公開日:2026年06月27日

虐待か、医療行為か・・その境界線について【興奮状態の入院児童を10m引きずる、40代男性看護師の身体的虐待と認定…男児は手の関節に痛み】

こんにちは、札幌のかかりつけ医&病棟医&在宅医@今井です

ヤフーさんの記事で気になる記事を見かけましたのでシェアします。皆さんの感想はいかがでしょうか?6月26日の記事です。

興奮状態の入院児童を10m引きずる、40代男性看護師の身体的虐待と認定…男児は手の関節に痛み

「 三重県は25日、県立子ども心身発達医療センター(津市)で、40歳代の男性看護師が入院中の児童を引きずって移動させる身体的虐待があったと発表した。

前提として——現場の真偽は外からはわからない

最初に言っておくと、今井はこの事件の現場を見ていませんし、実際に何が起きていたかの詳細はわかりません。もし本当に悪意を持って子どもを傷つけようとしたのであれば、それは当たり前ですが許されない行為です。ただ・・・・今回の報道を読んで、正直もやもやしたんですよね。

「他の児童に危害が及ばないようにするためだった」

これ、医療・福祉の現場にいる人間なら、この説明がリアルに想像できると思います。障害のある子ども(認知症の大人もそうですが)が興奮状態になったとき、その子自身が怪我をするリスク、他の子への危害のリスク、スタッフへの危害のリスクが同時に発生します。

そういう場面で、どう対応するか。

声かけで落ち着かない。引き離そうとしても暴れる。他の子が危ない。でも人も足りず一人で対応しなければならない。そういう状況が現実にあります。

事実としては手首を掴んで居室に戻そうとした。それが今回「虐待」と認定された。

これで事件化するなら、誰も障害児病棟で働けなくなる

今井が一番心配しているのはここです。今回の件が「身体的虐待」として事件化されるなら、現場の看護師はどうなるか。

「何かあったとき、どう動いても虐待と言われるかもしれない」という恐怖が広がる。結果として、もともとでも人手不足が深刻な障害児・精神科病棟から、さらに人が離れていく。

なんでもかんでも「虐待」と認定することが、本当に子どもたちを守ることになるのか?今井は正直疑問です、皆さんはどうでしょうか?

「虐待」の定義と現場の実態のギャップ

もちろん、繰り返しますが子どもへの虐待は絶対に許されないし、見逃してはいけない。ただ、医療・福祉の現場では「身体拘束」「行動制限」という概念があります。興奮状態の患者さんを安全に保護するための行為は、適切に行われれば医療行為の一部です。

その境界線はどこにあるのか。今回の事案がその境界線のどちら側にあったのか——外からの情報だけでは判断できない部分が大きい。

それを映像だけで「虐待」と認定して公表することへの慎重さが、もう少し必要なんじゃないかなと思っています。そして県にはスタッフを守るという意識はあったのでしょうか・・・・

現場が萎縮すると一番困るのは患者さん

障害のある子どもたちが入院する病棟や入所、通所する施設は、日本でも最も過酷な現場の一つです。

そういう現場で志を持って働いている看護師さん達がいる。

その人たちが「何かしたら虐待と言われるかもしれない」と萎縮してしまったら、一番困るのは患者さん自身です。「なんでもかんでも虐待」という風潮が、医療・福祉の現場をどんどん疲弊させていかないか???今回の報道を見てそんなことを感じましたよ。

患者さんや子供が第一なのは十分理解できますし当然そうですが、医療や介護、障害の分野で身を粉にして働くスタッフさんを大事にすることもまた同じくらい重要です。今回の処分が本当に正しい処分であったのか、詳細について確認しその妥当性について考えたいと考えています。三重県、もっと詳細に情報公開してくれませんか???

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