これは希望する患者はいるのでしょうか??【歯科麻酔「医師のみ実施」慣例見直し、衛生士の職域拡大の動き 講習会に80人…関心高く】
こんにちは、札幌のかかりつけ医&病棟医&在宅医@今井です
ちょっとびっくりする記事を見つけましたのでご紹介です。産経新聞さんの7月27日の記事です。以下どうぞ↓
歯科麻酔「医師のみ実施」慣例見直し、衛生士の職域拡大の動き 講習会に80人…関心高く
「慣例的に歯科医師だけが実施してきた麻酔注射を、法律が認めるとおり歯科衛生士が行えるようにする取り組みを業界団体が進めている。歯科治療における人手不足の解消や歯科医の負担軽減、歯科衛生士の地位向上を図る狙い。厚生労働省も昨年、指針を示して後押しする。課題は、トレーニングを受ける機会の少なかった歯科衛生士の技術向上と患者側の理解を得ることだという。・・・・」
これに関しては・・・今井としてはちょっともろ手を挙げての賛成はできないかなと考えています。理由は以下↓
①麻酔注射は「簡単な手技」ではない
記事の中で講習会に参加した歯科衛生士の方が「注射針を思ったより強く押す必要があるなど、実践して初めて分かったことがたくさんあった」とおっしゃっています。
・・・・これ、かなり怖い発言ですよね。
麻酔注射は単に「針を刺す」だけの行為ではありません。
〇 局所麻酔薬のアレルギー反応・アナフィラキシーショックへの即時対応 〇 血管内誤注入(血管に直接麻酔薬が入った場合の全身毒性) 〇 神経損傷のリスク 〇 患者の全身状態(心疾患・高血圧・糖尿病など)を踏まえた判断 〇 注射後の異常への迅速な対応
これらすべてに対応できる知識と経験が必要です。
「1日の講習会で実技を学んだ」レベルで、これらの緊急事態に対応できるとは到底思えません。それが10日でも同じです。実際に人に侵襲的な外科治療、つまり歯科治療を常に行っている歯科医がやった方が200%安全です。
麻酔でミスると本当に人が死にます。法律上可能とされていたとしても、より安全で確実な医療を提供する方が患者さんにとってはより重要ではないでしょうか??
②「人手不足解消」のために患者を使わないでほしい
今回の動きの背景に「歯科治療における人手不足の解消や歯科医の負担軽減」があることは理解します。
でも今井が強く思うのは人手不足や業務効率化の問題を、患者さんの安全を犠牲にして解決してはいけないということ。
歯科衛生士の地位向上、職域拡大——それ自体は否定しません。でもその手段として「麻酔注射」を選ぶことには慎重であるべきではないでしょうか??
まぁ今回は歯科の話ですが、これは歯科だけの問題ではないですよね。医療の世界でも看護師・准看護師・医療補助者の職域拡大は、医療界全体で議論されています。人手不足・医師の働き方改革——これらを背景に「今まで医師がやっていたことを他職種に」という流れは加速しているのが実際です。
方向性として間違っているとは決して言いません。でも「どこまでなら安全か」の基準と検証なしに進めることは危険ではないでしょうか??
今回の歯科麻酔の記事の件はその流れへの警鐘として受け止めるべきだと今井は考えますが、皆さんのご意見はいかがでしょうか?よければ教えてくださいね(^^♪(決して現場で頑張っている歯科衛生士さんを否定している訳ではないですのでご理解ください)
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