらもネットから拝借したCTです

慢性硬膜下血腫は症状が軽度であれば五苓散という漢方を服用してもらい場合によっては改善することもありますが、症状が中程度から重度、もしくは五苓散服用しても症状が悪化する場合は手術加療をお勧めしています。(さすがに手術は設備的に当診療所ではできません・・・)

こちらも治る認知症の代表の一つだと思われます。

他にも3~6の疾患などがありますが、最近多いのが多剤服用(ポリファーマシー)による認知機能低下です。認知機能低下をきたすと言われているお薬は以外と多く、以下のものがあげられています。

 

他にもうつ状態の人が認知機能が低下しているんじゃないかしらってご家族に連れてこられることもあります。こういった場合は薬剤の減薬や追加投与などの調整で認知機能が改善することがあります。

 

いかがでしょうか。確かにアルツハイマー型認知症や脳血管性認知症などうまく症状とつきあっていかなければいけないタイプの認知症もありますが、治る、治せる認知症もたくさんあります。

困っている方、相談したい方はいつでもご相談ください。

 

#追記:当院は在宅療養支援診療所として患者さんの日常生活支援を医師、看護師、リハセラピスト、ソーシャルワーカー、ケアマネなど多職種で積極的に行っております。認知症の方の対応や療養でお困りの方も診断だけでなく治療にも相談に乗っていますので気軽にご連絡ください。

 

 

 

 


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