公開日:2026年09月16日

え?今まで何をしていたんですか?【生活保護利用の診療データ、厚労省が分析へ 保健指導・適正受診促す】

こんにちは、札幌のかかりつけ医&病棟医&在宅医@今井です

ちょっとびっくりする記事見つけたのでシェアします。日経新聞の9月15日の記事です。

「厚生労働省は生活保護を利用して医療を受けた人の大規模な診療データ分析に乗り出す。2024年度までの10年間の診療報酬明細書(レセプト)をすべて抽出し、健康課題や受診頻度などの傾向を把握する。

浜松医科大学の明神大也准教授らが2027年度まで研究する。医療費を公費でまかなった生活保護の受給者は全国に毎月およそ170万人いる。分析するレセプトは計1億件超とされ、網羅的なビッグデータの分析は初という。…」

えっ?初めてなんて嘘ですよね?

 

「初という」——この一言が全てを物語っている

記事の中で、今井が一番引っかかった言葉がこれです。

「網羅的なビッグデータの分析は初という」

・・・・初めて、なんです。

生活保護受給者は全国に毎月約170万人。医療費は全額公費負担。その方々の診療データを、これまで一度も網羅的に分析していなかった。

これが日本の医療行政の現実です。いい加減にせえよ、と。

現場では20年以上前からわかっていた

1医療者として正直に言いますが、生活保護受給者の医療が適切に使われていないケースがある——これは現場にいる医療者には、20年以上前からわかっていたことです。

複数の医療機関を梯子する、必要以上に薬を処方してもらう、入院を必要としないのに長期入院が続く。)逆に、本当に必要な医療を受けられていない方もいる)

現場の医師・薬剤師・ケアワーカーが「これはおかしい」と感じながら、でも制度として何も変わらない——そういう状況が長く続いてきました。

なぜ今「初」なのか

以下の理由かなと推測しますが・・・・どうなんでしょう?

①縦割り行政の壁
生活保護は福祉、医療費はレセプトで厚労省、でも実際の管理は都道府県・市区町村——関係する組織が多すぎて、横断的なデータ分析が進まなかった。

②「問題を見たくない」という空気
分析すれば問題が明らかになる。問題が明らかになれば対応しなければならない——「見なかったことにする」方が楽、という組織の論理が働いていた可能性があります。

③個人情報・プライバシーへの過度な慎重さ
とはいえ結局は公費で賄われている医療・・・・適正化のためのデータ分析に、これだけ時間がかかるのは過度に慎重すぎると今井は思います。

「2027年度まで研究する」——これも遅い

分析結果が出て、対策が検討されて、制度に反映されるまでに、さらに数年かかるでしょう。

20年以上放置してきたことが、さらに10年かかって解決する——これが日本の医療行政のスピード感です。時代の変化についていけるんでしょうか?

「適正受診」の前に考えるべきこと

記事では「保健指導・適正受診を促す」という方向性が示されています。これ自体は正しい方向です。

でも今井はもう一つ大事な視点を忘れないでほしいと思っています。

生活保護受給者の中には「本当に必要な医療を受けられていない方」もいます。データ分析の結果を「削減」の根拠だけに使うのではなく、「必要な医療が届いていない方を見つける」ためにも使ってほしい。

これも大事な視点なのかなとも思っていますよ(^^♪

「え?今までなにをしていたの?」——率直にそう思いながら、でも遅くても始まったことは評価したい。あとはスピードと方向性の問題かなと・・・

皆さんはこのニュースを読んで何を考えましたか??(今井は生活保護受給者の医療の適正化とともに、不適切な医療を提供している医療機関名も公開してほしいなと思いますがね。札幌にもそういうメンクリ、実際ありますから・・・)

 

 

 

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