医療法人の経営、国に本格的に数字チェックの体制に・・皆さん準備できていますか?~令和7年度 医療法人の経営情報の活用方法等に関する研究報告書~
こんにちは、札幌のかかりつけ医&病棟医&在宅医@今井です
先日、医療法人の運営、経営に関して、国からこんな資料が公開されていました。興味ある方はこちらをどうぞ↓
「令和7年度 医療法人の経営情報の活用方法等に関する研究報告書」
PDFはこちらです。
正直、今井としては「やっぱりそうきたか。まぁそうだよね」という感覚もありました。以下詳細についてです。
資料まとめ
国は「医療法人の経営情報データベース(MCDB)」を整備し、全医療法人の経営情報を収集・分析し始めています。令和5年8月から義務化された経営情報報告制度がその根拠で、すでに3,589の医療法人病院のデータが収録されています。
この報告書では、MCDBと病床・外来機能報告を組み合わせることで、こんな指標が比較できるようになっています。
〇 医業利益率・経常利益率 〇 人件費比率(医師・看護師・その他職員別) 〇 病床稼働率 〇 1床あたり医業収益 〇 外来患者1人1日あたり外来収益 〇 平均在院日数
そして実際の数字がこれです——
| 病院種別 | 医業利益率 | 経常利益率 | 人件費比率 |
|---|---|---|---|
| 一般病院 | -2.2% | +0.1% | 58.5% |
| ケアミックス | -0.8% | +1.6% | 62.1% |
| 療養型 | 0.0% | +2.1% | 63.7% |
| 精神科 | -1.0% | +1.8% | 65.4% |
医業利益率はほぼ全種別でマイナス。補助金等を含めた経常利益率でかろうじてプラスを保っている、という構造です。
今井が気になること
〇 自法人の数字が「同規模・同機能の法人と比較される時代」が来た
MCDBが整備されるということは、人件費比率・稼働率・収益性が業界平均と比べてどうかを、国が把握できるようになるということです。「うちはうちのやり方で」では通じなくなってくる可能性があります。
〇 医業利益率がマイナスという構造は在宅医療でも無縁ではない
この報告書は主に病院データですが、在宅療養支援診療所も経営情報報告の対象です。今後、在宅医療機関の比較データも整備されてくる可能性が高い。
〇 補助金依存の構造が変わるリスク
医業利益率がマイナスで経常利益率がプラスという構造は、補助金・助成金に支えられている部分があります。政策変化で補助金が減ったとき、自力で黒字を出せる構造になっているか——今から考えておく必要があります。
〇 人件費上昇が「さらに」効いてくる
どの病院種別でも人件費比率が55〜65%台。最低賃金が年3%上昇し続けるとすれば、この比率は何もしなければ確実に上がっていきます。
今井が思うこと
「国が医療法人の経営を数字で管理し始めた」という事実を、経営者として重く受け止めています。
良い面もあります。「同規模の法人と比べて自分たちはどこが強くてどこが弱いか」がデータで見えるようになれば、経営改善の根拠が作りやすくなる。でもここに書きませんが怖い側面もある・・・
まぁ、まずは自法人の数字を自分たちで把握・管理できている状態を作ること。「言われてから気づく」ではなく「自分たちで先に把握している」状態にしておくことが、これからの医療法人経営の最低条件になっていくと今井は感じています。いずれにせよ”透明性”は医療法人であれば意識するキーワードになっていくのでしょう。
皆さんの法人では、経営の数字をどこまで把握されていますか??そしてそれが公開される準備、されていますか?
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