公開日:2015年09月25日

BSC=何もしないこと?

昨日突然ですが、病院から退院させたい、とのご家族の希望があり急きょ自宅退院となった患者さんの診察に行ってきました。よくよくご家族の話を聞くと、元々癌の既往のある患者さんでそちらの方は積極的な治療は希望しないとのことを伝え入院していたのですが、呼吸状態が徐々に悪くなっていくのをみて心配になり、楽にするために何か治療はないか、と病棟で話をしたがBSCとのことで治療何もしてくれないので不安になってたまらなくなり退院して連れ帰ってきたとのことでした。

診察してみると癌による症状というよりは明らかに心不全と胸水の貯留がつらさの原因、さっそく利尿剤の注射行い、夜間も再度往診してラシックスの追加注射してきました。水分1000近くひけるとだいぶ呼吸が楽になったようでひとまず患者さんは楽そうに眠っていました。入院中の水分点滴が心不全の引き金になったのでしょうね・・・・・

癌の終末期の患者さんですが、BSCだからといっても入院中に心不全の治療もせず呼吸が徐々に苦しくなるのをみているのは家族もつらかったでしょう。BSC=本当に何もしないこと がまだ札幌市内の大病院でもあるんだなと少し残念に思えた昨日でした。あと病院で悪くなった心不全を在宅で治療する、普段とは逆ですがこういうことも今後在宅と病院の垣根が低くなり、行き来するようになればよくあることとなるかもしれないな、とも感じました。